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見つけてもらう技術

翌日。


黒崎たちの会社。


会議室。


昨日、ARCから持ち帰った資料が机の上に並べられていた。


営業部長と技術部長も席に着いている。


黒崎はゆっくり資料を閉じた。


「率直な感想を聞かせてくれ。」


営業部長が最初に口を開く。


「面白いです。」


「ですが。」


「正直に言えば、SEOという言葉自体、初めて聞きました。」


技術部長も頷いた。


「私もです。」


「検索順位を意識したホームページ作りという考え方は理解できます。」


「ですが。」


「何を基準に改善すればいいのか。」


「まだ分かりません。」


黒崎は静かに笑う。


「安心しろ。」


「私も同じだ。」


三人が顔を見合わせ、小さく笑った。


「だから。」


「全員、一から勉強する。」


その日の午後。


黒崎たちは再びARCを訪れていた。


悠は会議室へ三人を迎え入れる。


ホワイトボードへ歩き、一言だけ書いた。


『見つけてもらう』


営業部長が首を傾げる。


「これが。」


「SEOですか。」


悠は振り返る。


「はい。」


「たった一言ですが。」


「本質はこれだけです。」


黒崎は腕を組む。


「もう少し詳しく聞かせてもらえますか。」


悠は頷いた。


「例えば。」


「皆さんが休日にラーメンを食べたくなったとします。」


営業部長が笑う。


「新宿なら。」


「『新宿 ラーメン』で検索しますね。」


「そうです。」


悠も笑った。


「では。」


「検索結果が百件あったら。」


「何ページまで見ますか。」


技術部長は即答した。


「一ページ目です。」


「せいぜい二ページですね。」


「ですよね。」


悠はホワイトボードへ、


一ページ目


五ページ目


と書いた。


「同じラーメンでも。」


「一ページ目にある店と。」


「五ページ目にある店。」


「どちらへお客様が行くと思いますか。」


営業部長は苦笑する。


「説明するまでもありませんね。」


「ネットショップも同じです。」


「作るだけでは売れません。」


「見つけてもらって初めて売れる。」


会議室が静かになる。


悠は続けた。


「だからSEOは。」


「検索エンジンを騙す技術ではありません。」


黒崎が顔を上げる。


「違うんですか。」


「はい。」


「検索する人に。」


「役立つ店を作る技術です。」


技術部長の表情が変わった。


悠は商品一覧を表示する。


「例えば。」


「この商品名。」


画面には、


収納ケースA-100


と表示されている。


「これで検索しますか。」


営業部長は首を横へ振る。


「しません。」


「では。」


「何と検索します。」


「押し入れ収納。」


「子供服収納。」


「衣替え収納。」


「狭い部屋収納。」


営業部長が次々に答える。


悠は笑った。


「その通りです。」


「お客様は。」


「商品名を探しているんじゃない。」


「困りごとの解決方法を探しています。」


技術部長が小さく呟いた。


「つまり。」


「プログラムじゃない。」


「言葉なんですね。」


「半分正解です。」


悠は頷く。


「言葉。」


「写真。」


「説明。」


「ページ構成。」


「読みやすさ。」


「ホームーページのタグ」


「全部です。」


その時。


AIが静かに告げる。


『まずはそれで認識してもらえれば問題ありません。』


悠は笑った。


「だから。」


「商品を売るな。」


「解決策を売れ。」


黒崎は腕を組みながら、ゆっくり頷いた。


「なるほど。」


「ようやく見えてきました。」


営業部長を見る。


「営業は。」


「お客様が何に困っているのか。」


「全部聞いてこい。」


「はい。」


「技術部。」


「その言葉を使って。」


「ホームページを書き直す。」


「分かりました。」


黒崎は静かに立ち上がる。


「今日から。」


「SEO事業部を立ち上げる。」


営業部長と技術部長も立ち上がった。


「はい!」


会議を終えた三人は、そのまま会社へ戻っていく。


窓の外。


走り去る黒崎たちの車を見送りながら、西園寺が呟く。


「社長。」


「本当に。」


「この事業を全部渡して良かったんですか。」


悠は静かに笑った。


「うん。」


「これは。」


「黒崎さんたちだからできる仕事だ。」


「営業を知ってる。」


「現場を知ってる。」


「お客様を知ってる。」


「だから。」


「きっと成功する。」


西園寺も小さく笑う。


「また一つ。」


「仲間の会社が強くなりますね。」


悠は頷いた。


「それでいい。」


「パートナーは。」


「競争相手じゃない。」


「一緒に成長する相手だから。」

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