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Ep2「堕天使と魔族」

突如現れた預言は ルシファーを苛立たせた。


魔王だって!?  


『私の誤算だ まさかこうも早く奴に見つかるとは思っていなかった。

非常にまずい状況だ。』


ルシファー これは何が起ころうとしているの


『魔王は転送陣を用いて、魔獣と魔族を転移させようとしている。

その目的は 私の排除、つまり この学術資料館ごと私を消し去るつもりだ。』


それってさ 僕を殺害したくて来てるって  こと?


『そう』



4年越しに 転機と死因がいっきにやってきた


やばいじゃん それは...



『敵は3匹と1人。 3匹の魔獣はそれほど脅威ではない それこそ、ここの教師連中でも1対1で優位に勝てるレベルの魔獣だ。』


その1人っていうのは まさか 魔族...



『魔族の中でも、かなり高位の魔族だ。 まったく 魔王はイカれてるのか。


魔族は魔界の住民であり、人間に対抗する最強の戦力であるのに そんな魔族を

私1人の為に 膨大な魔力をつぎ込んで転送させてくるとは。』



ここには 300人の生徒がいる。 ここで魔族の襲撃でも起きようものなら

皆無事じゃすまない。 それこそ教員でも太刀打ち出来ないレベルとなれば。



『意外だな 皆はアレイを軽蔑の眼でしか見ないのに、アレイは皆の命を

守りたいのか?』


それとこれとは別だよルシファー。

確かに、僕は皆に軽蔑の眼を向けられる。 でも僕は死んでいないんだ。



どうすれば...。



『ふっ やはり似ているな。 アレイ この預言は起こりうる最悪なパターンを見せているに過ぎない、実際には非難が間に合うだろう。


それに今回は私に任せて欲しい、天界に住んでいた天使が 魔王の刺客に劣るとでも。』



今の僕では、ルシファーの魔法術式は扱えないんだよね。じゃあ どうやって

魔族を倒すの。


『簡単だ 私が、私の魔法術式を行使すれば良い。 その為にはアレイ、ひとつ頼みたい事がある。』







その時 資料館ではけたたましいサイレンが鳴っていた。


「皆さん直ちに避難してください。 魔界からの転送陣の魔力干渉を感知しました

今すぐ 避難してください。」



現を抜かす生徒も一部いるようだ。

「転送陣だってよ、俺らがそんなのにビビる訳ねーじゃん。 ったくうるさい」

「それな 学校でも転送陣が出る事なんてよくあるし。」


「はやく行くんだ。 今回の転送陣はレベル6を超す魔力量であるという検知結果が

出ている。 付近の魔法官に任せるしかない さぁ皆も早く。」


教員は 生徒を速やかに撤退させようと 必死だった。




魔力量によって 転送陣の規模は変わる。 

ある一定の魔力量を超す転送陣の発生が検知された時、その場の人員は

上級魔法使いも含めて退避 宮廷魔法官に討伐を委ねるという安全策が取られる。




クルセビナ魔学術資料館は 一瞬の内に静寂に包まれた。

付近の魔法官は、連絡を受けて 討伐に出立した。


天空に現れた 4つの巨大な魔法陣から、 得体のしれない何かが産み落とされる

不快感をまとった魔界の生命が転送された。






分かったその策で行こう

『言っておくけど、この策は今回しか使えない。 この空間を形作る魔力を全て

回収する事で成り立つ訳であって...。』


大丈夫 そのつもりだよ。 いずれ、僕が習得してみせるから。


『良い心意気だ。』




アレイはゆっくりと歩き 大時計がある部屋から出て行った。

『これを持っておいた方が良い』


視線の先には、「認識阻害のローブ」が展示されていた。


確かに、さっきの策を使うんだったら 持っておいた方が良いか。

じゃあ もう交代していい?


『分かった。』






「おい、見ろよあの魔物 たかがレベル5程度じゃないか。」

「何が 魔法官に頼らないとっ だよ腑抜け教師ども。 笑えるぜ。」


資料館に残った2人の生徒は笑い合っていたが、 いまだレベル9の高位魔族の存在など感知出来ていない。従来、彼らは人と似た存在であり 思考を持ち敵意も制御できる為 そもそも感知魔法では検出しずらい。


「乖離し 結合し 反発する運命 終焉を知り 万世に蔓延り葬る 灰燼の刃となって現出せよ 我のもとに集いし暗黒の炎よ 今全てを消し去るが良い」


周囲には 少なからず高位魔法特有の魔力圧力がみなぎっていた。

杖は魔力量を増幅し 詠唱は魔法そのものの威力を増幅させる。 まだ20歳になって

間もない魔法使いの域では無いのは 確かな事実である。



「詠唱で出力を高める高位術式 オリシウス家の家計魔法 飛炎魔法の最高到達点! 流石だ。」


「こいつら 全員ぶっ飛ばして 学年主席を貰ってやろう。 資料館襲撃を救った英雄としてな!  飛炎魔法・火乃輪」




出現した 燃え滾る5つの円状ブレードは、1つ辺りが直径5mに達する程

に魔力が込められていた。


「まずは 1体っと。」


5枚の刃は同時に 資料館へと歩みを進める体調が10mはあるであろう魔物

に幾度も激突し 焼き 切り裂き、遂には魔物の息の根が絶えるまで攻撃が繰り返された。


「余裕すぎる あんなのにビビってんのかあの教師は。人間界の至宝と言われているんだぞこの学院は、格を落とすような事しやがって。

ヴェレア 俺に攻撃力上昇の魔法をかけろ、残りも...」



一気に片付ける と言おうとしたエルメナスは、首から上が無くなったケリアスが

地面に倒れ伏している光景を目にした。


その衝撃的な光景から、エルメナスは杖を落とし 飛炎魔法は解除された。





「人間の領域に来るのは 実に443年ぶりだ。 やはり、人間は脆いな。 

反射で魔法を扱えないような人間と 後ろで身内が殺されているのに気づかないような人間に言っても しょうがないか。」



「魔族...。」


突如前に現れた ケリアスの死因の元凶に エルメナスは成すすべも無かった。



443年ぶり つまり400年は優に生きている。

間違いなく高ランクの魔族。 魔王の配下たる魔族が何故こんな所に。


心拍数が上がり 目の前の現実を受け止めたく無い思考だけが膨れ上がっていく。

頭は真っ白になり 感じるのは喉元に剣の切先を突き当てられているような、圧倒的な「死の気配」



「私の目的は お前等ではないが、同胞を殺されては 復讐をせねばならない。

これは、何も間違った事ではないだろう?

先ほどまで あれほど楽しそうに殺していたじゃないか。実に美しかったぞ。」



魔族は、感知できない速度の斬撃を放った。

人間の反射領域をはるかに凌駕する1撃。 正確に首だけを狙って。




しかし、 斬撃が当たる瞬間 生成された謎の黒い裂け目に攻撃が吸い込まれ

カウンターのように 魔族の足を片方を切り落とした。


資料館の庭園には 無惨に殺害された3匹の魔獣と、1人の人間が立っていた。

両目は美しき紫の眼光を放ち 瞳には黒い十字架の切れ目を持っている。

体自体は アレイのものだが、そこから放たれる圧力は人間のものでは無い。




少し前




『簡単だ 私が、私の魔法術式を行使すれば良い。 その為にはアレイ、ひとつ頼みたい事がある。』



頼みたいこと...?


『君の体を私が使う許可だ。 魂を体に移した私はアレイの体を扱える、しかし

これはあくまでも アレイの体だ。理によって、勝手に扱うことは出来ない。


この空間を構成した膨大な魔力を全て吸収し、攻撃とともに この体を保護する事に専念する。 傷は付けないが、少し寝込む可能性はある。だから』


許可する 僕はルシファーを信用したから、君を取り込んだんだ。

それに800年も体を動かして無いんでしょ 少しは運動しないと。



『師匠として 天界の力を存分に見せてやるとしよう。 視界と音だけ共有しておく。』








「古代人が保護した 天界の至宝、 貴様か。」

魔族はアレイ もといルシファーに話しかけた。



「保護は正しくないな、私はたった今日まで生き地獄だった。 ようやく、苦痛から解放されたばかりだ。」

ルシファーは体を伸ばすような動作をしながら 話した。


「天使を取り込むなど、馬鹿げた真似を... 狂ってるなその人間は。 お前なら

その人間の魂を焼き切る事も可能だろうに、何故同調なんて真似をしているんだ。」


「そんな事を話す価値は無いな。 弱い人間をいたぶってる間に、仲間が殺されていることに気づけない 弱い魔族に話す必要なんて無いだろう。」


煽り俯瞰すぎないか

※作者の心の声


言いすぎじゃない?

※アレイの心の声




「そんなことより魔族 少し付き合え。 リハビリだ。」

「空間超越支配」 ルシファーの持つ固有天界術式


魔法という名がついていない... 

この地上の魔法と 天界の魔法、一体何の差があるんだろう。



魔王様が仰られていた 天界の至宝...

天使の上位主 熾天使《セラフィム》 この胸が高揚する感覚は何百年ぶりだろうか。 あぁ、今日死んでも悔いは無い。

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