表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

346/347

第346話 決勝戦2

 レベル100の俺が、推定レベル800のゴリ、リゼ、マリーの3人に向かって行く。

 そんな状況に、観客席から笑いが起きた。


「おいおい、わざわざ3人の方に向かって行くぜwww」

「タイマンでも敵わないくせによ! 自殺行為だぜwww」


 ゴリもニタニタ笑っている。


「ははは! なんだ、俺に殺されたいのか!? よーしよし♪ それなら、相手をしてやろうww」


 リゼとマリーは同時に詠唱を開始した。


 さすがに詠唱するか……。

 仕方ない、一旦呪文の回避に専念だ。


 ゴリが地面を砕きながら突進してくる。

 本来スピード型ではないはずだが、レベル差が絶望的すぎて、ナズナさん並の速度が出ている。


 俺はカメラでゴリを捉えながら身をひねる。

 目の前数センチを、ゴリの拳が風を裂いて通過した。


「”灼熱の嵐(フレアストーム)”!」

「"聖光の五月雨(イノセントレイン)"!」


 リゼとマリーが呪文を放ってきた。


 範囲魔法……!

 回避できるか……!?


 体の負担を度外視し、限界ギリギリまで速度を上げる。

 全身の筋肉がねじ切れるかと思ったが、魔法の回避には成功した。


「ちっ! ちょこまか動きやがって!」


 ゴリの追撃。


 躱さなきゃ———と思った瞬間、足の筋肉を激痛が襲う。


 い゛っ……!

 回復が追いついてな———!


 ゴリの拳が左腕をかすめ、俺の体は宙を舞った。


「うわああああっ!!」


 地面に転がる俺を見て、ゴリがニヤリと笑う。


「へっへっへ、ようやく当たったぜ♪」


 かすっただけで、左腕が折れた。

 やはり戦力差は絶望的だった。


「楽しそうじゃねぇか、ゴリ♪ 俺も混ぜろよ」


 背後からゼルが迫っていた。


 俺は急いで立ち上がる。

 と同時に、2人に挟み撃ちにされた。


 前後から同時に連撃が襲ってくる。


 だ、だめだ……

 対処しきれな……


 ドゴォッ!


 ゼルの蹴りが腹部に突き刺さる。


「ぐはぁッ!!?」


 地面に垂直に吹き飛び、壁へ叩きつけられた。

 当たる直前に後ろに飛んで衝撃を逃がしたつもりだったが、それでもアバラが数本イカれた。


 はは……、試合にすらなってない……。


 観客は一方的な試合に大盛り上がりだった。


「いいぞー! そのままやってしまえーww」


 視界の端で、王が手を叩いて笑っているのが見える。


 立ち上がれない俺を見て、ゼルが鼻で笑う。


「へっ。軽く蹴っただけでそのザマかよ? まじで弱過ぎだろww」

「いや、俺たちが強くなり過ぎたんだじゃねぇのか、ゼル?」


 ゼルとゴリは、勝ち誇ったようにニヤついている。


 倒れた俺のすぐ目の前では、リゼが呪文を詠唱している。


 ———使うしかない、サヨさんの魔法を。


 回復が半分も終わらないうちに、俺はリゼに向かって突進した。


 リゼは俺の接近を見て、詠唱をやめる。

 杖で殴りかかってくるが、それを躱してリゼの手首を掴んだ。


 ……頼む、効いてくれっ!!


 バチィッ!


 サヨさんの魔法を発動した。

 リゼの体がビクリと跳ねる。


 ……お願いだ、これが効かなかったら……。


 ドゴォッ!


 リゼの蹴りをまともにくらい、俺は壁まで吹き飛ばされる。

 リゼはダメージを受けた様子もなく、ピンピンしていた。


 ……はは。やっぱり、ダメだったか……。


 俺は観念して、壁に背を預けた。

 もう、俺にできることはない。


 審判がダウンをカウントする様子はない。

 ゼルが言った通り、俺を五体満足で帰すつもりはないのだろう。


 きっと、このままリンチが始まる。

 会場もその期待感からか、異様な熱気を帯び始める。


「はっはっは! もう動けないみたいだぞww」

「コ・ロ・セ♪ コ・ロ・セ♪」


 リゼは俺に杖を向けながら呪文の詠唱を始める。

 だが、その肩をゴリが掴んだ。


「へへへ、まぁ待てよ。ここからはお楽しみタイムだ♪ まずは、俺がじっくりいたぶってやるぜ♪」


 ゴリはリゼを押しのけ、俺にゆっくり歩み寄る。

 観客は狂ったように盛り上がった。


「げっへっへwwさぁて、お祈りの時間だぜムビ?」


 ニヤつくゴリの顔を見ながら、俺は歯噛みした。


「お仲間のシノも、い~いリアクションだったぜ? あいつは気持ちよくしてやったが、お前はスペシャルフルコースだ♪ た~っぷり苦しめや??」


 ゴリがパキパキと拳を鳴らす。

 今すぐ飛び掛かりたい衝動に襲われるが、体が言うことを聞かない。


「死ねや、ムビ♪」


 拳が振り下ろされ———


 ———ゴウッ!!


 爆炎がゴリを包んだ。


「んぎゃああああああっ!!? あっ、あっちぃーーー!!?」


 何が起きたのか理解できなかった。

 目の前で、ゴリが業火に焼かれ悶え苦しんでいる。

 そのままゴリは全身を黒焦げにしながら、パタリと倒れた。


 その背後には、こちらに杖を向けたリゼが静かに立っていた。

 杖から煙が出ている。

 どうやら今の炎は、リゼの放った極大魔法だったようだ。


 突然の出来事に、会場は水を打ったように静まり返っていた。


「はぁーっ。やっと、スッキリしたわ」


 静寂の中、リゼのため息だけが響く。


「な、何やってんだリゼェ!? ちゃんと狙いを定めろボケがぁッ!!」


 ゼルが目を剥いて怒鳴り散らし、リゼはゆっくり振り返る。


「……狙いですって? いいわ。お望み通り、定めてあげる」


 ボッ!


 リゼの杖から光弾が放たれる。


「うおおおっ!?」


 ゼルは慌てて回避した。

 後方で、壁が粉々に吹き飛んだ。


「どう? バッチリ正確でしょう?」


 自信と怒りに満ちた、ゴミを見るようなリゼの冷たい瞳。


 ゼルは様子がおかしくなったリゼを見ながら、肩を落として呟いた。


「な……何が起きているんだ……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ