第2-89話 ルグアの留守電
◇◇◇翌日 アレン目線◇◇◇
「おはよう。あれ? 団長は?」
「あら、アナタもお早いのね。目に隈ができてるわよ?」
「あ、いやこれはその……」
「まあ、いいわ。団長って明理ちゃんのおことよね?
彼女なら『深夜帯nできなかったクエ30分で片付けてくる』と言って飛び出して行ったわ」
「ルグアのことっすから、クエスト数言ってると思うんすけど……」
「それなら、たしか10だったかしら? ガデルちゃんから『控え返してもらうの忘れてた』って言ってたけど、焦りは感じられなかったわ」
早朝からの長話。今日はリフェリアの地下に潜むガーゴイル討伐の日。だけど、俺とメルフィナ、ロムの三人では危険だ。
ここで待機するのが安全。ルグアが帰ってくるまで、勝手行動はしたくない。どれだ強いのかもわからないから。
そういえば、今日中にエルフィレンナに行かないとだったっけ?
――『おーい‼ アレン聞こえるか?』
「ルグア‼ けどなんで通信まほ……」
――『すまない。ちいと用事ができてしまった。クリアするまでに1時間以上かかるかもしれない』
「ということは……」
――『残念だが、ガーゴイル戦に同行できなくなった。こっちもできるだけ短時間攻略を目指す。
それまでアレンが指揮を執ってくれ』
「わかりやした」
一度やったことがあるから、多分大丈夫。俺はオーラを頼りに、メルフィナとロムを引き連れる。
山地というのもあり、村の近隣には小高い山。田園風景も広がっている。まるで、棚田のように。
都会暮らしだった俺にはとても新鮮で、遮蔽物の少なさに開放感があった。障害物もゲームほど多くない。
「ガーゴイルはこの先っすね……」
「祠かしら? 地下道には見えないわね……」
「そうですね……」
「まあまあ、行くしかないっすから。素早く終わらせて、ルグアをびっくりさせるっすよ‼」
ガーゴイルって、空飛ぶんだっけ? 空中戦になったりしないよね? 高い場所は平気だけど、ウェンドラみたいに浮遊できない……。
けど、遠距離戦なら‼ ってか俺、メルフィナとロムの戦闘スタイル暗記してなくね? 一応、短剣と槍使いっと……。
最後はフォーメーション? だったけ? フォーメーションどうしよ。槍ならまだわかるけど、短剣知らない。
「とにかく俺が手本をっすね……え?」
『おいおい。まだやってなかったのかよ……』
ルクアが帰って来てしまった。俺の作戦がァァァ⁉ っていうか、『1時間』かかるって言ってたよね?
異常に早すぎね? あれから少ししか経ってないよ? 団長の1時間ってどんな感じなんだろ? 体内時計どうなん?
「はぁ……。あのなぁ。もうとっくの昔に1時間経ってるぞ‼ きっちり60分」
「マママ⁉」
「マジだ。さっきの1時間ってのは、私の留守電さ。ディレイコマンドを使用した通信魔法の応用だ」
「だーまーさーれーたー⁉」
ルグアやべぇよ。留守電できんのすげー‼ 会話も完全に俺の発言先読みしてたけー? 自然すぎて気づかなかった……。
それなら俺も納得できる。だって留守電だもん。発動したのが今から1時間前だよね? じゃ、1時間経ってたのかよ‼
「じゃ、一瞬で終わらせるか……。ガーゴイル接近まで残り1分……。50……40……。30……。20……。ロム前方攻撃系統の武器能力を使用してくれ‼」
「あ、は、はいわかりました」
――神器起動‼ トルネードブロウ‼
ロムの武器能力。俺のと全く違うんすけど‼ めっちゃかっこいい‼ トルネードだよね? 風力ヤバそう……。
「よし。今敵がいる位置は……。ここから50メートル先か、相当吹き飛ばしたみたいだ……」
「え?」
「ロム。もう一度可能か?」
「できますけど……」
ルグアの先導で奥へ入っていく。どんどん暗くなり、坑道よりも光度が低い。何かしらで明かりをつけないと、つまづきそう。
それも計算内のようで、ルグアは松明をつける。そしてなぜか俺に渡して、ジョギング感覚で先をゆく。
もしかして暗視能力? よく見えるよなぁ……。夜中真っ暗だと出歩けない俺とは。何もかもが違いすぎる。
『お‼ あったあった……。最後のクエスト限定アイテム‼ あのじっちゃんここに落としてたんかよ……』
「ルグア?」
『ああ、なんでもねぇよ。それに、ガーゴイルの卵か……。これを破壊すれば……。約70万体のヘイトが私に……っと。
子供のガーゴイルは、こっちで預かっておくか……』
――キエエエエェ‼ ガルルルルル……。
「団長‼」
『私は大丈夫だ‼ みんな来てくれ‼ とっておきを見せてやる‼』
「とっておきっすか?」
――Z+魔法 ジャッジメント・バーニング・ラビリンス‼
『一気に燃えろぉぉぉォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ ‼』




