表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
390/421

第390話 記憶喪失の原因

 ムビはそのままギルドの資料室へ向かった。


(エレノアの様子、やっぱりおかしい……。記憶喪失の呪文でもかけられたのかな……?)


 棚から数冊の本を抜き取り、ページをめくっていく。

 やがて、該当しそうな項目が目に留まった。




 ---


≪忘却呪文≫


 幻術の一種。

 効果によって、初級~上級魔法に分類される。

 上級ともなれば、丸一日記憶を失う。

 記憶喪失はいずれも一時的なもの。


 ---




 ムビは首を傾げる。


(うーん。エレノアは1週間以上記憶を失っているし、ちょっと違うよなぁ……)




 ---


≪完全忘却呪文≫


 現代では失われた極大魔法。

 この呪文を受けた者は、それまでの一切の記憶を永遠に失う。

 言語障害や歩行障害が発生し、赤子同然となる。


 ---




(うーん。記憶喪失ではあるけど、ここまで酷くはなかったよなぁ。会話もできてたし、普通に立って歩いてたし)


 次に“呪い”の可能性を疑い、関連する書物を読み漁る。

 しかし、どれもエレノアの症状とは微妙に食い違う。


(軽度の記憶障害、ただし数日で記憶が戻る、か……。これも違う……)


 日が沈むまでギルドの書物を読み漁ったが、結局手掛かりは見つからなかった。


(何か頭に強いショックを受けて、記憶喪失しちゃった、とかかなぁ? うーん、治るといいけど……。明日、王城の資料室を調べてみるか)


 ムビは足取り重く帰宅した。




 ◆ ◆ ◆




 その頃、酒場ではエレノアが冒険者たちに囲まれていた。


「私、ほんと彼氏欲しくてさぁー!」


 ジョッキを勢いよく叩きつけると、周囲の男たちがニヤニヤしながら聞き入る。


「えぇ~? 俺とかどう~?」


「残念、おじさんはだーめ♪」


「バカ! お前が付き合えるわけねぇだろ、ぎゃははは!」


 酒場の半分をエレノア軍団が占有し、活気に満ち溢れていた。


「エレノアちゃん、今まで付き合った人とかいないの~?」


 エレノアは少し考えるように首を傾げる。


「私さぁ、街をいくつか転々としてここまで来たんだけど。道中、何人か付き合ってみたんだけど、なんか違うなぁ~って」


「はいはい! 俺がエレノアちゃんの王子さまになりまーす!」


「だからぁ~、おじさんはだめなの~♪」


 エレノアは上機嫌に笑う。


「でさぁ、エレノアちゃん、どう? うちのパーティ入ってみない?」


 これで本日数十件目のパーティ勧誘。


「ん~、ちょっと気が乗らないかなぁ~」


「えぇ~? エレノアちゃんの合格基準って何なの~? やっぱり強いパーティがいいの?」


 エレノアはビールを一口飲み、眉を寄せる。


「んー、わかんない。別に基準はないんだけど……ビビッと来たら、かなぁ?」


「なんだよそれー! どうせイケメンがいいんだろ!?」


「あはは、確かにイケメンはポイント高いかも♪」


「くっそー、俺ら無理じゃん! ぎゃはは♪」


 エレノアはステーキを頬張り、ふと思い出したように口を開く。


「そういえばさ、ギルドで私に話しかけてきた男の子いたじゃん? あれ、誰?」


 冒険者たちは目を見開いた。


「まじかよ!? エレノアちゃん、ムビのこと知らないの!?」


「S級冒険者だぜ!? 大会あんなに盛り上がったのに、まだ知らない人間がいたとは!?」


 エレノアは平然とビールを飲む。


「へぇ~? そんなにすごいの?」


「すごいなんてもんじゃねぇよ! ありゃ化物だ!」


「俺たちが束になったって全然敵わねーよ!」


「ふぅ~ん。そうなんだぁ~」


 エレノアはムビの顔を思い浮かべる。


(あの人、ちょっとビビッと来たんだけどなぁ~。私よりも強いのかな?)


 周囲をキョロキョロ見渡す。


(ここにはついて来てないのかぁ。ふ~ん……)




 ◆ ◆ ◆




 翌日、ムビは王城の資料室に向かった。


 ここは王族・貴族、そして騎士やS級冒険者のみが入室を許される特別な場所だ。

 ギルドの資料室とは比べ物にならない広さと蔵書量に、ムビは思わず息を呑んだ。


(ここなら、何か見つかるかも)


 片っ端から資料を漁ること数時間。

 ついに、気になる記述を発見した。




 ---


≪蘇生と記憶について≫


 人間の蘇生は『生前の状態に戻る』性質が強い。

 しかし魔物の蘇生は『転生』に近い。


 ゆえに、ダンジョンでリスポーンする魔物は記憶の大部分を失っていると考えられる。

 魔物の学習能力が低く、何度も同じ戦術に嵌ってしまうのはこのためだ。


 ---




 息が止まる。


(えっ……? エレノアって、まさか……)


 震える手で、魔物のリスポーンに関する文献をさらに集める。




 ---


≪魔物のリスポーンについて≫


 魔物がダンジョンに居座る理由は、リスポーンにあると考えられている。

 瘴気の濃い強力なダンジョンでは、高確率でリスポーンが可能となる。


 強力な魔物ほどその確率は上昇し、異界クラスのダンジョンでは、フロアボスが一定間隔で必ず復活する。

 ただし、戦闘に必要な最低限の記憶しか戻らず、弱点となる戦法は何度でも通用する。


 ---




 ---


≪伝説の冒険者の異界探索≫


「ふははは、よく来たな。我が名は———」


 言語を操るフロアボス。

 毎回同じ自己紹介。


 倒すのはこれで10回目だというのに、奴は俺たちを覚えていない。

 毎回同じセリフを吐き、同じ罠に嵌る。

 まるで初対面のように。


 ---




 リスポーンによる記憶喪失。

 エレノアの症状に、かなり近い。


 ムビは氷水をかけられたような気分だった。


(エレノア……死んじゃったの……?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ