表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
1章:球術のはじまり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/107

第13話 深層の気配

毎日17:30投稿

穿穴の洞に入ってから、しばらく経っていた。


最初に感じていた緊張は、少しずつ形を変えている。


慣れたわけではない。ただ、何に気をつけるべきかが分かってきた。


エンは小球を浮かせたまま、周囲を見渡す。


「……静かですね」


「うん」


カナも同じように周囲を観察していた。


浅い層では必ずいたはずのゴブリンの気配が、急に薄くなっている。鳴き声も聞こえない。


代わりに、妙な痕跡が目についた。


床に残った足跡。


それも、一方向にまとまっている。


「逃げた……わけじゃないですね」


「うん。集まってる」


カナがしゃがみ込み、床を指でなぞる。


「数、多いかも」


エンは少しだけ息を吐いた。


嫌な予感というほどではない。だが、今までとは空気が違う。


さらに進むと、岩壁に深い傷が残っているのが見えた。


「……これ」


剣で切ったような跡だった。


ゴブリンの棍棒ではつかない。


「武器が、変わってる」


カナが低く言う。


エンは頷いた。


F級の説明で聞いたことがある。ゴブリンの中には、装備を扱う個体がいると。


ホブゴブリン。


名前だけは知っている。


「……戻りますか?」


エンが言うと、カナは少しだけ考えてから頷いた。


「うん。今日はここまで」


迷いはなかった。


戦えるかどうかではない。


今、戦う必要がない。




引き返す途中、遠くから鳴き声が聞こえた。


「ゴギャ……ギャ」


短く、低い声。


今まで聞いてきたものより、少しだけ落ち着いている。


エンは足を止めた。


姿は見えない。ただ、気配だけがある。


複数の視線を感じる。


「……見られてますね」


「うん」


カナは前を向いたまま答えた。


「でも、来ない」


その意味は分かる。


向こうも様子を見ている。


無理に近づく理由はない。


エンは小球をゆっくりと戻した。


戦う必要がないなら、戦わない。


それがF級だ。




ダンジョンを出たあと、二人はしばらく無言で歩いていた。


街が見えてきたところで、エンが口を開く。


「……強いんですかね」


「たぶん」


カナは短く答えた。


「でも、今の私たちが弱いわけじゃない」


エンは少し驚いて、カナを見る。


「そう思います?」


「うん」


カナは前を向いたままだった。


「ただ、まだ早いだけ」


その言葉に、エンは小さく笑った。


焦る必要はない。


ここまでだって、少しずつ進んできた。


「じゃあ、もう少し浅いところで慣れましょうか」


「そうだね」


二人はそのままギルドへ向かう。


穿穴の洞の奥には、まだ見ていない何かがいる。


だが今は、それを知っただけで十分だった。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の新作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ