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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

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340/348

第340話 1500万 VS 1

 会場に到着し、小太りなスタッフに出迎えられた。


「ああ、ムビ様。ようこそお越しになられました。ぷぷっ……準決勝は逃げたのに、決勝戦は出場なさるんですね。……おや? 他の4名のお姿が見えませんが?」

「……他の4人は棄権します。今日は、俺一人で試合に出ます」


 一瞬の静寂。

 だが次の瞬間、スタッフは堪えきれず吹き出した。


「ぷっ……あはは! 本気ですか?……あー、察しました。ついに女の子たちから見限られちゃった感じですね?ww」

「……皆は負傷していて、試合に出られないんです」

「負傷ってww回復魔法でどうとでもなる話でしょうに。あーはいはい、まぁそういうことにしておきましょう。30分後にはセレモニーが始まるので、フィールドにお集まりください。もっとも、お一人のようですがねww」


 スタッフはゲラゲラ笑いながら去って行った。




 ◆ ◆ ◆




 30分後、フィールドへ向かった。

 決勝戦を見ようと詰めかけた満員の観客たちの大歓声……いや、大ブーイングが耳をつんざく。


「ひっこめムビー!」

「とっとと負けちまえ、バーカ!ww」


 フィールド中央に、ポツンと一人佇む。

 正面の来賓席には王族、大貴族、委員会幹部たちが並び、冷たい視線を投げつけていた。


 罵声の嵐が数分続いた頃、突然、会場が揺れるほどの歓声が上がった。


「来たぞ!『白銀の獅子』だぁー!!」


 ゼル、ゴリ、リゼ、マリーが、颯爽とフィールド内に姿を現した。


「キャー! ゼル様カッコいいーーー!!」

「応援してるぞー!」

「お前らが優勝だぁー!」


 ゼルは王のような堂々たる振る舞いで歓声に応え、ゴリは肩で風を切りながら歩く。

 その後ろを、リゼとマリーが無言でついていく。


 近付いてくるゼルと目が合った。


「よう、ムビ。醜態をさらす準備は万全か?」


 余裕たっぷりの冷笑。

 勝利を疑わぬ絶対的な自信が、その目に宿っていた。


「……ん? 他のやつらはどうしたんだ?」


 ゼルが周囲をキョロキョロ見渡すと、アナウンスが流れた。


「場内にお集まりの皆様、本日は御足労いただきありがとうございます! それではこれより、S級選抜大会・決勝戦を開催いたします! まずは、王のお言葉をご清聴ください!」


 大歓声の中、王がマイクを握る。


「あー、オホン。長きに渡ったS級選抜大会、よくぞここまで勝ち残った。我が寵愛に値する類まれな成果と言えよう。特に『白銀の獅子』。優勝候補、『ドラゴンテール』を破った戦いは見事であった。お主らが、我が愛娘の専属パーティになることを心より願っている。この栄えある舞台で貴殿らの戦いが見れること、本当に嬉しく思う」


 王は目尻を下げてゼルに語り掛けた後、今度は見下ろすように冷たくムビに語りかけた。


「それに比べて……どういうつもりじゃ、『四星の絆』? そこの出来損ないのゴミ以外、誰もおらんではないか? 遅刻とは、王室主催の大会を何と心得る?」


 観客席から笑いが起こる。

 家臣が王に耳打ちすると、王はさらに口角を上げた。


「あぁ? それはほんとか?」


 王が失笑しながら、再びマイクを握る。


「他4人は欠席! 決勝はそこのムビとかいうゴミが一人で戦うだと?? 正気か?? 勝てるはずがなかろうがwww」


 王の言葉に続き、大ブーイングが巻き起こる。


「ふざけんなー! 俺は『四星の絆』の女の子たちを見に来たんだぞー!」

「勝てるわけねーだろwww」


 王は罵声を背に、さらに言葉を重ねる。


「とうとう仲間にも愛想を尽かされたようじゃな。会場の皆の者、そして全国の中継映像を見ている我が国の民よ、とくと見よ! これが負け犬の姿じゃwww」


 来賓席、会場、そしてブラウン管の向こう。

 おそらく全国民が、俺を見て笑っていた。


「まったく、伝統ある選抜大会をこんな形で愚弄するとはな。それだけでも不敬罪に値するが、その執行は『白銀の獅子』に任せるとしよう。これも全て、お主のしてきた数々の悪行の報いよ。甘んじて受けるがいいわ、うはは!」


 会場からコールが巻き起こる。


「コ・ロ・セ! コ・ロ・セ!!」


 歓声を受けながら、ゼルが肩をすくめる。


「やれやれ。凄惨で残酷なショーを見せてやるつもりだったが、どうやら観衆はそれくらいじゃあ収まらないようだな」


 ニヤリとこちらに笑みを向ける。


「分かったか? これが俺とお前の差だ。俺には王はおろか、全国民が味方についている。対してお前はどうだ? お前の味方なんか、この世に一人もいない。いくらバカで低能なお前でも、そろそろ身の程が分かってきたんじゃないか?」


 ゴリが同調する。


「ワハハ! そうだ、ゼルの言うとおりだww今までの非礼の数々、地べたに這いつくばって謝るってんなら許してやるぞwww」

「いや、それじゃ足りないな。こいつの知能は犬並みだ。躾けなきゃ治らないだろう?? 靴を舐めさせて、3回回ってワンも必須だww」


 実に楽しそうに笑うゼルとゴリ。


 数万人の観衆に敵意を向けられ、息が詰まりそうになる。

 頭がグルグル回り、この世に味方が本当に一人もいないように思えてきた。


 アナウンスが響く。


「それでは、試合の準備に入ります! 両パーティの選手は一旦控室へ戻り、30分後にこのフィールドにご入場ください!」

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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