第129話 傍観者、戦場へ
天野といったん解散し、散歩がてら学校探索していると体育館で遊斗にBDCというカードゲームを教えてもらい、遊び倒して時間を潰していた。カードゲームはトランプ程度しか嗜んだことがなかったから新鮮だ。ほんとはもっと地味な絵面何だろうが、贋作昇華で実体化したカード達で遊ぶのは迫力があってとても面白かった。
個人的な感想だが、シールドを全て割り、LPを0にするという相手が死ぬまでに時間が掛かるこのカードゲームは全てのデッキがビッグマナ、コントロール寄りのデッキで構成されることが多い。代表的なのは、スペルカードのコストを軽減しながら豊富なサポートカードで「宵闇の黒魔術師」へと繋げてコントロールする「コントロールマジシャン」。後半ビマナに弱い
序盤は、出したターンに手札に戻る制約を付ける代わりにコストを大幅軽減するドラゴン専用スペルカード「ドラゴンズ・クイック」を使って殴りながらマナ加速し、後半は溜まったマナで大量にドラゴンを展開して物量とパワーで殴り殺す「ビマナドラゴン」。受けが貧弱
ウォリアーという軽いコストと地味だけど優秀な効果が売りの種族のクリーチャーを並べてそれらをエースクリーチャーである「アース・ウォリアー」とウォリアー専用カードで強化しながら速攻で決着をつける「アグロウォリアー」。ビッグアクションが起こせないこともないけど単体性能が低い。
全部使ってみたが、個人的に好きなデッキは「アグロウォリアー」。爽快さという面においては「ビマナドラゴン」も中々によかった。何よりドラゴンはかっこいい。それと遊斗が「コントロールマジシャン」のデッキを使うと手が付けられないほど強かった。金はあるしカードショップとか暇なときに行ってみよう。
「星谷ちょっといいか?」
そして遊斗とのリベンジマッチに熱中していると、ガロウが俺へと話しかけてきた。真剣といえば真剣な表情なんだが、照れくさそうな何とも、ガロウには珍しいような顔だった。
「どうしたんだ?お前もBDCやりたいのか?」
「そうじゃない。昨日の……神楽坂の件についてなんだが」
お!いいカード引いた。1マナ払って「スピード・サモン」。次に召喚するクリーチャーの召喚コストを1下げつつ、出たターンに殴れる「スピード・モンスター」と同じスピード状態にすることができる。1マナ払って「チェーン・ウォリアー」を召喚。
「おい、話聞いてんのか?」
「聞いてるって、それで神楽坂が女だった話か?そういえば、上半身がちょっと開けただけでお前気絶したらしいじゃん。「チェーン・ウォリアー」でシールドを攻撃!チェーンストライク!」
「中々やるな。星谷。だが、シールドを割るのは相手にもアドバンテージを与える行為だぜ。速攻スペルカード「ブレイク・ギフト」!自分または相手のシールドがブレイクされた時、ブレイクされた枚数+一枚デッキからカードをドローするぜ!よって二枚ドロー!yeah!」
「おい、いったんそれ止めろ。」
「サレンダーは許サレンダーだぜ!」
「悪いがこっちは真剣な相談事なんだ。あとで相手してやるからこいつ貰っていくぞ。」
ガロウに上着ごと持ち上げられ
「ちょ待っ」
「瞬間影移動。」
俺はガロウにカツアゲでもされるかのように校舎裏まで連れていかれた。そして、ガロウは周囲を確認し誰もいないことを確認すると俺の方を向き話しかける。
「星谷。お前、神楽坂のことについてどう……思う?」
「神楽坂のことについてか……お前や城ヶ崎と並ぶ若き最強とは思っているけど。まさか、お前!?神楽坂のことが!?」
「ああ、そうだ。今後、あいつとうまく戦える気がしない。」
「マジか。そんなに好きなのか。」
「は?何を言ってやがる。俺が女が苦手だってことは知ってるだろ。だから戦いづらいんだよ。」
「お前の苦手意識はどこから来るんだよ。というか、お前松本と前に戦ってたことあるだろ。完全に女性への耐性が無いわけじゃないだろ?あいつ、際どい服着てる場合が多いし。女……女子に慣れるにはある意味ちょうどいいだろ。」
「松本とかキリエとか、狩高のやつらはだいぶ慣れては来たんだ。だが、あ、あんなタイプは初めてだ。あと数回話すことがあれば慣れるだろうが、次、またハプニングが起きれば、また気絶するかもしれない。それに神楽坂に気を付けるのは俺だけじゃない、星谷お前もだ。」
「俺も?」
「お前、神楽坂と面識があるだろ。この狩高に来るよりもずっと前に。」
「いや、ないけど……」
「神楽坂があれほどまでに執着している様は初めて見た。拠点に襲撃しに来た時の第一声がお前はどこにいるか?だ。本当に過去、あいつとお前は面識がないのか……?」
「だからないって……」
ピピッ!!!
通知が鳴った。通知を確認すると時間は正午、ミッション更新の通知だ。俺とガロウはスマホを取り出しミッションを確認する。
――――――
ファーストミッション
拠点を建築せよ 1/1 (10P)
デイリーミッション 0/10
Dr.カウザーの魔の手から人質を解放せよ
あいち健康の森公園、そこに囚われた一般人十人を救出し、無地に公園外へと脱出させよ。ポイントは一人救出するごとに2ポイント贈呈される。救助数によって順位分けされ、一位が10ポイント、二位は5ポイント贈呈される。
このミッションは、囚われた一般人がいなくなったと同時に終了するものとし、最大四日目のデイリーミッション更新時間まで続くものとする。
補足
囚われた一般人が脱出を開始するまで、Dr.カウザーは囚われた一般人を攻撃することはできない。
囚われた一般人はそれぞれ異なる場所に幽閉されている。
一定の条件を満たすことで、隠しポイントが贈与される。
ウィークミッション
課外学習終了時に自軍の旗を所持せよ (10P)
課外学習終了時に敵軍の旗を所持せよ(1) (20P)
課外学習終了時に敵軍の旗を所持せよ(2) (50P)
――――――
「え、俺らカウザー先生と戦うの?」
俺達は、改装した職員室で早速作戦会議を行った。ミッション内容は簡単な話、人命救助だ。だが、簡単行かないのが今回のミッションだ。人命救助だけなら他校とのスピード勝負。イェーガーや、キリコのカラクリ変形、馬場とかの機動力の高いメンツを使えばいい。しかし、今回は人命救助に加えて狩人階級:EX。カウザー先生、いや、Dr.カウザーの妨害が入って来る。EX、規格外である火野先生と同レベルのハンターが俺達の妨害を行ってくる。
「つまり――今回は救出戦じゃない。俺達はEX級ハンターを相手に人質を奪い合う戦場に放り込まれたってわけだ……これ火野先生の時よりもキツくないか?」
「同意:まさか、お父様が戦場に立たれるとは考えていませんでした。」
「でも、ワイらは他校に比べて有利な立ち位置におる。一つ、ワイらには現状失うものがあらへんから戦力を全てミッションに回せる。二つ、狩人階級:EXの強さを体験しとる。三つ、今回のミッションにおけるボス。Dr.カウザーの情報を持つもんがおる。ってなわけで、キリコはんに聞きたいんやけど、カウザーはんの能力教えてくだちゃい。」
「謝罪:当機体はお父様の能力に関するデータは皆さんの基礎知識ほどしか保有していません。お力になれずすいません。」
「こりゃあかんわ。」
「俺なら一個知ってるぜ。カウザー先生の配下?手下?に千の貌持つ化身っているだろ?あいつらカウザー先生と精神をリンクさせてるらしいんだよ。だから、カウザー先生は単独で妨害してくるんじゃなくて、手下の千の貌持つ化身を使った妨害を仕掛けてくると思うんだ。」
「うぉw完全に度し難いw」
「アンディー君。関係ない口を挿まない!」
「ごめんちゃい。俺ちゃん反省。」
あと聞き込みができそうなやつが一人、いや一ついるんだが、ガイアの野郎さっきからというか鎧亜アーマー脱いでから全然反応を示さねえ。いくら鎧亜アーマーを着ていない、データの取れない状態だからって非協力的なのはどうかと思うが。
「他校のやつらはどうするの?一般人の奪い合いになるかもよ?」
「キリエ、人の心があったら一般人の奪い合いなんかするかよ普通。」
「それもそうだわ。」
「だが、南高の連中は普通にそれやってきそうなんだなあ。カウザー先生からの妨害を受けながらそんなことしてくるのかは知らんけど、そこまでの戦力をこのミッションに割くかどうかが疑問なんだよな。」
「確かにそうでござるな。拙者ら狩高には現状守るものがない故、戦力を全て投じることが可能。しかし、他校には自軍の旗がある。自軍の旗の防衛を考えながら今回のミッションにどれだけの人員と戦力を割くのか、そこが鬼門でござるな。」
「私達のように全員を投入することは無いにしろ、相手がDr.カウザーだとわかっている以上、南高はブラックアウトの幹部クラスの戦力を一人は派遣したいはずですわ。」
「星谷、班分けはどうする。全員で行動するのは見つかるリスクがある。戦闘に参加できないやつらも含めて移動するなら最初の班分けのままがいいと思うが。」
「うーん。それだと戦闘力の差がなあ。その案でやると食糧班のメンツをもう少し入れ替えたいな……いや、流石に戦えるメンツだけでエリア内に入ることにしよう。それに今回のミッションは時間制限が一日分ある。ミッション班と補給班に分けて班決めしながらあいち健康の森公園に行くぞ。あそこ地味に遠いからな。他校に先を越されるのはめんどい。」
本来なら天野の話よりこっちが126話になる予定だった。それに今回の話のほとんどはインフルBの時に書いたんで、内容に不満があるやつはインフルBの鼻水ティッシュ口の中にねじ込んでやるからな???
ガロウはBDC強いです。使うデッキは玄人向けのコントロールデッキの「闇単コントロール」。まあ、金ないからバイトの先輩とかから恵んでもらったり、わらしべ長者的なトレードで作った寄せ集めデッキだけど。
あと、ガロウ君は致命的なまでにラッキースケベに弱いです。なのでToLOVEる世界に放り込まれた場合。おそらく引き篭もるか、男子校に行く。
「スピード・サモン」の効果はまんまキリモミヤマアラシ
あと作者が最近オレカバトルの厳選にお熱で執筆がガガガガ・ガール




