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スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
3章:流れを繋ぐ者たち

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第99話 異常の兆し

毎日20時投稿

フロウラインは、順調にD級ダンジョンを攻略していっていた。


しかし、今回のD級ダンジョンについては、入ってすぐにエンは違和感を覚えた。


空気が重い。


魔力の濃さが、いつもよりわずかに高い気がする。


はっきりとした異常ではない。だが、何度も潜っている場所だからこそ分かる、ほんの少しのズレだった。


「……なんか、多くないですか?」


前方を警戒しながらエンが言う。


「多いね」


カナもすぐに頷いた。


「湧きが早い」


ノアは短く言う。


小球が三つ、空中を巡る。


現れたモンスターを牽制し、動きを制限する。


ノアが踏み込み、一体を仕留める。


ここまではいつも通りだった。


だが。


「……もう来た」


カナが眉をひそめる。


倒したばかりの方向から、再び気配が近づいてくる。


間隔が短い。


明らかに早い。


「こんなでしたっけ」


「いや」


カナは首を振った。


「もう少し余裕あったはず」


戦えないほどではない。


だが、休む時間がない。


戦闘が途切れない。


さらに奥へ進むと、その違和感は確信に変わった。


別のパーティが、通路脇で休憩している。


だが様子がおかしい。


「今日は引くわ……」


「消耗が早すぎる」


そんな声が聞こえた。


装備に大きな損傷はない。


怪我も軽い。


それでも、疲労の色が濃い。


すれ違いざまに、相手の一人が言った。


「気をつけろ。今日、なんか変だ」


「変?」


「ああ。数が多い。しかも引かねえ」


通常なら、一定数を倒せば間隔が空く。


だが今日は違う。


次から次へと現れる。




さらに進む。


戦闘。


また戦闘。


そして、また。


小球は止まらない。


だが、戦闘の密度が明らかに高い。


エンは少しずつ呼吸が重くなっていくのを感じていた。


「……無理はしないよ」


カナが言う。


「おかしいと思ったら戻る」


「はい」


エンは頷く。




次の分岐に差しかかった時だった。


奥の通路から、複数の冒険者が早足で戻ってくる。


表情が険しい。


「奥、やばいぞ!」


「前線が維持できねえ!」


その声に、周囲の空気が一気に変わった。


「何があったんですか?」


カナが声をかける。


「分からねえ!倒しても倒しても増える!」


男は苛立ったように答えた。


「こんなの初めてだ……」


エンは小球を静かに浮かせたまま、奥を見る。


見えないはずの場所から、絶え間なく気配が流れてくる。


まるで、何かが奥で押し出しているようだった。


「……戻る?」


ノアが静かに言う。


判断としては正しい。


異常が起きている時は、無理をしない。


それが冒険者の基本だ。


だが。


エンは少しだけ迷った。


「……もう少しだけ、様子を見ましょう」


自分でも理由は分からなかった。


ただ、この違和感の正体を見ておきたいと思った。




その奥で。


誰にも気づかれない場所で。


魔力がゆっくりと脈打っていた。


ダンジョンの流れとは異なる、外から持ち込まれた歪な気配。


異常は、まだ始まったばかりだった。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の別作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

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