第121話 速き狩人の磑亜
今日の補修作業を終えて、一段落した午後6時頃。スマホから電話着信が鳴った。スマホを確認するとかけてきたのはカウザー先生だった。一体何の用なんだろう?
「やあ、星谷君。」
「なんで俺の番号知ってるんですか!?」
「私があげたスマホですよ?」
「そういえばそうだった。」
「サバイバルフォレストは順調ですか?」
「そっちからはドローンを介して全部見えてんだろ?順調っていうかどん底。逆に身が軽くて空元気ですよ。」
「そうでしたね。君の勇姿は私たちの中でも非常よく写って見えますよ。南高との戦闘お疲れ様です……ときに星谷君。磑亜アーマーの件なのですが。」
あっ、しまった!磑亜アーマーでデータを取る約束をしてたってのに、あの黒石との戦闘でほぼ全壊していることがすっかり頭から抜けてた!これデータ取れなくなったから、お金請求されるとかするのか!?
「実に困りましたね。まさか、この短期間で鎧亜アーマー・ゼロがほぼ全壊とは。君の戦いぶりを鑑みれば当然の結果なのでしょうが、ここまで損壊が激しいと新たにデータを取得するのに悪影響が出ますね。EDEN財団の鎧亜アーマーの開発者、静寂縁氏が機能をオミットし量産化させた気持ちがわかってしまいますよ。」
「これ、俺どうしたらいいんですかね?」
「本来ならもっとデータを取ってから実行に移したかったのですが、こればっかりは仕方がありません。計画の段階を少し上げますか。」
「えっと、何をするおつもりで……?」
「今からそちらに一体のドローンを送ります。星谷君は、そのドローンから物資を受け取ってください。」
「物資?まさか、自力で直せとか言い出しませんよね?」
「面白いことを言いますね。私はそんなに酷な人間ではありませんよ。物資は開けてからのお楽しみです。では、私はやることがあるので。頑張ってくださいね。」
電話が切れる。そして、それと同時にモーターの回転と風切り音が森の方から聞こえてきた。目を凝らしてみると、アタッシュケースをぶら下げたドローンがこっちに向かってきている。俺が森の方を眺めていると近くで作業していたガマが話しかけてきた。
「星谷はん。何を見とるんや?クリーチャーでも出たんか?」
「お父様からのお届け物です。」
「お父様っちゅうことは、カウザー先生からのお届け物かいな?何か頼んだんか?」
「俺も知らん。でも、これ関係。」
俺は着ているボロボロの鎧亜アーマー・ゼロを指す。
「鎧ってそのボロボロの白いやつのかいな?なんか変なの着とるなと思っとったが。それが、磑亜アーマーっちゅうやつか。黒石に一撃で粉砕されとったから、印象薄かったのお。」
「あれは黒石のゴリラパンチが強すぎた弊害だって。あれ使用者が馬鹿だから俺死ななかったけど、事前に百回転とかされてたら、俺消し飛ぶぞ?それに殺取とやり合ってる時は被弾してもそこまでダメージ受けなかったし、相手が悪いだけで基礎性能は高いって。」
そう話していると、ドローンが俺に近づくとアタッシュケースを差し出す。俺がそれを受け取るとドローンはすぐさま飛び去って行った。受け取ったアタッシュケースを開き中を覗くと、そこに入っていたのは、電子辞書のような見た目の機械と分厚めの説明書だった。そしてその機械が置かれた上部には「鎧亜コマンダー」という名札があった。
「鎧亜コマンダー?」
説明書を開き、俺は早速装着方法を調べた。
説明書:鎧亜コマンダー
磑亜アーマー転送着装システム。
操作方法:タッチ操作の他に音声操作が行えます。「システムコール」と端末に向けて音声入力しその後に操作内容を音声入力することでサポートAIが自動で実行を行います。
磑亜アーマー装着方法:鎧のアプリアイコンをタップする、または「アーマーシステムコール」と磑亜アーマー転送着装システムが起動します。そのまま音声入力で「コール:〇〇」と装着したい鎧亜アーマーを選択すると、ロックを外れるので頭上に投げてください。そうすると空中分解し、分解したそれらを核とした電磁フィールドによる安全地帯を形成します。そして、装着者の周囲に選択したアーマーが転送され「着装」と言うことでアーマーが服へと着装されます。
現在使用可能装甲
鎧亜アーマー・ゼロ
鎧亜アーマー・イェーガー
「星谷はんばっかりずるいわ。ワイもこういうオモチャ欲しいわ。」
「へいへい。でも、こいつは面白いな。ちょっと試してみるか!」
俺は早速鎧亜コマンダーを開く。コマンダーを開くと二つの液晶画面と左右に操作キーとボタンがあり、画面には現在の使用状況や、アプリのようなものがいくつも入っていてよく見ればミニゲームまで遊べる使用だった。まるでゲーム機。だが、一か所、鎧のようなマークのアプリアイコンがあり、それをタッチすると男っぽい音声が流れた。
『鎧亜アーマー転送システム起動開始。アーマータイプを選択してください。』
「コール:ゼロ!」
そう言うと、コマンダー全体に継ぎ目のようなものが現れる。そして、俺はこのまま頭上へと投げると空中で分解し、俺の周りを囲む円柱の電磁フィールドが展開される。
「着装!」
『ビルドアップ!』
着装の掛け声を認識したコマンダーが音声を流すと、俺の周りに白い鎧のパーツとレーザー銃が転送される。そして、それらが空中で俺の周りで回りだし、服の上から着装されていく。そして空中に展開されたコマンダーは独りでに組み直され、ベルトの上へとくっついた。
「「うぉーー!!かっけー!!!!!」」
「星谷はん決め台詞や!」
「鎧亜アーマー・ゼロ!着装完了!」
「ホンマに羨ましい。」
「これマジで便利だ!前まで背中の鎧とか付けるのに苦労してたんだよ!マジでここ解消されたのデカい!」
「え、そこ!?」
「それに、さっき見た感じだと今ならこのイェーガーってやつも使えそうだろ?やってみようぜ!」
ベルトにくっついたコマンダーを取り、先と同じようにアイコンをタッチする。
『鎧亜アーマー転送システム起動開始。アーマータイプを選択してください。』
「コール:イェーガー!着装!」
『ビルドアップ!』
着装の掛け声を認識したコマンダーが音声を流すと、俺の周りに白い鎧と青い鎧のパーツ、そして四つの小型ブースターと二つの巨大なブースターのようなが次々に転送される。鎧をよく見てみると翼のようなパーツが追加されている。そして、それらが空中で俺の周りで回りだし、服の上から着装されていく。背中には巨大な二つのブースター、両手足には小型のブースターが着装されていた。
「磑亜アーマー・イェーガー!着装完了!」
「すごい速そうな見た目しとるな。ブースターの付き方から見て飛べたりするんやないか?」
「肯定:高速移動に適したブースター配置とフォルムです。星谷さん。飛ぶことはできますか?」
「まあ、確かにそんな感じはするが飛べるのか?」
「問答無用:早く始めてください。」
「なんか当たり強いな……やり方がわからないんだけど?とりあえず適当に走ってみるか。」
俺は穴ぼこだらけの運動場へと移動し、トラックを走る。鎧亜アーマー・ゼロより若干軽い鎧は走りやすいもののブースターの起動の仕方がいまいちわからない。音声認識だし、適当になんか言ってみるか。
「ブースターオン!」
『了解。全イオンブースター起動。』
背中のブースター、四肢のブースターが起動し、真下を向いていた噴出口が真横に向き、一斉に火を噴く。
「え!?ちょ、ちょままま!?!?!?!?」
一瞬にして加速するブースターに体がついて行くはずもなく
ズドーン!!!!!
俺は囲障の壁に激突した。
『追突を確認。AIサポートモードをオンにしますか?』
「さ、さ……先に言えー!!!!!!!」
「ありゃ痛そうやな。」
「提案:アーマーの解除をした方がいいかと。それに説明書ももっと読むべきです。」
「わかった。アーマー解除。」
『了解。アーマーを解除します。』
俺は一度鎧亜アーマーの装着を解除し、分厚い説明書と向き合う。そして、読み進めるうちにこの鎧亜コマンダーには、高性能AIが搭載されていることがわかった。設定では最初からオフモードになっているようだった。
「システムコール:AIサポートモードをオン!」
『こんにちは、新顔。私はこの鎧亜コマンダーに搭載されているサポートAIだ。よろしく。』
「え、ああ。よろしく。イェーガーの操縦方法を教えてほしいんだけど。」
『了解。磑亜アーマー・イェーガーの操縦方法について説明する……』
その後約30分間こいつは話続けた。止めても聞かない。本当に優秀なAIが積まれているのか疑いたくなる。
「えーっと、つまり鎧亜アーマー・イェーガーのブースター制御は脳内イメージと音声認識の両方で行うマニュアル操作とAIであるお前がさらに補助を行うサポート操作の二種類があるって認識であってるか?」
俺は鎧亜コマンダーに向かって話しかける。
『その通りだ。新顔。』
「ニューフェイス?俺の名前は星谷世一だ!」
『現在唯一の私の使用者である新顔の名前などの個人的特徴をを覚える必要はない。データを汲み取り、最適な形へと鎧亜アーマーをアプローチする。それが私の役割だ。』
「つまり、俺は鎧亜アーマーを正式なハンター用武装にするためのテストプレイヤーとしか認識しないと。」
『新顔。君は創造主であるDr.カウザーからそう依頼を受けて受理したと記録にある。なにも間違いはない。』
「いや、そうだけど。なんというか、これから共に行動するわけだし、仲良くとかはできないのか?」
『私には感情理解するプログラムなどない。何よりもデータ収集に感情は必要ない。感情という不確定な要素は戦闘において合理的判断を見誤り、大きなデメリットとなる。感情的に行動するハンターが死亡する例はいくらでも存在する。君がその一人になるつもりなら、私から創造主に通達を入れよう。新顔はこのデータ収集に不適任な人材であるとね。』
「そうかよ。それじゃあ、操作方法はわかった。このまま運用テストするからな。」
『了解』
「星谷はん。そいつの運用テストは明日に回した方がええ。今日はもう夕方やし。いくら超回復で肉体的な損傷は回復できても、体力、精神的な疲れは回復せえへんやろ?」
「当機体からも今日は回復を優先にした方がいいと思います。」
「それもそうだな。明日のミッションと並行してやるか。それはそうと今日の夕飯って何だっけ?」
「確認中……今日の夕飯はかつ丼です。旗取り合戦の昼から仕込んでいましたのですぐに出来上がるかと。」
「そりゃ楽しみ」
Maverick.Momの 「ZONE」と「存在の証明」が好きなんすよ。ZONEと名がついていれば聞きに行く見に行く体質になっちゃって……今ようつべでオーズ配信してるからみんなも見よう。
あと実はイェーガーのスペックにナーフ入れたんですよ。だって、あのままの性能だと城ヶ崎君がないなったしちゃうからね。
小話 アイデンティティ
「ヒヒン……私だけ出番が少ないような気がするのです。東雲殿はサッカーをしてたらしいので出番はあったそうですけど、私なんてただ走ってただけですよ!?戦闘シーンもバトロワ以降まともに描かれていないし、突出した能力も無いただの赤兎馬モドキにいる価値なんて……」
「そっちはいいじゃん。まだキャラの判別が簡単にわかるくらいには個性あるし。私なんて、今これ誰が喋ってるかわからないでしょ!?」
「巴殿か冰鞠殿か、それとも天野殿か、それとも宇佐美殿か……わからない……ヒヒン」
「これも全て作者がテンポが悪いのが嫌いが故に、と○○が話した。と入れないのが原因なんだよねえ。でも、俺ちゃんはわかるよ。だって見栄えが悪いし。本当ならアンディー「こんちわ」みたいにしたいけど、自分が立派な小説家だと思ってるクソゴミ評価野郎にトラウマ植え付けてきたせいで止めたんだよね。「お前のは小説じゃない。」って言われたら小説家なら根に持つよ。」
「話が脱線し過ぎてない?」
「ホッホッホ……馬場よ。力が欲しいか?」
「あ、貴方は……!?」
「作者!?」
「馬場よ、お主が諦めずに強く欲すれば、自ずとその体は応える。今は待て。」




