表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
3章:流れを繋ぐ者たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/107

第105話 功績の意味

毎日20時投稿

翌日。


ギルドの空気は、まだどこか落ち着かなかった。


受付前にはいつもより人が多く、報告書を抱えた職員が忙しく行き来している。


「……まだ続いてますね」


エンが周囲を見回す。


「そりゃそうでしょ」


カナは当然のように言った。


「C級相当がD級に出たんだよ。普通じゃない」


ノアも静かに頷く。


「まだまだ調査が入っています」


三人が受付に顔を出すと、すぐに声がかかった。


「フロウラインの皆さん、少しお時間よろしいですか?」


案内されたのは、昨日とは別の部屋だった。


中にはギルド職員が二人。机の上には書類が積まれている。


「追加の確認です」


職員が頭を下げた。


「今回の件、正式に記録へ残す必要があります」


質問は細かかった。


寄生体の位置。


出現していたモンスターの種類。


戦闘時間。


周囲のパーティの状況。


エンは思い出しながら、できるだけ正確に答えていく。


ノアが補足し、カナが曖昧な部分を修正する。


三人の認識はほとんど一致していた。


「……なるほど」


職員が最後に頷く。


「やはり、異常活性の中心だった可能性が高いですね」


「原因は分かったんですか?」


カナが聞く。


職員は少しだけ言葉を選んだ。


「断定はできません。ただ――」


一枚の報告書をめくる。


「自然発生とは考えにくい、という意見が出ています」


エンが顔を上げる。


「自然じゃない?」


「はい」


職員は静かに続けた。


「寄生型は、通常はもっと魔力濃度の高い環境で発生します。D級ダンジョンでは条件が足りません」


つまり。


誰かが持ち込んだ可能性がある。


そこまでは言わなかったが、意味は伝わった。




部屋を出たあと、エンは少しだけ考え込む。


「……誰かが、ってことですか」


「さあね」


カナは肩をすくめた。


「でも、ダンジョンってたまにそういうことあるらしいよ」


深くは追わない。


今の自分たちに分かることではない。


ノアもそれ以上は何も言わなかった。




ギルドのホールへ戻ると、視線が集まるのを感じた。


昨日よりも明確だった。


噂が広がっている。


「前線支えたの、あの三人らしいぞ」


「ジンのとこも一緒だったって」


そんな声が聞こえる。


だが、羨望や嫉妬ではない。


どちらかといえば、納得に近い響きだった。


「……なんか、見られてますね」


エンが小声で言う。


「気にしない」


カナは即答した。


「そのうち慣れる」


ノアも短く言う。


「悪い視線ではありません」


その時、受付から声がかかった。


「フロウラインの皆さん。ギルドマスターがお呼びです」


三人は顔を見合わせる。




二階へ続く階段を上りながら、エンは少しだけ緊張していた。


これまで、直接話したことは面談の時の一度きり。


エンは、ギルドマスターの放つ強者のオーラが少し苦手だった。


「大丈夫ですよね」


「何が?」


カナが笑う。


「怒られるようなことしてないでしょ」


「……ですよね」


扉の前で止まる。


ノック。


「入りなさい」


低い声が返ってきた。


三人は扉を開ける。


ギルドマスターが、静かにこちらを見ていた。


その視線は厳しくもあり、どこか楽しそうでもあった。


「……フロウライン」


ゆっくりと口を開く。


「今回の件、よくやった」


それが、最初の言葉だった。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の別作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ