第2-4話 サボり組
◇◇◇一夜明けて◇◇◇
「おはよう、チェリスさん」
「何その汚れ」
「へっ?」
丸々一日雑巾がけをしていた俺。一睡もすることなくひたすら走っていたからか、ホコリで身につけている装備が黒ずんでいた。
そういえば、武器は第七層や風魔に強化してもらっていたけど、防具は初期装備のままだ。自分でもよく初期装備で来れたと感じてしまう。
はじめての徹夜だったからなのか、ものすごく眠い。けれども、掃除はまだ続いているから、抜け出すわけにはいかない。
「そうだ、ねぇ犬?」
「なんすか急に?」
「やっぱり、ギルドには団服が必要な気がするのよね……」
「団服? 制服みたいな感じっすか?」
「ええ」
団服……。アーサー王伝説ってどんな感じだったっけ? 確かあまり統一されてなかったような気が……。でも、団服あった方がらしくなるかもしれない。
それよりも掃除を終わらせなければ。すでに100回以上ゆすいだ雑巾は、ゲームということもありボロ布にはなっていない。そこまでされたら、現実世界そのまんまだ。
「まだやるの? ちょっとあんた張り切りすぎじゃない?」
「そ、そうっすか?」
「まずは、装備を新しくした方がいいと思う。そうね……。ここから一番近い防具屋は……」
「す、すみません」
「謝らなくてもいいのよ」
早く掃除を終わらせたい。それに、今装備を新調したら、新調した装備が汚れてしまう。そうなるのならば、今のままで間に合っている。
思えば、クリム達高所清掃組は、一体何をしているのだろうか? そのことが一番心配だった。
◇◇◇高所清掃組 アルス目線◇◇◇
「クリムおじいちゃん、そっちはどう?」
「ゴホッ⁉ 急に呼ばんでくれんかね、アルス殿。喉にホコリが入ってしまったではないか」
「ご、ごめんなさい」
久しぶりのエネミー姿でホウキを咥え、あたし達は天井近くの棚を掃除していた。空を飛べるメンバーのあたしとクリム、レノン、レヌスは高いところを担当。
残りの風魔、雷夜、フィレン、ガデルが落ちたホコリを片付けるという配置。この配置は、風魔が独断で決めてくれた。リゲルから〝親分〟と言われるだけあって、メンバーを引っ張っているのでとても頼れる。
「アルス。手が止まっている。これが終わったら、拭き掃除。やるべき事はまだたくさん残っている」
「はい、すみません、風魔くん。少し考え事をしていました。今すぐ戻ります」
「それでいい。ガデルは回りを見すぎだ。確かに状況を再確認するのはいいが、上を向きすぎるとホコリが目に入る」
「ごめんなさい」
そう言う風魔は、新聞紙を取り出して水に沈めている。何をするのかわからないけど、風魔なら楽に掃除できる秘策に見えてしまう。
観察を続けると、今度は濡らした新聞紙を細かくちぎって、床にばらまいていた。一見散らかしているように感じるが、そうではないようで……。
「こうすると、ホコリが濡れた紙に絡みつき、微小なゴミもキレイに取れる。通常は畳でやる方法だが、フローリングでもいくらか違うはず」
「さすがふうにい‼」
「雷夜。アルス。また手が止まっている。サボるなら別の部屋に行ってほしい。ただし、サボったら管理人が言った罰に従ってもらう」
作業しながらも、指摘をしてくる風魔。その姿に胸が熱くなっていた。まるで初恋でもしたかのように……。




