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スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
3章:流れを繋ぐ者たち

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第94話 奪われない流れ

毎日20時投稿

D級ダンジョンの奥へ進むにつれて、空気が重くなっていく。


石壁に囲まれた通路は変わらない。だが、足音の響き方が違う。


音が遠くへ抜けず、どこかで遮られているような感覚があった。


「……来ますね」


エンが小さく言った。


次の瞬間、低い振動が足元から伝わる。


石が擦れる音。


前方の通路の壁が、ゆっくりとせり上がった。


視界が遮られる。


小球が三つ、静かに浮かび上がる。


地面には触れない。


そのまま空中で位置を変え、壁の手前で軌道を変える。


壁が完全に閉じる前に、球はその上を越えていった。


「……いけます」


エンの声は落ち着いていた。


球が止まらない。


地形に関係なく、流れが続いている。


壁の向こう側から、魔法を使う亜人型モンスターが現れる。


細身の体。手を掲げ、さらに壁を生成しようとしている。


だが、小球がすでに回り込んでいた。


退路が狭まる。


モンスターが位置を変える。


逃げる方向に、もう一つの球が回り込む。


空中から。


逃げ場をつぶした。


「今です」


エンの合図。


ノアが踏み込む。


短槍が一直線に伸びた。


衝撃音と共に、モンスターが崩れ落ちる。


戦闘は一瞬だった。


以前までのやり方なら、ここで混乱していた。


壁に分断され、流れが切れ、立て直す余裕もなかった。


だが今は違う。


球が動き続けている。


止まらない。


さらに奥へ進む。


再び壁が動く。


通路が変わる。


だが、もう焦りはない。


小球が空中で循環し、壁の向こう側へ回り込む。


カナが前を押さえ、敵の動きを制限する。


ノアは無理に踏み込まない。


流れが整うまで待つ。


そして、確実に終わらせる。


「……前より楽ですね」


ノアがぽつりと言った。


「はい」


エンも頷く。


やっていることは変わらない。


ただ、止まらなくなっただけだ。


それだけで、戦いがまるで違っていた。


やがて通路が開ける。


エンは小球を浮かせたまま、ゆっくりと前を見る。


空気が重い。


魔力の密度が明らかに違う。


「……いますね」


カナが肩を回す。


「うん。さっきのやつより強い」


ノアも槍を構えた。


静かに、だが確実に。


奥の闇が揺れる。


石が動く音が、ゆっくりと近づいてくる。


小球が空中で静かに巡っている。


止まらない。


途切れない。


奪われない流れが、そこにあった。


エンは息を整え、前へ一歩踏み出した。


「――行きましょう」


最奥のボスとの戦いが、始まろうとしていた。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の別作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

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