一章二話-人材回収-
真っ白な研究所の中…
「今回の礼拝起こしも成功です」
兎耳の少女と骨の腕を持つ少年が嬉しそうに報告する。そう、礼拝は全くもって"自然現象と神の気まぐれ"ではなく意図的に発生させられてたものなのだ
ここの人間以外はそんな事も知らずに怯えて雨雲を見つめる…
「そうだ、お前達」
金髪の男が言う、
「新たな長期任務だ」
ここにおける任務、とは魔物の討伐や実験サンプルの採取、稀に都市を壊滅させるの事を指す…
運によっては死が確定する事もなくはない
「何の任務でしょうか…?」
少女が少し不安に問う
「反逆児共を回収してこい」
言葉が放たれた瞬間、少女の顔が強張る。対照的に少年は嬉しそうだった
「ようやくあいつらをまたこの楽しい場所に戻せるんだ!」
少年が意気揚々に語る、頭はもう復讐でもなくこの場所に侵されていた。
「…それは、アート達の事?」
重く、少女が問いかける
「そうだ、だってもうアートはお前の友達じゃないんだろう?サート?」
「…そうですね」
あまりに気の進まない任務で、そして確実に成功しない任務だとサートは思った…だって相手は_
「雨が…止んだ…?」
おかしいはず、礼拝はほぼ一日中続くのだから。
こんなに一瞬で止んだ事は今までなかった
「じゃ、学校行こうか」
みずほがときわに向かってニヤリと笑ってみせる
「ヤダァァァァァ」
子供の如く駄々をこねるときわに少し呆れた
駅まで嫌々と引きづられるのが容易に想像できる…
コンコンコン
無造作なノックがロビーに響く
…インターホンあるのに何でわざわざノックするんだろ
「客人か?俺が出てくるぜ」
さっきまで転がってたのが嘘のように正常に戻る
「心配だから私も付いてく」
何だか嫌な予感がした、形容しがたい冷たさが背中を這う。くすぐったいながらも玄関へ小走りで向かった
外に出るととそこには…
何もなかった
心霊現象だよね、よくあるよねこういうの
そう言おうとしたら、生温かい液体が目の前に飛び散った。骨のような物がときわの心臓目掛けてだろうが当たってない、左肩に刺さっていた
「痛ッてぇぇぇぇ!」
意外とピンピンしてた…よく生きてるね
「アハハ!引っかかった」
無邪気な笑いが耳をつんざく
「君は誰?」
ただ疑問で仕方ない、こんな奴研究所にいたか?
被検体は何千といるがここにいるって事は正規品として強さを認められた奴だろう。多分見たことはあるはずなんだけど…
「僕が誰かって?そのうち知ることになるんだから!」
あぁ、戦う気しかなさそー
「二人とも、大丈夫?」
向日葵が心配して来たみたいだ、向日葵ならこいつの事知ってそう
「向日葵、こいつの事知ってる?」
途端、向日葵の顔が凍りつく
「…っ何でここに」
「やぁアート、久しぶりだね」
何でナオがここにいるの?それにこの血…ときわが刺されてる…?
よく分かんない、けど…
追い返さなきゃ!
そう思って、ぼくは弓を取り出す。こうやって戦うの久々だな…
「戦う?」
お姉ちゃんが聞いてきた、
「もちろん、今のぼく達にとって邪魔者だもん」
「…それもそうだね」
お姉ちゃんも戦うみたい、心強い
ナオがその刹那に突っ込んでくる
突っ込んできたナオをお姉ちゃんが受け止め、2人は一瞬睨めつけ合う
その間にぼくは弓に力を込め、構える
流れる魔力を感じ、糸を引く
殴り込んで来たナオを防ぐようにお姉ちゃんは氷柱を作る。
撃ちなさい、そのジェスチャーをお姉ちゃんが出した
糸を手から離す、なかったはずの矢が飛ぶ…
ちょうどナオの足に突き刺さる、激痛を感じてナオは顔をしかめる
「うわぁっ」
驚いた表情をして、その場から消え去ってしまった
「…ときわ大丈夫?」
思い出したようにお姉ちゃんが言う
「いってぇよだいじょばねぇーよ」
周りの地面は絵の具をこぼしたように真っ赤だ
「私が治す」
「できるのかよ」
「できる」
途端、白い光…糸が宙に舞う。針が糸に通され、その針を握りしめる
桜が俺の肩に針をあてがう、縫うつもりだろうか
これで本当に治るというのか。信じられない…
すぐに縫い終わり、針に糸を巻き付け玉留めをした
不思議な事に、糸は肌に馴染みすぐに消えた。痛々しい傷も血もなくなっていた
「ありがとうだな、今言うべきは」
感心した、どういう能力なんだろこれ
「ときわ〜急ぎなさい!」
まるでお母さんのようにみずほが言う
「へいへい…」
適当に返事をして今から準備しようとするときわを引きづりながら駅に行くみずほが目撃されたのは、言わずもがな話だろう…
さくらおもち、無事に部活に入った模様
まぁ変わらず頑張るだけ頑張るんですが
次の話で会いましょう




