第2-38話 アクロバティックに‼
「今がお相手さんの潮時だよ‼」
「そんな……」
なぜかわからないが、俺への声援は完全になくなり、敵ギルドの味方が増えていた。俺の味方は俺自身。感じるのは〝孤独〟という二文字だけ。
結局俺は一人ぼっち。あっという間に仲間が消えていく。話し相手がいない。そんな毎日が苦痛で窮屈でしか……。
――『なんかまた自分の首を締めてないか?』
「ルグアさん?」
――『たしかに、物事を考えて分析するのも大事だが、硬くなりすぎだ。もっとざっくりでいいんだよ。現にお前は敵に腹を見せた猫。まあ、犬でも説明可能だが。犬や猫って、安全と認めた人にしか腹を見せない。理由は……』
「腹が急所だから? 立ち上がりづらいっすからね……」
――『その通り。なら、アレンに少しアドバイスを……。特異点魔法は使えないんだったよな?』
「は、はい」
今日のルグアはどことなく控えめだ。熱心ではない。もしかして、俺が考えられるようにしているのだろうか? ルグアに感謝しかない。
俺は彼女の話を聞きながら、迫る敵軍を避けていく。頭の中で考えながら身体を動かす。槍が当たらないように心がけ、とにかく相手を疲れさせる。
こんな戦い方は初めてだ。ずる賢い方法だけど。終わりがわからないくらい、長期戦になるのも知ってるし。
それでもいいから、サイドステップやバク転で、アクロバティックな自分を目立たせていく。
「さっきから逃げてばかりで、戦う気は失せたんかい?」
「いいや、そんなことないっすよ‼ これは俺の彼女から、ルグア団長から教わったことっすから」
逃げの戦法とでもつければ、かっこいい。それなら、印象に残るバトルにしたい。この場所で俺の名前を覚えてほしい。
ただの宙返りをするなら、上空で二回転捻り。着地と同時にバネを利用して、後方へ向かって空を舞う。
無駄な動きでもいい。正確な動きは目立たない。ただの戦いにするのではなく、見せるバトルにさせていく。
せっかく。まあ、めちゃくちゃディスられているけど、チェリスに『イケメン』と言われているのだから。
「せっかく、体育の5段階評価だけが5なのに、学級では地味なイケメン(本当は自分から言いたくなかった)だけど。ここでならきっと‼」
俺は、繰り出せるだけの技で、とにかくコンボを重ねていく。槍の柄を高飛び棒に見立て、高く跳躍。
そこからさらに攻撃も付け加えて、短い間を埋める。もう逃げだけではなくなった。とことん身体を動かして、槍も勢いよく振り回す。
一瞬でしかない一種のエンターテインメント。周りからは大きな歓声。敵も圧倒されたのか、ぽかんと口を半開きにさせて固まっている。
「そう来るとはね……。面白い。団長さんの戦闘スタイルは、これまで見てきた中でも楽しめる。その戦い方は、今後に役立ててもらいたい。一度手を組んでもらえないかね?」
「手を組むって……」
「こっちの負けだよ。団長さんがこの戦いを盛り上げてくれたからね。その代わり、同盟に入ってくれ……」
「ぜひ‼ 歓迎に決まってるじゃないっすか。俺のギルドで良ければ、どこまでも‼」




