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スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
1章:球術のはじまり

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第24話 違う当たり方

毎日17:30投稿

静床の遺跡に潜り始めてから、数日が経っていた。


相変わらず、戦いは長引く。


石人は遅い。危険も少ない。だが、決定的に崩れない。


「……止まりますね」


エンは小球を戻しながら呟いた。


当たっている。位置も悪くない。だが、そこで終わる。押し込めない。


「うん」


カナは短く答えた。


石人はゆっくりと歩き続ける。小球で足を止めても、すぐに体勢を戻す。


転石の洞や穿穴の洞とは、まるで違う相手だった。


「大球、いきます」


エンは大球を前に出す。


重い音とともに石人へぶつかる。今度は少しだけ押し込めた。


だが、途中で止まる。


石人の足が踏ん張り、押し返される。


「……惜しいですね」


「うん」


あと少し。


だが、その「あと少し」が届かない。




その日の帰り際だった。


もう一体の石人と向き合ったとき、エンは少しだけ強く球を押し出した。


意識したわけではない。ただ、少しだけ力を込めた。


大球が転がる。


いつもより速い。


鈍い衝突音。


石人の体が大きく揺れた。


「……あれ?」


エンは思わず声を漏らした。


石人が後ろへ下がる。


一歩、二歩。


いつもより明らかに動いている。


そのまま壁際まで押し込まれ、ようやく止まった。


静寂。


「……今の」


エンは大球を見つめる。


「強かったですね」


「うん」


カナも頷く。


だが、その顔は少しだけ考え込んでいた。


「同じだった?」


「え?」


「動かし方」


エンは首を傾げる。


「……たぶん、同じです」


自分では違いが分からない。


ただ、たまたま強く当たっただけのように思えた。


「そう」


カナはそれ以上何も言わなかった。




鍛冶場に戻ったあと。


カナは黙ったまま、大球の表面を見ていた。


エンは気づかず、今日の動きを思い返している。


「やっぱり、勢いが足りないんですかね」


「……かもね」


カナは指で球の表面をなぞる。


滑らかな金属面に、わずかな擦れ跡がある。


だが、その向きが気になった。


いつも同じ方向に流れている。


(……なんで?)


均形鍛冶で作った球は、偏りが出ないはずだった。


なのに、当たり方に差がある。


強く当たる日と、止まる日がある。


エンは気づいていない。


だが、何かが違う。


「エン」


「はい?」


「さっきの、もう一回できそう?」


突然の質問だった。


エンは少し考えて、首を振る。


「……分からないです」


正直な答えだった。


「たまたま、って感じでした」


「そっか」


カナは頷いた。


まだ言葉にできない。


だが確かに、何かが起きている。


球は同じ形をしている。


同じように動かしている。


それなのに、結果が違う。


静床の遺跡の静けさの中で、小さな違和感だけが残っていた。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

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本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


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もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

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