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新しい扉

競合会社。


役員会議。


大型モニターにはブログ市場の最新データが映っていた。


ARCBOOK。


そして。


競合サービス。


二つだけが大きく伸びている。


役員の一人が笑った。


「ようやくここまで来ましたね。」


別の役員も頷く。


「新規登録者数では先月初めてARCBOOKを超えました。」


社長は静かに資料を見る。


「まだ勝ってはいない。」


「ですが追いつきました。」


会議室には少しだけ安堵した空気が流れた。


市場調査の資料には利用者の声も並んでいた。


『最近はどっちも使いやすい。』


『機能はあまり変わらない。』


『好きな方を使えばいいかな。』


『もう二強だね。』


雑誌にも同じ言葉が並んでいる。


**ブログ二強時代。**


社長はその見出しを見て小さく笑った。


「ここからだ。」


「ARCBOOKを追い抜こう。」


全員が力強く頷いた。



二週間後。


土曜日。


午後八時ARC本社。


会議室。


九条が画面を見る。


「準備。」


「完了。」


悠。


「サーバー。」


「問題なし。」


「負荷。」


「余裕。」


橘も資料を見る。


「設備も問題ありません。」


悠は静かに頷く。


「公開しよう。」


九条はキーボードへ手を置く。


数秒。


静かにキーを押した。


「公開。」


その瞬間。


ARCBOOKに新しい機能が追加された。


**つながり**


**更新一覧**


**メッセージ**


利用者たちは突然現れた新機能に少し戸惑った。


『つながり?』


『何これ?』


『お気に入りと違うの?』


『メッセージ送れる?』


最初は誰もよく分からなかった。



高校生の女の子学校から帰宅しいつものようにARCBOOKを開く。


画面に新しいボタン。


**つながり申請**


「何これ?」


何気なく友達へ送る。


数分後。


返事が届く。


**○○さんとつながりました。**


「え?」


その直後画面の更新一覧へ友達の日記が表示された。


『今日の部活疲れたー。』


「もう書いてる。」


思わず笑う。


さらにメッセージ。


『明日の宿題やった?』


『まだ(笑)』


少しだけやり取りする。


携帯電話を手に取ることもなくARCBOOKを閉じることもなく。


そのまま二人は話し続けた。



競合会社。


翌週。


担当者が報告する。


「ARCBOOK。」


「新機能を公開しました。」


社長。


「知ってる。」


「交流機能ですね。」


役員が笑う。


「友達機能ですか。」


「ブログに必要ですかね。」


別の役員。


「携帯がありますし。」


「メールもあります。」


社長も軽く頷く。


「様子を見よう。」


「数字が動いてからでも遅くない。」


「機能を追加しすぎて潰れた会社もある。」


誰も焦ってはいなかった。



ARC本社。


公開から数時間。


西園寺が最新データを見る。


思わず目を見開いた。


「社長。」


悠。


「どうだ?」


西園寺は画面を見たまま。


答える。


「増えています。」


悠。


「想定内だ。」


西園寺は首を振った。


「いえ。」


「想定以上です。」


「社内テストより。」


「伸びています。」


白石も画面を覗き込む。


「そんなに?」


西園寺。


「はい。」


「つながり申請。」


「メッセージ。」


「訪問回数。」


「全部。」


「予測を上回っています。」


悠は静かに笑う。


(相棒。)


『はい。』


『実際の利用者同士の関係性は社内モニターより遥かに複雑です。』


『予測モデルを上回っています。』


悠。


「面白くなってきたな。」

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