第2-23話 女性に揉まれて……
――ドガァーン……。
「チェリスやりすぎっすよ‼」
「そうかしら? みんな‼ あんなところにイケメン犬がいるわよ‼」
「へっ⁉」
――ぞぞぞぞぞぞ…………。
遠くから聞こえる足音。一直線に近づいてくる。何かがやってくる。大ツバメはもういない。チェリスの砲撃で倒れたから。
やがて砂ぼこりが巻き上がり、迫ってきたのは女性の群れ。しかも、男性アバターは一人もいない。全員女性アバターだ。
だんだん距離が迫ってくる大衆。砂ぼこりも激しくなる。そして、案の定俺は女性陣にもみくちゃになった。
押し付けられる胸。ぷにぷにとした感触は、今までにない気持ちにさせる。露出が多いアバターの肌は柔らかく、状況が掴めない。
「どうかしら? ほんとイケメンなのは良いのよね……。アレンって……。私はあんたのことが好きなの。ルグアと付き合うのはやめにしなさい」
「しつこいっすよ……。俺はルグアじゃないと……。ルグアと一緒に暮らして……」
「そんなの無理に決まってるわよ。違法薬物を接種したからには、思考もままならないし、縮んだ脳も元には戻らない。いくら死ぬことができない身体でも、この二つは回避できないはずよ」
――『それはどうかな? んーと、私の声を全員に聞こえるようにしてっと、よし‼』
「ルグア?」
――『第二十層遊園地跡にいる全プレイヤーに連絡。現地点から約30キロメートル先にボスの気配を察知。ここからは私に従って行動してくれ‼』
「それほんとなの? 脳が働いていないキチガイの言葉は嘘に決まってるわよ。みんな撤退の体勢に入って」
「チェリス……」
「ほら、アレンもさっさと乗りなさい」
「けど、まだ子供達が……」
『そうですよ。チェリスさん』
「リゲルも反論するのかしら?」
――『補足追加だ。きっとこれはアレンが言うプレイヤーかもしれないな……。敵に襲われている』
「ルグア、あざっす‼ チェリスさん。俺はルグアに従います。なので先に帰ってください」
別に脳が働いてなくてもいい。ルグアの勘は今まで一度も外れたことがないから。俺はルグアを信じる。ルグアは俺の成長を信じてくれている。互いに信じあっているからこそ、俺はルグアに従う。
ムカついたように頬を膨らませて、俺の前で仁王立ちするチェリス。確かに彼女からも多くのことを教わった。だけど、ルグアを超えるほどの好意は感じられなかった。
俺はルグアに依存してしまったのかもしれない。それだけ、ルグアのことが好きになっているのなら、一日でも早く助け出したい。
こんなに思いが込み上げてくるのは初めてだ。ルグアのことが頭から離れない。もしかしたら、これでみんなとはお別れ。それでもきっとまた会えるはず。だから俺は……。
「チェリスさん。皆さん。今までありがとうございました。また、いつか……」
「きゅ、急に何よ? ふふっ。でも、今のアレンが一番輝いているのは何故かしら? 応援してるわよ。あと、風魔があんたと話したいらしいわ。一人で旅立つ前に宿屋に寄りなさい」
「了解しやした‼」




