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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

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第329話 約束

「どうしました? もう終わりですか?」


 リリスの足元には、シノ、ルリ、サヨの3人が倒れ伏していた。

 全員が満身創痍で、息をするのもやっとの状態だ。


「うぅ……」


 苦悶の声を聞きながら、リリスは小さくため息をついた。


「やはり、優勝を諦めたのは正解でした。この程度の力では、『白銀の獅子』には到底及びませんね」


 そう言って、ゆっくりと気絶したムビに歩み寄る。


「ダメッ!」


 シノがふらつきながら立ち上がり、リリスの前に立ちはだかった。


「邪魔です」


 ———ドゴォッ!


 リリスの拳が唸り、シノは壁まで吹き飛んだ。


「シノッ! くそぅ……!」


 ルリは立ち上がることができず、歯噛みする。

 リリスの白い手がムビへ伸びた。


「さぁ、ムビ様。私と一緒に帰りましょう」


 ———ガキィン!


 そのとき、リリスに斬りかかる人物がいた。

 身の丈ほどの大鎌の一撃を、リリスは剣で受け、弾き飛ばされた。


「……どなたです?」


 白と黒のツートンの髪が揺れる。


「お前こそ———私のムビに、何してる?」


 魔王軍の少女、エレノアだった。


「……だ、だれ……?」


『四星の絆』の3人も、突然現れたエレノアに戸惑った。

 エレノアは鎌を肩に担ぐ。


「ムビの気配がどんどん薄くなっていくから、急いで駆けつけたら……。こんな穴倉で、何をしているの?」


 リリスが薄く笑う。


「あなたに説明する必要はありません。邪魔をするなら、斬りますよ?」

「私を斬る? はっ、たかが人間風情が」


 エレノアはちらりと『四星の絆』を一瞥する。


「あなたたち、ムビの仲間でしょ? テレビで見てたから知ってる。ムビを連れて、早く逃げて」


 3人は戸惑いながらも立ち上がる。


「味方……のようですわね」

「ありがとうございます! でも、リリス様を1人で止めるなんて……」


 シノの心配を、エレノアは笑い飛ばす。


「大丈夫、私強いから。ほら、さっさと行って♪」

「……ありがとうございます! では……」


 シノがムビを抱え、ルリがユリを抱える。

 3人は足早に洞窟の奥へ向かった。


「逃がしませんよ」


 リリスが斬りかかるが———。


 ガキィン!


 エレノアが立ち塞がった。


「だから、やらせないって」


 洞窟の奥へ、『四星の絆』の姿は消えていった。


「あなた……人間じゃありませんね?」

「その通り。魔王軍の千年少女とは、私のことだよ!」


 エレノアがリリスを弾き飛ばす。


「さあ、ご覧あれ! 全盛期の魔王軍の力を!」




 ◆ ◆ ◆




『四星の絆』はサヨを先頭に、第9フロアを急いでいた。

 背後からは激しい衝撃音が響き、洞窟が微かに揺れている。


「誰だったんだろうね、あの人……」

「只者じゃなさそうだったけど……助かったわね……」


 シノとルリは、ムビとユリを抱えて足が遅い。

 しかし、先頭のサヨは足を緩めなかった。


「急ぎますわよ。後ろがいつまで持つか分かりませんから」


 サヨも足を斬られ、ふらついている。

 全員が今すぐ倒れ込みたいほど消耗していた。


 そのとき、正面から魔物の群れが現れた。


「邪魔です!」


 サヨの呪文が炸裂し、魔物たちは一掃された。


「ごめんねサヨ! 戦闘は任せる!」


 サヨも息が乱れ、苦しそうだった。

 魔眼の反動もあるだろう。

 しかし、後方からリリスが追ってきている今、一刻も早く異界を脱出しなければならない。


「あった! 階段!」


 第8フロアへ続く階段が見えた。

 サヨ、ルリが駆け足で登っていく。


 シノは一瞬だけ振り返り、両手を合わせた。


「どうかご無事で……」


 エレノアのために祈り、すぐに2人の後を追った。




 ◆ ◆ ◆




 キィン!


 リリスとエレノアの武器が火花を散らす。

 戦いはすでに十数分続いていた。


「なるほど、あんた強いわね」


 距離が開き、エレノアが笑う。


「リリスって言ったっけ? ムビから話は聞いてたけど、噂通りの実力ね」

「ムビ様から……? あなた、魔物のくせに、ムビ様とどういう関係?」


 エレノアは胸を張った。


「ふふ、よくぞ聞いてくれたわね。何を隠そう、私がムビの彼女ってわけよ♪」

「……は?」


 リリスが固まる。

 エレノアはさらにニヤついた。


「おっ? なんだ、効いてるみたいね? ひょっとして、あんたもムビにほの字か?」


 エレノアの舌はさらに饒舌に回る。


「ムビとはデートもしたし、ご飯も作ってあげたわ♪ なんなら一緒に暮らしてるし、おやすみからおはようまで同じ屋根の下☆可愛い寝顔も何度も見たし、他にもあんなことやこんなことまで……♪」


 ゆらりと、リリスの上半身が揺れた。


「なるほど……ムビ様に寄生する虫けらでしたか」


 魔剣をエレノアに向け、凝縮された殺気に空気が凍る。


「お前、魔物なんでしょう? なら、殺しても問題ありませんね」


 ガキィン!


 一瞬で間合いを詰められ、剣が振り下ろされる。

 エレノアは受け止めたが———。


(お……重い!?)


 衝撃に耐えきれず、壁まで吹き飛ばされた。

 エレノアは受け身を取り、なんとか着地する。


「あんた……今まで、本気じゃなかったの……?」


 リリスは嗤った。

 まるで、殺意が人の形を象ったかのよう。


「殺してあげます。惨たらしく、残酷に。お前の汚い血は、そこらの蛆にでも啜らせましょう」


 エレノアは冷や汗を流しながらも、笑った。


「死なないよ。ムビともう1回デートするって約束したんだから」


 大鎌を振り回し、リリスに向かって駆け出した。

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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