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スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
1章:球術のはじまり

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第17話 統率者

毎日17:30投稿

穿穴の洞の奥へ進むのは、久しぶりだった。


浅い層での動きには、もう迷いがない。大球を置き、小球で動きを制限する。危険になる前に形を整える。


だが今日は、少しだけ先へ進むつもりだった。


「無理だと思ったら戻ります」


「うん」


カナの返事はいつも通り短い。


奥へ進むほど、ゴブリンの気配は減っていった。代わりに、視線のようなものを感じる。


見られている。


だが、襲ってこない。


「……静かですね」


「うん」


カナは周囲を警戒したまま歩いている。


しばらく進んだところで、開けた空間に出た。


その瞬間だった。


「ゴギャ!」


鋭い声が響く。


左右の岩陰から、ゴブリンが現れる。三体。距離を保ち、すぐには近づかない。


エンは小球を浮かせ、大球を取り出す。


だが――。


ゴブリンたちは動かなかった。


前に出てこない。


ただ、こちらを見ている。


「……変ですね」


エンが小さく言う。


今までなら、ここで横に回ろうとする個体がいた。だが今日は違う。


待っている。


何かを。


そのとき、奥の暗がりから影が動いた。


ゆっくりと歩いてくる。


他の個体よりも一回り大きい体。手には粗いが、明らかに武器と分かる剣。


盾も持っている。


「……ホブゴブリン」


エンが息を呑む。


低い声で何かを発すると、周囲のゴブリンたちが位置を変えた。


無駄な動きがない。


距離を詰めない。


逃げもしない。


「……指示してる」


カナが言った。


エンは頷く。


今までとは明らかに違う。


相手は球を警戒しているだけじゃない。こちらの動きを見て、動かないことを選んでいる。


小球を動かす。


ホブゴブリンが一歩横にずれる。


同時に、他のゴブリンも位置を変える。


隙が生まれない。


(……無理だ)


直感だった。


戦えないわけじゃない。だが、今の自分たちでは崩しきれない。


「戻りましょう」


エンが言う。


カナはすぐに頷いた。


「うん」


小球を下げ、大球を回収する。


背を向けても、ゴブリンたちは追ってこなかった。


ただ、見送っている。


それが余計に不気味だった。




安全な距離まで戻ってから、エンはようやく息を吐いた。


「……強いですね」


「うん」


カナも短く答える。


「でも、無理じゃないと思う」


エンは少し驚いてカナを見る。


「そう思います?」


「うん」


少しだけ考えてから続ける。


「今は、動かされてるだけだから」


その言葉の意味を、エンはすぐには理解できなかった。


だが確かに、さっきの戦闘はそうだった。


球を動かしていたはずなのに、主導権は向こうにあった。


「……次は、こっちが動かさないとですね」


「うん」


二人は出口へ向かって歩き出す。


穿穴の洞の奥には、明確な壁があった。


だが、それは越えられないものではない。


まだ、準備が足りないだけだと――。


エンはそう思っていた。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

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本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の新作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

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