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エピローグ 旅たち

仕事は、一件で終わらなかった。


紹介は紹介を呼び、新しい依頼が少しずつ増えていく。


美容室。


喫茶店。


電器店。


どれも大きな仕事ではない。


それでも、一件終わるたびに次の仕事へつながった。


悠はノートを開き、静かに数字を書き込んでいく。


三万円。


五万円。


八万円。


十二万円。


最後に合計を書く。


二十八万円。


その数字を見て、悠は小さく笑った。


「十分だ。」


『目標金額を超えました。』


「予定より早かったな。」


『紹介による受注率が想定以上でした。』


悠はノートを閉じた。


「行くか。」


休日。


父と二人で家電量販店へ向かう。


店内には最新のパソコンが並んでいた。


悠は迷うことなく、一台のデスクトップパソコンの前で足を止める。


父が値札を見て目を丸くした。


「高いな。」


「もっと安いので十分じゃないか?」


悠は首を横に振る。


「これは遊び道具じゃない。」


「仕事道具だから。」


父はしばらく息子の顔を見つめていた。


やがて、小さく笑う。


「そうか。」


店員が近づいてきた。


「こちらでよろしいでしょうか?」


「お願いします。」


悠は封筒を取り出した。


一枚ずつ数えながら、現金を支払っていく。


支払いが終わる。


封筒の中には、三万円だけ残っていた。


『残高、三万円です。』


「十分だ。」


悠は新しいパソコンの箱を軽く叩く。


「これがあれば、また稼げる。」


帰り道。


父が苦笑しながら言った。


「本当に自分で払っちまったな。」


「大学祝いに買ってやろうと思ってたのに。」


悠は少し笑った。


「約束だから。」


父は前を向いたまま歩く。


「親としてはさ。」


「少しくらい頼ってほしかったけどな。」


悠は足を止めた。


父も振り返る。


「頼ってるよ。」


「?」


「今までずっと育ててもらった。」


「だから、これからは自分で歩く。」


父は何も言わなかった。


ただ、少し照れくさそうに笑う。


「……そうか。」


春。


東京。


古い六畳一間のアパート。


段ボールは数箱しかない。


悠は最初にパソコンの箱を開けた。


机へ置く。


配線をつなぐ。


電源を入れる。


静かな部屋に、起動音が響いた。


悠は椅子へ腰を下ろす。


『東京大学まで徒歩二十三分です。』


「近いな。」


『通学効率は良好です。』


悠は思わず笑った。


「相変わらず効率ばっかりだな。」


『最適化は私の役目です。』


窓を開ける。


春風が部屋へ流れ込む。


遠くには、これから四年間通う大学が見えた。


悠は静かに呟く。


「前の人生では。」


「ここから何も始められなかった。」


しばらく風の音だけが流れる。


やがて、悠は新しいパソコンへ目を向けた。


「でも今回は違う。」


「未来を創る。」


AIは静かに答えた。


『それでこそ、相棒です。』


悠はマウスを握る。


画面には、何もない真っ白なデスクトップ。


まだ何もない。


だからこそ、何でも創れる。


未来は、待つものじゃない。


創るものだ。


ここまで「第一部・高校編」をお読みいただき、本当にありがとうございました!


偏差値40.2、手元にPCすらない状態から始まった悠とAIの挑戦は、自らの力で「東大合格」と「最初のPC」を掴み取り、最高の形で第一の幕を閉じました。

物語はいよいよここからが【第二部・大学IT起業編】として本番を迎えます!


舞台を西暦2001年の東京へ。

手に入れた相棒(PC)と共に、懐かしの某SNSなどを先駆ける『前代未聞の国産SNS開発・IT下剋上無双』が即座に開幕します!

「続きの起業編も楽しみ!」と思ってくださったら、ぜひ画面下の【ブックマークに追加】や【評価の星】で応援していただけると、明日からの執筆の特大のエネルギーになります。

これからさらに熱くなる悠とAIの旅路を、どうぞよろしくお願いいたします!

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