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スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
2章:戦い方のかたち

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第47話 勝利の形

毎日20時投稿

E級ダンジョンの最奥近く。


通路を抜けた先に広がっていたのは、これまでより一回り大きな空間だった。


天井が高く、いくつもの横穴が口を開けている。


――集まる場所だ。


エンはそう直感した。


「……ここ、ですよね?」


「うん。多分ここが最奥の中心」


カナが短く答える。


気配が濃い。だが姿は見えない。


小球を三つ、ゆっくりと前へ出す。今来た通路の入口と左右の穴を意識して配置する。


静かだった空間が、次の瞬間、弾けた。


「ゴギャアッ!」


叫び声と同時に、ゴブリンが飛び出す。


前方から四体。左右から三体。


さらに奥から追加の影。


合計十体近い。


「多い!」


「下がらない!」


カナの声が飛ぶ。


エンは大球を前へ滑らせる。広間中央に障害を作り、突進の勢いを削ぐ。


だが今回は止まらない。


ゴブリンが跳ねるように散開し、左右から回り込む。


「速い……!」


大球を振るう。


鉄の塊が唸り、一体を弾き飛ばす。壁に叩きつけられたゴブリンが動かなくなる。


しかし、すぐに別の個体が前へ出る。


波が途切れない。


そのときだった。


奥の影が、ゆっくりと前へ出る。


通常のゴブリンより明らかに大きい。


背丈はエンの胸ほど。粗末だが金属の装飾を身につけ、手には短い剣。


赤い目が、真っ直ぐこちらを見ていた。


「……キング」


エンが呟く。


ゴブリンキング。


声を上げる。


「ギャアッ!」


その瞬間、ゴブリンたちの動きが変わった。


一斉に距離を詰め、同時に引く。


誘い込み。


「エン、見てる!?」


「はい!」


通路の小球を一つ、あえて後ろへ下げる。


退路を作るように見せる。


ゴブリンがそこへ流れた。


だがキングは動かない。


後ろで全体を見ている。


――直接狙えない。


なら。


「流れ、切ります!」


「やって!」


エンは小球を左右へ広げた。


広間を分断するように配置する。


ゴブリンが二つの群れに分かれる。


その瞬間、大球を押し出した。


転進。


回転を帯びた鉄球が地面を削るように進み、群れの中央を突き抜ける。


衝突音が連続する。


一体、二体、三体。


弾き飛ばされたゴブリンが壁に叩きつけられ、空間が一瞬開いた。


「今!」


カナが踏み込む。


ハンマーが振り抜かれ、残った一体を吹き飛ばす。


だが次の瞬間、キングが前へ出た。


速い。


小柄な体で低く踏み込み、剣を振るう。


「っ!」


エンは大球を引き戻し、間に割り込ませる。


金属同士がぶつかり、火花が散った。


重い。


ゴブリンとは明らかに違う力だった。


「こいつ、前に出てきました!」


「群れが減ったからよ!」


カナが叫ぶ。


指示だけではなく、自分で流れを戻しに来ている。


エンは呼吸を整える。


キングを倒せば終わる。


だが正面からでは危険だ。


「カナ、右寄せます!」


「了解!」


小球を右へ流す。


逃げ道があるように見せる。


ゴブリンの残りがそちらへ動く。


キングの視線も、ほんの一瞬だけ逸れた。


その瞬間。


「――転進!」


大球が唸りを上げる。


全力の回転。


鉄球が一直線に走り、キングの側面へ叩き込まれた。


盾もない。


直撃。


小さな体が宙に浮き、地面を転がる。


だが――立ち上がる。


「硬い……!」


「もう一回!」


カナの声。


エンは即座に大球を引き戻す。


キングが叫ぶ。


残っていたゴブリンが一斉に動こうとする。


その前に。


小球を前へ滑らせ、進路を塞ぐ。


一瞬の停止。


それで十分だった。


再び転進。


今度は正面から。


轟音とともに鉄球がぶつかり、キングの体が壁へ叩きつけられる。


動かない。


群れの声が、止んだ。




静寂が落ちた。


残っていたゴブリンたちは、しばらく迷うように動いたあと、散るように横穴へ逃げていく。


追わない。


エンはその場で膝に手をついた。


「……終わりました?」


「うん」


カナも息を吐く。


「終わり」


広間には、もう敵の気配はなかった。


エンは倒れたキングを見下ろす。


強かった。


だが、怖くはなかった。


どこを崩せば終わるのか、分かっていたからだ。


「……勝てましたね」


「うん」


カナが少し笑う。


「ちゃんと、終わらせた」


エンは大球に触れる。


転進の回転が、まだ腕に残っている。


だが、以前のような無理はない。


必要な場所で、必要なだけ使えた。


それが分かった。


E級ダンジョン。


その中心を、今、越えたのだと実感していた。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

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本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の新作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

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