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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

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第374話 滅びの運命3

 リリスはムビに問いかけた。


「このような話があります。戦場で、レベル10の雑兵だけで構成された1000人部隊が2つ、正面衝突し、全滅するまで戦いました。最後に生き残った1人のレベルは、どれほどだったと思いますか?」


 ムビは苦い顔をしながら考える。


「多分、50人以上は倒した、ってことだよね?……15レベルくらいかな?」


 リリスは首を横に振る。


「正解はレベル50。駆け出しの冒険者が、一気にBランクに跳ね上がるようなものです」


「え!? なんでそんなに上がるの!」


 驚くムビに対し、リリスは冷静な口調だった。


「まず、討伐数が誤りです。この生き残りが殺した数は、1()2()0()0()()でした」


 一瞬の静寂。


「えっと……それは間違いじゃない? だって、敵の数が1000人って……」


「誤りではありません。なにせこの生き残りが殺した大半は、味方の兵だったのですから」


 リリスは淡々とした口調で続ける。


「戦場の鉄則は、"負傷した味方兵は殺せ"です。足手まといな上、敵に殺されれば経験値になりますからね。ならば、自軍の経験値に変えた方が賢明でしょう?」


 ムビは雷に打たれたような顔をした。


「戦場って……そんなところなの……?」


「はい。戦場での人間は、本当の意味で"人的資源"です。生き残ったレベル50の兵士たちは精鋭部隊に組み込まれ、さらに1000人同士で殺し合い、レベル250の更なる精鋭が生まれます」


 ムビは手でリリスの話を制止した。


「ちょ、ちょっと待って……! 人間のレベル上限は100でしょう!?」


 リリスがくすりと笑った。


「いやですわ、ムビ様。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」


 ムビは閉口し、何も言えなかった。


「戦場ではレベル上限突破条件、"人間性の喪失"は当たり前。内地なら"超越者"として崇められる、レベル100超えの猛者がゴロゴロいます。そんな猛者たちが日々殺し合い、更なる猛者を生んでいく———レミリアは、そんな地獄に君臨し続ける化物です。少なくとも獲得した経験値は、ミラの数百倍はくだらないでしょうね」


 ムビは息を呑んだ。


「つまり……このままじゃ、同盟国全部が帝国に飲み込まれる……?」


「その通りです。だからこそ、クローディア王国の力を底上げしなければなりません」


 リリスの視線が熱っぽくなる。


「この国は資源に乏しく、食料自給率は40%程度。出生率も低く、かつて1億人を超えていた人口は今や1500万人に減少。とても戦争ができる状態ではありません。これらを解決しないことには、国の繁栄はあり得ません。そこで、ムビ様のお力をお借りしたいのです」


 ムビは戸惑いながらも、リリスの真剣さに圧倒されていた。


「お、俺……? 一体、何をすれば……?」


「まずは地下資源の確保。ムビ様の探知魔法を使い、未採掘の資源を掘り出して欲しいのです。特に、我が海域に眠るとされる魔油を確保できれば、経済指標も戦争継続能力も劇的に改善します」


 リリスの考えに、ムビは舌を巻いた。


(なるほど……。確かに今の俺なら、地下数千メートルの資源も探知可能かも……)


「まぁ、このようにムビ様に依頼したいことは山のようにあります。それらが達成されたとき、この国は間違いなく豊かになるはずです」


 リリスは微笑んだ。


「私の狙いは、100年戦争の終結。それは帝国との戦争に勝利する、という意味ではありません。クローディア王国にかつての繁栄を取り戻し、帝国の戦意を挫くのです。民の幸福こそが最大の武器であると、私の代で証明してみせます。……ご助力いただけませんか、ムビ様?」


 リリスが手を差し伸べた。

 ムビは深く息を吸い込む。


「分かった。要は、皆の暮らしを豊かにすればいいんだね?」


「ふふ。その通りです。ムビ様、そういうのは得意でしょう?」


「いや、全然やったことないけど……でも、すごく面白そう。やれるだけのことはやってみる」


 ムビはリリスの手を握り、固く握手をする。


「これからよろしくお願いしますね、私のナイト様?」


「はい。なんなりとお申し付けください、姫様」




 ◆ ◆ ◆




 翌日。

 王都の広間にて、大会優勝の表彰式と、S級冒険者の任命式が行われた。

 大観衆が見守る中、王が大会の講評と祝辞を述べる。


「続きまして、S級冒険者任命式を行います。表彰式と同様、『四星の絆』のメンバーの多くが入院中のため、ムビ様が代表でお願いします」


 司会の声とともに、リリスが前へ進み出る。

 ムビはその前で跪いた。


「『四星の絆』、ムビよ。その身、王女リリスの剣となりて、永遠の忠誠を誓うか?」


「はい、誓います」


 形式通りのやり取りを済ませ、ムビはリリスの手にそっと口づけた。


 その瞬間、広間は大歓声に包まれた。

 祝福の声、王女の柔らかな微笑み。


 こうしてムビは、王家直属のS級冒険者に任命された。

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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