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スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
2章:戦い方のかたち

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第41話 統率された敵

毎日20時投稿

E級ダンジョンに潜って三日目。


これまでと同じ洞窟型の構造だったが、エンは歩きながらわずかな違和感を覚えていた。


「……静かですね」


小さく呟く。


普段なら、この辺りで一度は敵と遭遇しているはずだった。


「うん。少ない」


カナも周囲を見回す。


「でも、いないわけじゃない」


その言葉の直後だった。


横穴から、ゴブリンが一体飛び出してくる。


エンは反射的に小球を前へ出した。進路を塞ぐように置くと、ゴブリンは一瞬だけ動きを止める。


そこへ大球を軽く押し出す。


鈍い音。


敵はそのまま壁際へ転がった。


問題のない戦闘だった。


だが――。


「……逃げましたね」


カナが言う。


もう一体、奥にいたゴブリンが、こちらを見てすぐに引いた。


「たまたま、ですかね」


「どうだろ」


カナは首を傾げる。


「E級のゴブリン、たまにこういう動きするけど」


それ以上は続けなかった。


エンも深く考えず、探索を続ける。




次の分岐を曲がったところで、今度は二体同時に現れた。


片方が正面から、もう片方が少し遅れて横から。


エンは小球を横へ滑らせ、進路を制限する。


だが、その瞬間。


正面のゴブリンが後ろへ下がった。


「……?」


入れ替わるように、横から来ていた個体が前へ出る。


まるで、役割を交代するような動きだった。


大球を当てて倒す。


もう一体は、すぐに距離を取った。


そして、また逃げる。


戦闘自体は短い。だが、終わったあとも違和感が残った。


「今の……」


「うん」


カナが先に言う。


「ちょっと嫌な動き」


「連携、してましたよね」


「完全じゃないけどね」


カナは腕を組む。


「ただ突っ込んでくるだけじゃない」




さらに奥へ進む。


広めの空間に出た瞬間、三方向からゴブリンが現れた。


数は五体。


E級としては珍しくない。


エンは落ち着いて小球を前に置き、大球を横へ回す。


一体を弾く。


だが、その間に別の二体が距離を詰めてきた。


動きが早い。


いや、違う。


「……待ってる?」


思わず口に出た。


攻め込まず、距離を保っている。


エンが球を動かすのを見てから、動き出しているように見えた。


「見てるね」


カナが短く言う。


「嫌な感じ」


だが、脅威というほどではない。


小球で一体の進路を塞ぎ、大球でまとめて押し出す。崩れたところをカナが叩き、戦闘は終わった。


問題なく勝てる。


ただ、以前より時間がかかった。




戦闘後、エンは少しだけ息を吐いた。


「強くなってる、って感じじゃないですね」


「うん」


カナは頷く。


「賢くなってる」


その言葉に、エンは少しだけ背筋が冷えた。


強い敵よりも、考える敵の方が厄介だ。


「……この先、増えますかね」


「たぶんね」


カナは周囲を見渡す。


「E級って、こういうの出てくる場所だし」


軽い調子だったが、目は真剣だった。




帰還の途中、別のパーティとすれ違う。


「奥、ゴブリン多いぞ」


声をかけられる。


「群れて動いてる。気をつけろ」


「ありがとうございます」


エンは頭を下げる。


その言葉で、先ほどの違和感がはっきりした。


偶然ではない。


このダンジョンの奥では、敵の動きが変わっている。


E級。


ただ強いだけではない場所。


エンは無意識に、大球へ視線を落とした。


ここから先は、今までと同じやり方では通用しないかもしれない。


そんな予感が、静かに胸の奥に残っていた。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の新作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

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