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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第4章 世界大戦

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第399話 S級冒険者の初クエスト

「以前もお伝えしましたが、ムビ様には我が国の海底資源の調査をお願いしたいです」


 ムビは息を呑んだ。


「海底、か……」


 海の魔物は、地上よりもはるかに強力で、数も多い。

 かつていくつもの国が海底資源を目当てに冒険者へ依頼したが、調査はおろか海底に到達した事例すら極めて稀だ。


 ゆえに、海底資源の国有化に成功した国は、未だ帝国のみ。

 それも水深数百メートルと、比較的浅い海の話だ。


「クローディアの海は各国と比較しても非常に危険です。水深があっという間に深くなり、潮の流れも速く、凶悪な魔物の巣窟になっています。数キロ沖に出るだけで、異界探索に匹敵するほどの危険が伴います。まして潜るなど狂気の沙汰……本来なら自殺行為と言えるでしょうね」


 船すらまともに通れない魔境。

 それがクローディア王国の海。


「そんな危険な海に潜れ、と……」


 リリスは涼しげに笑った。


「はい。ムビ様ならば可能でしょう?」


 確かに、とムビは思う。

 今のステータスならば、そんな海でも泳げるかもしれない。


「クローディアは非常に資源が乏しい国です。魔王軍全盛時代の鉱脈はほとんど掘り尽くされてしまいました。地上には最早、資源は残されていません。しかし、海は無限に広がっています。どの地点にどれほどの資源が眠っているのか……可能であれば、その実用化も視野に入れて調査を依頼したいです」


 ムビはため息をついた。


「だから、建築学や地質学の本を読まされたのね……」


 要は、掘削作業や海上までの運搬施設もムビの担当業務に含まれているのだ。


「はっきり言って困難を極める依頼ですが、その分報酬はSS級相当とさせていただきます。埋蔵地点の特定は1箇所につき100億円。さらに掘削の成功1回につき100億円、海上への引き上げ手段の確立に100億円の報酬を支払います」


 つまり、1箇所の実用化につき300億の報酬。

 成功すれば、借金もかなり返済できる。


「我が国のエネルギー自給率は、魔石15%、レア鉱石数%、魔油に至ってはほぼ0%。採掘する資源は何でも構いませんが、可能であれば魔油を掘り当てて欲しいです。産業や国防の観点からも、魔油は長年の最重要課題です。産油国になれば経済は潤い、クローディア戦線を強力に後押しできます」


 すっかりその気になっているリリスだが、ムビは念のため尋ねる。


「えっと……他にもうちょっと、簡単そうな依頼はないんだよね……?」


 リリスは笑顔を浮かべたまま答える。


「ムビ様?私は現在、王族の中でも担当省庁を持たない、お飾り同然の存在です。関われるのはせいぜい法務省か、環境省などの最下級の省庁くらいでしょう。これではいつまで経っても、王族内での発言力は持てません。しかし、この依頼が成功すれば、国がひっくり返るほどの偉業。恐らく経済産業省の担当を第二王子から奪うことができるでしょう。無理なお願いで大変心苦しいのですが———これしかありません♪」


 リリスの圧に、ムビは縮こまるしかなかった。




◆ ◆ ◆




 翌日、ムビは人けのない浜辺にポツンと立っていた。


「さぁーて、どうしようか……」


 目の前に広がる広大な海。

 こんな大海原の中から、資源のありかをピンポイントで特定しなければならない。

 それもたった一人で。

 どう考えても無謀だが……。


「とりあえず、潜ってみるか」


 ムビはまっすぐ海に歩いて入っていった。

 あっという間に頭の先まで海水に浸かる。


(おお、魚がいっぱいいる……)


 煌びやかな光を乱反射しながら、魚の群れが泳いでいる。

 透明度の高い海は数十メートル先までよく見えた。


 進めば進むほど、海が深くなっていく。

 まだ岸から数百メートルといったところだが、水深はすでに100メートルに達していた。


(ん……?)


 大きなサメが、いつの間にかムビの周りを悠々と泳いでいた。

 明らかに狙われている。


 サメはムビの背後に回ると、大口を開けて襲い掛かってきた。


 ムビは落ち着き払って指を振るう。

 水の刃がサメの巨体を一刀両断にした。


(うん。水中でも魔法の発動には問題なさそう)


 潜水を始めて既に5分。

 ムビは風の基礎魔法により、肺の中を常に酸素で満たしていた。

 どれだけ息を吐いても、全く苦しくならない。


(これなら息は大丈夫そう。なら、そろそろ本格的に調査を開始しますか)


 ムビは水を蹴ると、矢のような速さで飛び出した。

 あっという間に数百メートルを突き進み、沖に出る。


 途中、魔物の群れに何度も遭遇したが、ムビの速さについてこれる魔物はいなかった。


(おお、暗くなってきた)


 水深は既に500メートルに達していた。

 光はもうほとんど届いていない。


(ここいらで1回、調査してみますか)


 ムビは海底に手を付けると、探知魔法を発動した。


(おぉ!?なにこの感覚、すごっ!?)


 久しぶりに発動した採掘用の探知魔法。

 かつて数百メートルだった探知範囲は、今では数十キロにまで拡大されていた。

 近海の膨大な情報量がムビの頭に流れ込んでくる。


(あるある!いっぱいある!なにこれ、資源だらけじゃん!?)


 ありとあらゆる海底資源の位置を正確に把握していく。

 金、銀、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイト、その他様々な種類の魔石。

 ムビはまるで、宝物の上に立っているような気分になった。


(うーん、でも、魔油はこの辺にはないみたいだなぁ……)


 ムビは考える。

 自分の儲けだけを考えるなら、これらのお宝を掘ればいいかもしれない。


 しかし、リリスの依頼の本質は、安定した資源の確保。

 魔石や鉱石の類は、海底からの永続的採掘は不可能だ。

 まさかムビが、毎回海に潜って採掘するわけにもいかない。


 となると、海底資源の国有化は魔油以外には期待できない。

 魔油なら掘り当てれば、自然と自噴する。


 パイプを設置して吸い出せば、海上へ永続的に運べるだろう。


(もっと深い所に行けばあるかな?)


 ムビは魔油を求め、更に深い海の底へ沈んでいった。

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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