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スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
2章:戦い方のかたち

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第68話 異変

毎日20時投稿

その日のギルドは、いつもより少し騒がしかった。


朝の時間帯だというのに、受付前には冒険者が集まっている。


掲示板の前では何人かが真剣な顔で話し込んでいた。


「……なんかありますね」


エンが小声で言う。


「うん。空気が違う」


カナもすぐに気づいていた。


喧嘩や騒ぎではない。


落ち着かない、ざわつき方だった。


掲示板の中央に、新しい紙が貼られている。


赤い印。


緊急依頼の印だった。


「E級ダンジョン……フラッド兆候?」


エンが読み上げる。


ダンジョン内部の魔物が異常に増加し、出口付近への流出が確認されたという内容だった。


「本格的なの?」


「まだ小規模らしいけど」


カナは腕を組む。


「放っておくと増えるやつ」


ダンジョンフラッド。


ダンジョン内部の魔物が増えすぎ、外へ溢れ出す現象。


低級でも油断できない。


数が問題になるからだ。


「お、エン」


声をかけられる。


振り向くとレオがいた。


大剣を肩に担ぎ、いつもの調子で笑っている。


「お前らも出るのか?」


「はい。E級ですし」


「だよな」


レオは掲示板を見上げた。


「今回は人数集めて押し返す感じだな。討伐っていうより制圧」


単体の強さより、安定した動きが求められる。


乱戦になりやすい。


エンは少しだけ考え込んだ。


そのとき、奥の扉が開いた。


ギルマスが姿を現す。


ざわついていた空気が、少しだけ静かになる。


「聞いていると思うが、E級ダンジョンで魔物の増加が確認された」


低く、よく通る声だった。


「現時点では出口付近への流出を抑えれば問題ない。だが数が多い。複数パーティで対応する」


視線が集まる。


ギルマスは一度周囲を見渡し――わずかにエンの方へ目を向けた。


「前線の混乱を避けたい。各パーティ、無理に深追いするな。流れを維持して押し返せ」


その言葉に、エンは少しだけ反応する。


流れ。


最近ずっと考えていた言葉だった。




ギルドの外へ出る。


空はいつもと変わらない。


だが、胸の奥が少しだけざわついている。


「……数、ですか」


「うん」


カナが頷く。


「強いのが一体じゃない」


今までの戦いとは違う。


ボス戦ではない。


終わりが決まっていない戦い。


エンは少しだけ考えたあと、静かに言った。


「……たぶん、大丈夫です」


「ん?」


「やることは同じなので」


カナは一瞬きょとんとしてから、笑った。


「まあね」


流れを作る。


崩れない形を作る。


やることは変わらない。




ダンジョンの入口には、すでに何組かのパーティが集まっていた。


緊張した空気の中で、それぞれが準備をしている。


エンは小球を一つ取り出し、軽く転がした。


石の床を滑る音。


いつもと同じ音だった。


だが今回は、その音が戦場全体に広がることになる。


E級ダンジョンの空気が、静かに変わり始めていた。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の別作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

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