表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
2章:戦い方のかたち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/107

第45話 総力戦

毎日20時投稿

E級ダンジョンの奥は、これまでより明らかに気配が濃かった。


敵が常に見えているわけではない。だが、どこから見られているような感覚がある。


小球を前に出しながら、エンは慎重に歩いた。


「……いますね」


「うん。近い」


カナも周囲を警戒している。


しばらく進んだところで、通路が開けた。天井の高い広間。横穴がいくつも繋がっている。


嫌な形だった。


「ここ、止まりましょう」


エンが言う。


「うん。囲まれる」


カナも同じ判断だった。


大球を二つ、入口側と横穴の前に置く。完全に塞ぐことはできないが、動きを制限できる位置だ。


その直後だった。


横穴の奥から、低い声が響く。


「ゴギャッ」


反応するように、複数の足音が重なった。


「来ます!」


最初に現れたのはゴブリン三体。


だが、すぐ後ろからさらに二体。左右の穴からも現れる。


合計七体。


E級では珍しくない数だが、問題は動きだった。


同時に突っ込んでこない。


距離を取りながら、じわじわと包囲を狭めてくる。


「……待ってる」


カナが低く言う。


「焦らせようとしてる」


エンは息を整える。


ここで前に出れば、横から来られる。


なら――。


「動かします」


小球を一つ、右側へ滑らせる。通路の中央に置くことで、回り込みを遅らせる。


ゴブリンが一瞬だけ止まる。


そこへ大球を押し出す。


直撃した一体が吹き飛び、陣形が崩れる。


だが、すぐに残りが距離を取り直した。


無理に詰めてこない。


「やっぱり……」


エンは歯を食いしばる。


以前のゴブリンなら、この時点で崩れていた。


だが今回は違う。


後ろから、もう一つ低い声が響いた。


ゴブリンたちの動きが揃う。


「ホブゴブリン……!」


横穴から現れたのは、通常のゴブリンより一回り大きい個体だった。盾と剣を持ち、明確にこちらを見ている。


指示役だ。


間違いない。


「エン、前に出すぎないで」


「はい」


返事をしながら、小球をもう一つ後ろへ下げる。


退路の確保。


ホブゴブリンが声を上げると、ゴブリンが左右から同時に動いた。


早い。


だが予測できる。


小球で一体の進路を塞ぎ、大球で別の一体を押し戻す。


カナが踏み込み、ハンマーで一体を叩き伏せた。


しかし数が減らない。


前に出た個体の後ろから、すぐに別の個体が入る。


「……これ、終わらないですね」


「うん。呼ばれてる」


カナの言葉に、エンは奥を見た。


暗がりの向こう。


まだ気配がある。


ここで長引けば、不利になる。


「頭、止めます」


「任せる」


エンは深く息を吸う。


ホブゴブリンは前に出てこない。常に後ろで指示を出している。


なら――動かす。


小球を左へ流す。逃げ道ができたように見せる。


ホブゴブリンの視線がそちらへ動いた。


その瞬間。


大球を逆方向から押し出す。


転進。


回転を帯びた鉄球が一直線に走り、盾に激突した。


衝撃でホブゴブリンが大きくよろめく。


「今!」


カナが踏み込み、ハンマーを振り下ろす。


直撃。


ホブゴブリンが膝をついた。


指示が止まる。


その瞬間、残っていたゴブリンの動きが明らかに鈍った。


「……やっぱり」


エンは小さく呟く。


群れの中心。


そこが止まれば、流れは崩れる。


大球をもう一度押し出す。


鈍い音とともに、ホブゴブリンが倒れた。




残ったゴブリンは、しばらく様子を見たあと、散るように逃げていった。


追わない。


エンはその場で大きく息を吐いた。


「……長かったですね」


「うん」


カナも肩を回す。


「でも、やり方は分かった」


エンも頷く。


全部を倒す必要はない。


流れを作っているものを止めればいい。


だが同時に、確信していた。


これは終わりではない。


ホブゴブリンがいるなら、その上がいる。


この奥には、まだ見えていない“中心”がいる。


E級の戦いは、いよいよ本格的に形を変え始めていた。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の新作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ