表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
3章:流れを繋ぐ者たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

102/107

第103話 流れを繋ぐモノたち

毎日20時投稿

広間の空気が重くなる。


寄生体の脈動が強くなるたびに、通路の奥から新たな気配が押し寄せてくる。


終わりがない。


長引けば、確実に押し潰される。


「エン!」


「分かってます!」


小球が三つ、空中を高速で巡る。


通路の入口を横切り、モンスターの足を止める。完全には止まらない。それでも、流れは鈍る。


それだけで十分だった。


カナが前に立つ。


ハンマーで一体を弾き、進路をずらす。


「ノア、まだ!」


「はい」


ノアは動かない。


槍を構えたまま、呼吸を整えている。


ここで焦れば終わる。


確実に届く瞬間を待っている。


ジンが横に並ぶ。


「これ、時間勝負だな」


「そうですね」


エンは球を動かし続けながら答える。


視線は核から外さない。


寄生体は守られている。


周囲のモンスターが壁になっている。


普通なら、辿り着けない。


だが今は違う。


流れが繋がっている。


小球が空中を巡り、敵の進路を切る。


カナが前線を固定する。


ジンが無駄な動きを削る。


そして――。


ノアのための道が、少しずつ形になっていく。


「……今です」


エンが言った。


小球が一斉に動く。


一瞬だけ、敵の動きが重なる。


進路が空く。


「行きます」


ノアが踏み込んだ。


一直線。


迷いのない突進。


ジンが横から敵を弾き、道を維持する。


カナが背後を押さえる。


球が最後の一体の動きを止める。


槍が伸びる。


寄生体の中心へ。


鈍い衝撃音が広間に響いた。


一瞬、すべてが止まる。


次の瞬間。


寄生体が大きく震えた。


脈動が乱れる。


管のようなものが一斉に弾け、魔力が霧のように散る。


奥から押し寄せていた気配が、急激に弱まっていく。


「……止まりました」


ノアが槍を引き抜く。


寄生体はもう動かない。


ただの塊のように崩れていく。


静寂が戻った。


さっきまで絶え間なく響いていた戦闘音が消えている。


モンスターの気配も、薄い。


ダンジョンの空気が、元に戻っていく。


エンはその場に座り込んだ。


「……終わりましたね」


「うん」


カナが息を吐く。


「ちゃんと終わった」


ジンも剣を下ろし、苦笑した。


「なんだこれ……D級の仕事じゃねえだろ」


誰も否定しなかった。


本来ここにあるはずのない存在だった。


だからこそ、崩れた。


そして――。


繋ぎ直した。


エンは静かに核だった場所を見る。


強かったわけではない。


だが、放置すれば確実に前線は壊れていた。


多くの冒険者が撤退し、誰も奥に辿り着けなかっただろう。


ただ、今回は違った。


流れが止まらなかった。


「……ありがとうな」


ジンが言う。


「助かった」


「いえ」


エンは少し照れたように笑う。


「たまたまです」


「いや」


ジンは首を振った。


「お前らがいたからだ」


カナが軽く肩を叩く。


「ほら、帰るよ。さすがに疲れた」


「はい」


ノアも頷く。


広間を後にする。


ダンジョンは静かだった。


異常は、確実に終わっている。


まだ誰も知らない。


この戦いが、街全体を守ったことを。


そして――。


この出来事が、彼らの立場を大きく変えることになるのを。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の別作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ