0章2話-記憶の遠く-
続き、どうぞ
「なるほどな」
あぁよかった、何も言われなかった
「お前、今後どう生きるつもりだ?」
…どう生きよう、別にここで殺されたっていい
それ程に私にとって今は味気ないもの。
「答えられないならいい、ここで生活しないか?」
どうしてその考えになる…?
「私を養える程財力があるの?」
「少し貧しいがここは孤児院だからな。ちなみに俺自身は鉄道会社の経営者だし」
「…ここで暮らす」
そう決めた、ここは少し楽しそうな場所だった
ここで過ごしたら何か分かる気がする
「そういやお前さん、名前はなんだ」
名前…一応あるけど、もうエークとは名乗らない
私はもうあそこの被検体じゃないし、あれは番号みたいな物だから
「ないです」
「なら俺が名前を付けてやる」
………
「今日からお前はみずほ、池袋 みずほだ」
気に入った、今この瞬間から私はみずほだ
その印として大きく頷いておいた
「この名前は俺の鉄道の駅名からとった、大事にしろよ」
「分かった」
世界に色がついた、太陽の光はもう鬱陶しくない
庭で遊ぶ人達はもう憧れじゃなくなった
「ついてこい、部屋まで案内してやる」
「…おやじ…私、思い出した。」
「何だ」
庭にいる鯉を見つめて言った
「私、弟がいたの。探すために外にでたの」
弟とよく村の川で魚を観察してた光景が、瞼の裏に流れてくる
「何処に行ったのか、死んでいるかすらわからない」
顔もよく覚えていないけど、私と同じ銀髪だったはず
「探させて…」
いつの間にか祈るように言ってた
「探しに行ってもいいが、まだお前は衰弱している。そのまま探しに行っても野垂れ死ぬ、今はまだ自分に集中して過ごせ」
…だめか。
少しだけ目が熱くなった
果たしてみずほの弟は何処にいるのか…?
次の話でまた会いましょう
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