第131話 問題と牢屋
ガロウたちと別れた後、俺らは体育館・管理棟の方へと移動した。建物自体劣化はしているものの倒壊などは起きておらず、雨風や一目から避けられる点を考えれば、一般人が捕まえられている可能性が高いのは明白だ。建物内は、荒らされた後があったが人工的というよりもサバイバルフォレストより前に付けられた古めの傷跡が多くクリーチャーによるものだろう。
「星谷さん。どこから見ます?」
「まあ、流石に他校とかいなさそうだし手っ取り早いし分かれて探す方がいいだろうな。」
「私は更衣室の方を探してきます。ヒヒン。」
「なら、私は事務室を見てきます!」
「ってことは俺は体育館か。」
二人と別れ、体育館へと移動する。この建物は一階に事務室や更衣室、地下一階に体育館という構造のようで、一階の窓から体育館を見下ろすことができた。見下ろした感じは特に変わったところもない普通の体育館だった。事務室横の階段を下りて体育館の扉を開け中に入るが、これといって変わった様子はない。
「おーい!誰かいるか―!!!!」
体育館内に俺の呼びかけが木霊する。返事はない……そう思ってその場を去ろうとすると
「ここだ!出してくれ!」
体育館内の器具庫から声が返って来た。声的に男性、30代くらいか?俺は急いで器具庫の方に近寄り、声をかける。
「大丈夫ですか!怪我などはありませんか!?」
「ああ、助かった……安全な場所に逃げようとここに逃げ込んだはいいものの、先の階段から転げ落ちてしまって右足が折れて全く身動きが取れなかったところを捕獲されたんだ。」
「待っててください。今すぐ仲間を呼んで扉をこじ開けます。」
「ただこじ開けるだけでは駄目だ。完全にロックされている。すぐ近くに電子パネルはないか?」
「電子パネル?」
周りをよく見てみると、扉の横に電子パネルが設置されていた。ご丁寧にも映し出された画面には「パネルをタッチしてください」と文字が表示されている。なんとも、カウザー先生らしい親切設計。
「無理やりこじ開けようとすれば警備システムが作動し、エリア全体に警報が鳴るシステムだ。1時間前にも「球技場で一般人の脱獄しましたと」警報が鳴ったが聞こえた。」
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
「そこのパネルに映し出された問題やお題をクリアする必要がある。それをクリアしても脱出はいずれ気付かれるが、警報は出ないはずだ。」
こいつ、本当に一般人か?明らかに持ってる情報量がおかしいぞ。いくらカウザー先生がお人好しの善人だからってここまでの情報を一般人役に伝えるのか……?もしや、こいつは俺達を誘い込む罠か!?仲間に共有するのは後だ。ここで一斉に罠にかかったら抜け出せなくなるかもしれない。
「本当にその方法でいいんだな?電子パネルを操作してお題や問題をクリアすれば警報無しで開くんだな?」
「ああそうだ!早くここから出してくれ!」
「オーケーわかった。お前が一般人。いや、一般人役として参加してもらっているのはわかってる。だが、一般人役とはいえ、お前はあまりにも多くの情報を持っている。その理由を答えろ。答えなかったら、この場でその扉を熱線でこじ開けて警報を鳴らす。」
「まっ、待ってくれ!君は何を言っているんだ!?私は一般人だ。Dr.カウザーがただお喋りだっただけだ!」
「ガイア、これどう思う?今の会話から客観的な視点からの意見を聞きたい。」
『これは鎧亜アーマーに関連する話題ではない。協力はしない。』
「将来的に全ての鎧亜アーマーにお前みたいなAIが組み込まれる可能性もあるだろ。どんな状況でも頼れるAIがあれば、よりハンターが動きやすくなると思わないか?」
『なるほど。ならば、協力しよう。』
意外とちょろいなこいつ
『新顔の言う通り、情報提供者としては違和感の出る量の情報提供だ。君達を利用して何かを企んでいる可能性が高い。』
「よし、撃つ。」
「わかった!真実を話す。私は千の貌持つ化身の一人だ。もちろん、一般人役だ。君たちを騙そうだとかそういう意図は無い。」
一般人って千の貌持つ化身のことだったのかよ……あー前に言ってた色々忙しいってそういうことかよ。
「なら、なぜそこまでの情報を開示した。」
「一般人役として、ここに1時間何もせずにいるのが退屈でね。非戦闘員である私にとってはここは窮屈でしかない。早々に助けてもらって、研究に戻りたいというのが私の本音だ。」
「それマジで言ってんのかよ。」
『基本、当事者意識は弱く楽観的、自らの研究欲に忠実だ。千の貌持つ化身というのはそういった者が多い。最低限の生活はできるように中は作られているだろうが、窮屈と感じるのはそれが原因だろう。』
「じゃあ、足が折れたってのは嘘なんだな?」
「あっ、それは本当だ。私はかれこれ50年以上ろくな運動していない運動音痴でね。ここに移動する際に普通に足を踏み外して階段で転けた。」
声のトーン的にマジっぽい。千の貌持つ化身って基本喋らないイメージがあったが……いや今のは撤回。カイジとかいたわ。というか50年以上ろくな運動してないって、声の若さのわりにすごい歳行ってんのか?
「そうですか……ならパネルの問題を一緒に解いたりとかは……?」
「それはできない。私は確かに一般人役だが、試験監督としての役割も持つ。私の行動の一挙手一投足は全てDr.カウザーに筒抜けだ。そこのAIにヒントを聞くのも含めてだ。評価を下げるような行為はやめておいた方がいい。」
「筒抜けだと!?」
「筒抜けと言ってもDr.カウザーは公平な立場だ。ここが脱獄しそうから警備を強化するとかズルいことはしないから安心してくれ。まあ、彼の感覚からしてみれば脱獄に気付くのが数十秒遅れる程度だ。難易度はそう変わらない。少しの猶予が与えられる程度だ。」
「それ問題解いても解かなくても変わりないんじゃ。」
「とにかく、ここから出してくれ。」
第一班(6)
[2215年 5月3日(火)]
黒条牙狼
「南高のやつらから盗み聞きした情報乗っけとく。」13:18
「一般人を救出するためには牢屋の問題を解く必要があるが、ZONEでの攻略が可能。城ヶ崎の野郎が幹部を引き連れてこのミッションに参加するらしい。」13:18
「こっちは一通り探し終わったからお前らの方に移動する。」13:20
呂布
返信「黒条牙狼
「こっちは一通り探し終わったからお前らの方に移動する。」
迎えに行きます。ヒヒン」13:20
星谷
「一般人見つけた。体育館の器具庫」13:22
「全身集合!」13:22
メールを送り、情報を整理して俺は早速問題を確認しようとパネルに向き合う。
「はいはい。えーっと、まずはここをタップと……ゲェッ!?」
パネルをタッチして次に進むとそこに書かれていたのは思考問題だった。
『2人が順番に石を取る。石は最初に21個。1回に1~3個取れる。最後の1個を取った人が勝ちである。このゲームの必勝法を答えよ。制限時間10分。』
「は?」
『残り時間:9分50秒』
みんなも解いてみよう!
投稿が遅れた理由……?主に問題のせい




