表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

334/347

第334話 二つの影、一つの嘘

 深夜。

 自宅で『Mtube』の編集作業をしていたミラは、ふと手を止めた。


(……『四星の絆』の気配が、王都から消えた?)


 PCの画面が青白く光る中、ミラの眉がぴくりと動く。

 4人には位置探知魔法をかけていた。ムビが行方不明になった今、次に狙われる可能性が高いのは彼女らだと踏んでいたからだ。


 その4人の反応が、ついさっき———数百キロも跳んだ。


(転移魔法……? 決勝戦を前に、一体どこへ……?)


 胸の奥に嫌な予感が広がる。

 ミラは椅子を蹴るように立ち上がり、外套を掴むと家を飛び出した。




 ◆ ◆ ◆




 月明かりを切り裂きながら飛行魔法で数時間。

 東の空が白み始めた頃、荒野の果てにぽっかりと口を開けた洞窟が見えてきた。


 入り口からは、禍々しい魔力が溢れ出している。

 ただの洞窟ではない。明らかに高難度のダンジョンだ。


(……なぜ、こんな場所に?)


 脳裏をよぎるのは二つの可能性。

 何者かが4人を連れ去ったか。

 あるいは———サヨが3人を連れ去ったか。


 準決勝で知ったサヨの正体。

 気付いているのは、おそらく自分だけだとミラは思う。


 もしあれが悪意ある魔物なら、この状況にも説明がつく。


(やはり、ムビを攫ったのはサヨ……?)


 ミラは意を決し、洞窟の内部に足を踏み入れた。


 ———ポチッ。


「あっ」


 入って10歩で、罠を踏んだ。

 即死魔法がミラを襲う。


 しかし、ミラを包み込んだ魔力は、わずか数秒で霧散した。


「? なんじゃったんじゃ?」


 ミラは肩をすくめ、気にする様子もなく先へ進んだ。




 ◆ ◆ ◆




 洞窟内には、魔物の死体が転がっていた。

 つい先ほどまで激しい戦闘があったのは明らかだ。


(急いだ方が良さそうじゃな)


 ミラは駆け出す。

 直後、魔物の群れが道を塞いだ。


「えーい、邪魔じゃ!」


 拳が触れた瞬間、魔物は爆散した。

 禁忌指定級の魔物が5体、1秒で肉塊に変わる。


 さらに奥へ進むと、三つの分岐路が現れた。


(こっちじゃな)


 魔力の痕跡を辿り、迷わず進む。

 道中、即死罠をコンプリートする勢いで踏み抜いていくが、ミラには一切効かない。

 出会った魔物はすべて一瞬で蹴散らした。


 やがて、下りの螺旋階段が見えてきた。


(気配が近い……! 恐らく、あの階段を下りた先に、4人がいる!)


 ミラは慎重に階段を下る。

 もしサヨが黒幕なら、無闇に突撃するわけにはいかない。

 なにせ時間停止下で動き、死体を甦らせ、最強クラスの冒険者を指1本で殺すほどの化物なのだ。


 階段を降り切り、ミラは第2フロアへ足を踏み入れた。




 ◆ ◆ ◆




 目に飛び込んできたのは、広間の隅でサヨの首に剣を突きつけるリリス。

 そして、床に転がる『四星の絆』のメンバーたち。

 その中には、行方不明だったムビの姿もあった。


(ムビ! こんなところにおったのか!……しかし、ボロボロじゃないか!?)


 よく見ると、『四星の絆』全員が瀕死の傷を負って、サヨ以外は気絶している。


「———おい。これは、どういう状況じゃ?」


 唯一無傷のリリスに、ミラは問いかけた。

 状況的に、リリスが黒幕としか思えない。


 しかし、リリスはミラの顔を見るなり、安心したような笑顔を浮かべた。


「まぁ、ミラ様。どうしてこんなところへ?」

「『四星の絆』に位置探知魔法をかけておってな。気配が王都から消えたので駆けつけた。———で? 何をやっておるんじゃお前は?」


 リリスは優雅に笑う。


「ちょうどよいところに。サヨがムビ様を攫った犯人だったのです。ちょうど今から、首を刎ねるところでした」

「……なんじゃと?」


 ミラは面食らった。


(やはり、サヨが黒幕なのか……!?)


 しかし、サヨがすぐに反論した。


「まったく、本当に悪知恵の働く……。ミラ、騙されないで。ムビ様を攫ったのはこの女狐です」

「なにっ、そうなのか!?」


 ミラは困惑する。

 ミラから見たら、どちらも相当怪しい。


 この2人以外なら信用できるが、全員気を失っている。


(ど……どっちが黒なんじゃ!?)


 慌てふためくミラを見て、リリスがくすりと笑う。


「まぁまぁ、詳しい説明は後ほど。まずはこの悪魔の首を落としてしまいましょう」


 リリスが剣を振り下ろす。

 狙うは、サヨの首。


 ———ガッ!


 剣が止まる。

 ミラが一瞬で接近し、リリスの腕を掴んでいた。


(……速い。それに、この力……! 私の剣を止めるとは……)


「お主が白なら謝る。じゃが、サヨは同じ釜の飯を食った仲なんじゃ。簡単に殺されては困る。まずは、状況を説明してくれ」


 リリスは、腕にミラの怪力を感じながら考える。


(口封じは無理そうね。ならば、懐柔するしかないか)


 サヨは血の海に座り込みながら、にやりと笑った。


「ふふ……残念でしたね、女狐。お前は終わりです」

「あら、何を言っているのかしら? 詰んでいるのはあなたですよ?」


 睨み合う2人を見て、ミラは心の中で唱えた。


(ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な・て・ん・の・か・み・さ・ま・の……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ