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スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
3章:流れを繋ぐ者たち

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第91話 重さの違い

毎日20時投稿

小球三つが空中を滑るように動く。


ギルド裏広場の中央で、エンはゆっくりと呼吸を整えていた。


三つ同時に動かし続けることは、もう特別なことではなくなっている。


もちろん疲れる。


だが、崩れることはない。


維持できる。


そこまで来ていた。


「……次ですね」


エンの視線が、マジックバックの中へ向く。


直径四十センチの、完全な金属球。


小球とは比べものにならない存在感があった。


「やると思った」


カナが苦笑する。


「でも無理しないでよ」


「はい」


エンは頷いた。


順番は守る。


小球でできたことを、そのまま大球でやるだけだ。


理屈では、そうだった。


エンは大球に手を触れる。


冷たい金属の感触。


重い。


持ち上げるわけではない。


だが、存在そのものが重さを主張してくる。


意識を集中させる。


ゆっくりと、大球が床から浮いた。


その瞬間だった。


「……重い」


思わず声が漏れる。


小球とはまるで違う。


落ちようとする力が強い。


支え続ける負荷が、一気に跳ね上がった。


数秒。


揺れが大きくなる。


制御が乱れ、大球が床に落ちた。


鈍い音が響く。


「……全然違いますね」


エンは苦笑した。


同じ球なのに、別物だった。


「そりゃそう」


カナが言う。


「重さは嘘つかない」


ノアも腕を組んだまま頷く。


「小球よりも、崩れるのが早いです」


自分でも分かっていた。


小球の時は、維持に余裕があった。


今は違う。


常に限界に近い。


もう一度。


大球が浮かび上がる。


今度は無理に安定させない。


落ちない位置を保つだけ。


揺れる。


だが、さっきより長い。


呼吸を合わせる。


持ち上げるのではない。


そこにある状態を維持する。


小球で覚えた感覚を、そのまま重ねる。


十秒。


二十秒。


三十秒。


額から汗が落ちる。


だが、落ちない。


「……いいですね」


ノアが言った。


エンは返事をしない。


集中を切らさない。


やがて、ゆっくりと大球を下ろす。


地面に触れた瞬間、腕が重くなった。


「……これは、きつい」


正直な感想だった。


「でもできてる」


カナが言う。


「さっきより安定してた」


エンは頷いた。


小球の時と同じだ。


最初は維持するだけで精一杯。


そこから、少しずつ慣れていく。


ふと、視線が横に動く。


出しておいた巨大球が目に入った。


直径八十センチ。


圧倒的な質量。


浮かせられたら――。


「だめ」


カナが即座に言った。


エンは苦笑する。


「まだ何も言ってません」


「顔に出てる」


カナは腕を組んだ。


「順番。大球が安定してから」


ノアも短く言う。


「今やったら、絶対に落とします」


否定できなかった。


エンは大球に手を置く。


重い。


だが、動かせないわけではない。


小球とは違う負荷。


違う難しさ。


だが同じ球だ。


やることは変わらない。


浮かせる。


維持する。


止めない。


再び、大球がゆっくりと宙に浮かぶ。


小球よりも遅く、重く。


だが確かに空中に留まっていた。


流れの力は、さらに大きくなろうとしていた。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

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本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の別作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

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