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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第4章 世界大戦

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405/416

第405話 第三王子チャゴラス

 パーティの最中、『四星の絆』のテーブルに現れた小男。


 第三王子チャゴラス。

 ずんぐりむっくりした小太り体形で、背は『四星の絆』と大して変わらないか、下手をすればそれよりも小さい。


 上向きの小さな鼻。細い目。

 思慮の浅そうな声色から受ける第一印象は"子豚"、あるいは"太ったゴブリン"。

 屈強な大男たちを連れて、威張るようにズカズカと歩いてくる。


 テーブルの前で立ち止まると、目の前のユリを見てパッと顔を輝かせた。


「おほぉーっ! ユリちゃんだぁーっ♪」


 チャゴラスは顔の肉を弾ませながら、ユリに駆け寄る。


「ぶふふ、ボク様、キミの大ファンなんだぁー! うひょーっ、実物はさらに可愛いねぇーっ♪」


 豚のような細い目がさらに細められ、ユリの手首を掴んで強引に握手をする。

 普通ならば気を悪くしてもおかしくない強引さではあったが、ユリは優しげな笑みを浮かべていた。


「あはは、どうもありがとうございます♪」


「ほんとだよ! いやぁー、昨日寝た女より君の方がずっと可愛いよぉー! ぶふふぅ♪」


 愛想良く笑っていたユリの口元がわずかに引き攣った。


「あはは……それはどうも……」


 チャゴラスはひとしきりユリと話すと、隣のサヨに目移りする。


「おぉーっ! 生サヨちゃんだぁ、オーラすごっ! 肌白いねぇー♪」


 子どものように燥ぎながら、サヨやルリと握手をする。

 セクハラまがいの言動が続き、ルリは辟易した表情を浮かべていた。


 そのまま、ムビの番が回ってきた。


「あっ、初めまして。ムビと申しま———」


 スッ。


 手を差し出すムビの横を素通りし、チャゴラスはそのままシノと握手をした。


「あはぁっ! シノちゃーん! ちっちゃくて可愛いねぇー♪」


 シノは苦笑しながら握手に応じる。


「お、お目にかかれて光栄です、第三王子……」


「選抜大会での君の痴態っぷりは良かったよぉ! いやぁ、あれは最高だった! ボク様としてはキミに大会MVPをあげたいくらいだよぉーっ♪ ねぇねぇ、エッチなことされてるときどんな気分だった??」


「え、えっと……」


 手を撫でられ、シノは明らかに困惑していた。

 出会ってわずか数分とは思えぬほどのノンデリとセクハラの嵐。


 だが、相手は第三王子。

 気を悪くさせれば、不敬罪に問われかねない。


 誰も何も言えずにいると、リリスが小さくため息をついた。


「お兄様。シノ様が困っていますよ?」


 鈴のようなリリスの声に反応し、チャゴラスは振り向いた。


「おぉーっ、リリたぁーーん♪」


 まるで餌を見つけた豚のように、嬉しそうに鼻を鳴らしながらリリスに近付く。


「同じ席なのに、さっさといなくなっちゃってぇー! 久しぶりの再会だってのに、どこ行ってたのさぁー?」


 馴れ馴れしく近付くと、いやらしく目を細め、スッと手を伸ばす。

 また握手か、と誰もが思った。


 が、チャゴラスの手はそのまま胸元まで伸び、リリスの胸を鷲掴みにした。

 あまりの暴挙に、ムビと『四星の絆』はあんぐりと口を開く。


「おぉっ!? またおっきくなったねぇ!? 妹の成長を直に感じられて、ボク様嬉しいよぉ♪」


 胸を揉まれながらも、リリスは眉一つ動かさなかった。


「お兄様、お戯れはほどほどに。皆が見ていますよ?」


「うん。だから何?」


 チャゴラスは周囲の視線など気にせず、リリスの顔を覗き込んだ。

 まるで、リリスの反応を楽しもうとしているかのよう。


「僕は第三王子だよ? この国で五指に入る権力を持ってる、えら~い人間なんだ♪ 第六王女のリリたんとは、天と地ほどの差があるんだよ? それにほら、これは握手だから! 握手はこう、力強~く、ねっ?」


 そのとき、リリスの体が消えた。


「うん?」


 いつの間にか、チャゴラスはムビと握手をしていた。


「はじめまして、第三王子。ムビと申します。お会いできて光栄———」


 その瞬間、チャゴラスはムビの手を払いのけた。


「誰だよお前っ!? 今、リリたんと仲良くしてたとこでしょ!?」


 チャゴラスの顔がみるみる不機嫌になっていく。

 と同時に、取り巻きの男たちが駆け寄る。


「チャゴラス様に気安く触れるなよ? 殺されたいのか?」


 男たちはムビを突き飛ばし、椅子と共にムビは倒れた。


「ちょっ……! 何するんですか、あなたたち!?」


 ユリが憤慨すると、男たちは鼻で笑う。


「何とはなんだ? 先輩に向かってその態度はないんじゃないか?」


「……先輩?」


 チャゴラスはニヤニヤ笑う。


「ふふふ、こいつらはボク様専属のS級パーティさ♪ 第一王子(兄上)のとこと並んで、国内最強冒険者の一角、『敗北を教える会』♪ こないだまでA級のぬるま湯に浸かっていたお前たちとはレベルが違うよ?」


『敗北を教える会』のリーダーは倒れたムビを見下ろす。


「そういうわけだ♪ 俺たちはもう10年以上、S級冒険者として国を支え続けている。俺たちの背を見て、お前たちも学ぶんだぞ? わはははww」


 チャゴラスは鼻を鳴らすと、リリスと『四星の絆』に向かって手を振った。


「じゃあね、リリたんと『四星の絆』の皆! 少しでも、偉大なボク様に近付けるよう精進したまえ! はっはっは♪」


 上機嫌な笑い声を残し、チャゴラスと『敗北を教える会』のメンバーは去って行った。

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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