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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第4章 世界大戦

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402/415

第402話 海底資源調査3

 クラーケンのビルのような触手がムビへと伸びる。


("星霜の氷鎖標識(アビス・エーテリアス)"!)


 詠唱破棄で放ったムビの極大呪文により、触手が凍り、動きが止まる。

 その隙にムビはクラーケンの顔めがけて突っ込んだ。


(まずは、目を潰す!)


 しかし、クラーケンの顔の前に巨大な魔法陣が展開される。


(うそ!? 魔法が使えるの!?)


 極大呪文"流水大渦(メイルストロム)"。

 巨大な渦潮が発生し、ムビは巻き込まれて体の制御を失った。


(うわあああああっ!?)


 普通の人間なら体が引きちぎれるほどの水流。

 ムビは回転しながら、海底の砂の中に突っ込んだ。


(ぐっ! やばっ、息が……!)


 衝撃で思わず水を飲みそうになったが、ギリギリ堪える。


 氷漬けになった触手はすぐさま氷を砕き、再びムビを襲う。


(くっそ! 詠唱破棄で半減した呪文じゃ効果が薄い!)


 まるで山が降ってくるような迫力。

 ムビは一本目を躱したが、二本目の下敷きになった。


(ぐぅっ……! なんて威力……!)


 そのまま触手がムビに巻き付く。

 首から下を完全に包まれ、強烈に締め付けられる。


(うあああああっ!)


 クラーケンはゆっくりとムビを近付け、品定めするように眺める。

 そのまま、大きな口が開く。


(食べられてたまるかぁーっ!"終焉の業火フレイム・アポカリプス"!)


 炎系最強の極大呪文。

 水中ゆえ炎は出なかったが、熱湯が渦となりクラーケンの口を襲った。


「ギィィィッ!?」


 クラーケンは怯み、力が緩んだ隙にムビは拘束から抜け出す。


(ふぅっ、危なかった! しかし、やっぱり強いな……)


 水中ゆえ、どうしても動きが鈍る。

 クラーケンの固い皮膚を剣で切り裂くには力不足だった。

 さらに、詠唱破棄で魔力が半減する。

 仕留めるには決め手に欠けていた。


(さて、どうしようか……そうだ!)


 ムビの頭に閃きが走ると同時に、クラーケンの魔法陣が周囲を囲む。


(うおっ、それは反則!?)


 多方面からの極大呪文"流水大渦(メイルストロム)"。

 岩が爆散し、煙が舞い上がる。


 ムビは咄嗟に地面に潜り、呪文を回避した。


(クラーケンの位置は、確かこの辺……!)


 ムビはクラーケンの真下から顔を出した。

 死角ゆえ、クラーケンはムビに気付いていない。


(チャンスだ!"空気生成(メイクエア)"!)


 ムビの顔の周りが気泡に包まれた。


「ふぅっ……これで、詠唱できる!」


 クラーケンが見失っているうちに、ムビは呪文を詠唱した。


 我が魂よ、紅蓮に染まりて滅びを謳え

 千の怒りを束ね、万の絶望を焚べよ

 天を裂き、地を焦がし、時の理を焼却せよ


「ギィッ!?」


 クラーケンはムビに気付くが、ムビの詠唱は既に終わっていた。


「行くぞ、クラーケン!」


 ムビは魚雷のようにクラーケンの口に向かって突進する。

 クラーケンは10本の触手で包み込み、ムビを飲み込もうとする。


(残念……今度はそううまくはいかないよ!)


 ムビは触手に触れ、呪文を発動した。


「"終焉の業火フレイム・アポカリプス"!」


 完全詠唱の極大呪文は、先程クラーケンを怯ませた呪文の2倍の威力。

 さらに、クラーケンに直に触れての零距離発動。

 海水に干渉されることなく、クラーケンの体を直に内側から焼いた。


「……ギイィィッ!!? ギギィィィィッ!!」


 山のような巨体ではあるが、今のムビの本気の呪文は山1つ焼き尽くす。

 クラーケンの全身から地獄の業火が噴き出し、クラーケンは混乱してもだえ苦しんだ。


(よし、大ダメージ!……これでトドメだ!"空気生成(メイクエア)"!」


 クラーケンの口に向かって、空気の一本道が出来上がる。

 一瞬でなくなる空気ではあるが、ムビにはその一瞬で十分だった。


「"闘気剣"!」


 剣にありったけの闘気を込めたムビは、空気の通り道を飛翔し、クラーケンの口に突進する。

 その時間、わずか0.01秒。


「はああああっ!」


 水中から逃れ、本来の運動能力を取り戻したムビの剣は、クラーケンの口をぶち抜いた。


「ギャアアアアッ!!?」


 そのままムビはクラーケンの体内を突き進む。

 内臓に到達し、ムビはさらに剣を振るう。


「"闘気剣"!」


 渾身の一撃が振るわれる度に、クラーケンの内臓が損傷する。


「ギィッ!! ギィィィィィッ!!」


 断末魔の悲鳴を上げ、クラーケンは海底に横たわった。

 ムビは外に這い出て、クラーケンの様子を確認する。


(うん、ピクリとも動かない……。やった! クラーケンを倒した!)


 残りの魔力は2割といったところ。

 かなりギリギリだったが、無事討伐できてムビはホッとした。


(さぁて、それじゃあ早速海底資源を調べますか♪)


 ムビは地面から噴き出る液体に近付く。

 拳大程度の穴から断続的に噴き出ているようだ。


(どれどれ?)


 手で触ってみる。

 ドロドロではあるが、やはりミスリルのようだ。

 高濃度の魔力を感じる。


(持ち帰って、詳しく調べてみるか)


 ムビは呪文を唱え、近くの岩で液体をボール状に包み込んだ。

 保存袋には地上から持ってきた容器の類があるが、取り出せば深海の水圧に耐えられないと判断したためだ。


(さて、収穫もバッチリあったし……帰るとするか♪)


 ムビは位置探知魔法でこの場所をマッピングすると、勢いよく深海から浮上した。

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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