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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

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第317話 準決勝第2試合、開始

 千年前、人類史上最悪の厄災と呼ばれた魔王軍は、勇者パーティによって討伐された。

 数百年にわたる戦争の末、人類の総人口は3割まで減少した。勇者が現れなければ、人類は滅亡していたと語り継がれている。


 その伝説の魔王軍———その幹部の生き残りが、まさか現代まで生き延びているなど誰が想像しただろうか。


「ミ、ミナリィが……魔王軍幹部……?」


 ゴリはぽかんと口を開けたまま固まっていた。

 千年を生きる魔物? どう見ても普通の少女にしか見えない。


 玉座に座る黒いマスクの少女、世界No.1のMtuber・ミナリィは、足を組んだまま軽く笑った。


「そ。ぼくはね、魔物化した元人間なんだ。ほぼ不老だから、見た目は17歳の頃から変わってないよ♪

 ———まぁ、『両面宿儺』本人なら、その程度不思議でも何でもないだろう?」


 ミナリィは肩をすくめる。


「さて、話を戻そうか。要は、勇者パーティの転生先を潰しておきたいんだ。君たちの故郷は滅んじゃうけど、君たちとその親族の繁栄は約束するよ。どう、協力してくれる?」


(なるほど、そういうことか……。)


 ゼルは納得し、迷う様子もなく笑みを浮かべた。


「もちろん、喜んで」


 即答。

 リゼとマリーはゼルを思わず凝視する。


「ちょ、ちょっとゼル……国が滅ぶのよ!?」

「そ、そうですよ……! 我が身可愛さに、国を売るというのですか!?」


 ゼルは面倒くさそうにため息をついた。


「何を言っている? 俺は別に好んで王国を滅ぼそうとしているわけじゃない。自分の生活を守るための最適行動がたまたまそれだった、というだけだ。仮に国が滅んだとして、それは俺だけのせいなのか? 問題意識も持たず、その程度の脆弱な国力に甘んじ続けた王や国民たちが悪い……そうだろう?」


 淡々と語るゼルに、2人は言葉を失った。


「信じられない……」

「自分が、人殺しに加担している自覚はないのですか……?」


 ゼルが笑い始める。


「お前らこそ、奴隷の自覚はないのか? 俺にそんな口を聞いて許されるとでも?———『もう、黙れ』」


 ギアスの命令が発動し、リゼとマリーは口を閉ざす。

 ゼルはゴリへ視線を向けた。


「お前は大丈夫だよな、ゴリ?」

「当たり前よ! レベルも上げてもらって、魔剣ももらえるんだぜ? 幹部ポストも保証されてる……最高じゃねぇか♪」


 ゼルの口元がつり上がり、玉座のミナリィを見上げる。


「というわけです。ご支援いただきありがとうございます、ミナリィ様。我ら『白銀の獅子』、必ずや優勝してみせます」

「ふふ、頼んだよー♪」


 ミナリィは満足そうに笑みを浮かべた。




 ◆ ◆ ◆




 翌日。


『四星の絆』の4人は観客席に座っていた。

 これから始まる準決勝第2試合———『白銀の獅子』VS『ドラゴンテール』の優勝候補対決に、会場は熱狂に包まれていた。


「すごい盛り上がりだね」

「巷では"事実上の決勝戦"なんて言われているからね。注目度も半端ないね」


 ユリはサヨを見つめる。


「サヨ、昨日は大丈夫だった?」

「はい。途中で帰ってしまい、申し訳ありませんでした」


 サヨは結局、何があったかを語りたがらない。


(まぁ、サヨだからきっと大丈夫だよね)


 ユリは気にしないことに決めた。


「ところで、やっぱりムビさんから連絡……ありませんでしたね」


 シノはスマホを見て眉を寄せた。


「やっぱり、ムビくんの身に何かあったんじゃ……?」


 そのとき、割れんばかりの歓声が会場を揺らした。

『白銀の獅子』と『ドラゴンテール』が入場したのだ。


 両パーティはフィールド中央で向かい合った。

 ゴリがマルスの視線に気づき、話しかける。


「よう、『ドラゴンテール』さんよ。死ぬ準備はできたか?」

「このときを待ちわびていたよ。君たちが予選でシノにしたこと……決して許すつもりはない」


 怒気の込められたマルスの声。

 しかし、ゴリはニヤつき始めた。


「あぁ、あれか? へへ、たまらねぇ体してたから、た~っぷり堪能してやったぜ? それに、骨を折る度にビクつきやがってよぉ♪ 今思い出しても最高に笑えるぜ! ぎゃーっはっはっは!」


 ゴリが笑うたびに、マルスがどんどん殺気立っていく。


「お前らのようなゲスにかける言葉はない。悪いが、本気で行かせてもらう」


 瞳を燃やすマルスに、ゼルは嘲笑を浴びせた。


「本気だと? お前ら凡夫の本気なんて、たかが知れてるだろうが?」


 審判がダイスを振る。


「ルールは"パーティ戦"に決まりました! 両チーム、白線までお下がりください」


 大歓声を浴びながら、両パーティは背を向けた。


『ドラゴンテール』の戦士、ユーゼンが声を潜める。


「おい……あいつら、妙に余裕たっぷりだな」

「そうですね。まるで、勝利を確信しているみたいな……」


 神官のロイターも同調する。

 ジュリは聖装の弓を手に持ちながら、眉をひそめる。


「私たち相手に、この余裕……」

「気を付けよう。きっと何かある」


 マルスも聖剣を取り出す。

 始めから全開の構えだ。


「そうだな。油断せず行くか」


 ユーゼンは斧を、ロイターは杖を取り出した。


「さぁ、いよいよ始まります! 優勝候補同士のこの一戦!『ドラゴンテール』は既に武器を取り出しています!」

「相手は『白銀の獅子』。さすがに本気……ということでしょうな」


 両パーティが白線に並び、向かい合う。


 ゼルがにやりと笑った。

 閃光と同時に、『白銀の獅子』全員の手に魔装が握られる。


 ジュリが目を見開いた。


「あれは……聖装!?」

「あいつら、前の試合までは普通の武器だったはずじゃ……!?」


 会場がどよめく中、マルスは静かに『白銀の獅子』に視線を送った。


「なるほど……。やはり、一筋縄では行かなさそうだ」


 両陣営が武器を構え、審判の声が会場に響いた。


「それでは準決勝第2試合……開始ィィィィ!!」

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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