2、混乱するに決まってる
真っ白な世界
「せめて、水色とかがいいなー……あはは。」
笑ってみるが悲しく響く。思わず溜め息が出る。と、真っ白だった世界が水色に染まる。
「あはは……」
波瀾万丈とまではいかなくともそれなりにおかしな人生だった。主だって自分のせいなのだが、それなりに一般人から外れた人生だ。レールで例えるなら、ジェットコースターのそれだ。だが、これはそういうレベルではない。
「ついにレールすら無くなかったか。」
力が抜けそうだ。どうなるか分からなくて怖いから抜かないけれど。
「あーっ!!」
「あー、はいはい。お乳か?」
ありがたいのは娘がいる事だろう。人間というのは自分より弱いものがいると意外と立っていれるものだ。普通の人間がそうなのか自信はないが。
とりあえず授乳だ。
早くしないと赤ん坊はすぐ咳き込む―――うちの娘だけかも知れないが。
「座って大丈夫?というか座りますよー。」
座ってみる。
案外、平気だ。何も起こらない。とりあえず一安心。
「……クッション欲しい。」
生後2週間というのはなかなか小さい。
しかもお乳をあげなれていないのでクッションで支えていたのだが…
ポンッと音が出そうな――――音はないが何もないところからクッションが出てきた。しかも授乳用のドーナツ型のクッションである。
「これはどうも…親切に……?」
とりあえず授乳だ。
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「眠い・・・・・・」
よく考えれば、連日寝不足なのだ。毎朝の事ながら眠たい。
「ガンバー」
「頑張って起きてるっつうの。ホントに寝てやろうか。」
「娘が可哀想だろやめとけ。」
「五月蝿い。ミズのくせに口出しするな。」
「ひでぇ!!俺に人権は!?」
「人権なんて言葉知ってたんだ。えらいえら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・い?」
授乳は基本赤ちゃんを見ながらする。赤ん坊というのは顔の凹凸が少ないため、お乳を飲むとき鼻が埋まり息が出来ない。その為、胸を引っ張り息ができるようにするのだが、当然ずれたら息は出来ない。目を話すとあぶない為、授乳中は赤ちゃんの顔を見続ける。
つまり何が言いたいかというと自分はずっと下を向いていたのだ。
だが、声が上から聞こえる。
いやいや、これはミズの声。声が聞こえるなんて……
「どうかしたか?」
バッ、と顔を上げる。
見えたのは、男。
黒髪は少し長く、少し癖毛。一房だけ、後ろ髪が伸びておりそれを束ねている。目も黒。服は黒の長袖に黒のパンツ…
「黒しかねえな。」
「第一印象はそれか!?」
「それに決まってる。」
肌は健康的。そして首もとには蒼い石がかかってる。
(ホントに持ってた。)
「てか、なんでいるわけ?あたしの頭はついに現実すら認識出来なくなったのか?」
それはそれで嬉しいけど、とつぶやく。
「もっと驚けよ!!」
無茶を言う。
ボクはこれ以上なく混乱しているというのに




