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死がふたりを分かつとも!  作者: 狗巻犬
Burn Baby Born
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017 二色の虹

 核を新たに創り出す。言葉にするのは簡単だけれど、実際にやるとなるとそうはいかない。魔術に関してだけならともかく、機械工学――とりわけ魔導人機(オートメイド)についての知識などいま目の前に横たわるアルニカ以外に知りようがないのだから。


「そんなことが可能なのですか?」


 カラミティがそう問いたくなるのも仕方がない。わたしは類稀な実力と才能を持つ審神者とやらの候補者なわけだけれど、まだこの世に生まれ落ちて1年と少し過ぎたばかりの赤子であるし、何より盲目でこれまでは得られる知識や経験も限られていた。本当は自分でだって不安なくらいなのだ。


『信じて』


 不安と畏れ。たしかに尻込みしたけれど、その分ルーシィが背中を押してくれた。この子を救ってと、そう言ってくれた。だから頑張れる。どうやったらわたしにアルニカが救えるのか、最大限考えることができる。


 まず“種子(シード)”を核の替わりに用いる。でもそれだけじゃ足りないことも分かっている。わたしの生み出した“種子”は注ぎ込まれた魔力の種類によってその姿を変質させる。そういう意味では魔導人機の核に近い性質を持っているとも言える。だけど結局、魔導人機の構造が分からなければ核として最適化した役割を持たせてあげることが出来ない。ならばどうすれば良いのか。


成長(グロウ)


 左胸部に収納されていた瓶型の容器にはすでに粒子となったかつての核が密閉されていた。魔力によって精製された核は砕け散ってもなお、微かに魔力を纏っている。そしてわたしの“種子”は魔力を吸って変質する。大木にも薔薇にも頑強な核にさえ。


 “種子”から伸びた根が、少しずつ粒子を吸収していく。その全てを吸い上げた時、“種子”は真っ赤に染まってハートを型どったひとつの器官となる。それが魔導人機アルニカの新たなる心臓。幾度か蠢いて、鼓動と共に目も眩むような光を放った。


『さあ、起きて』


 もう一度、アルニカの核に魔力を込める。わたしの持つ二種類の魔力を流し込んでいく。枯渇寸前だった魔力を限界まで。もっと、まだまだいける。


「・・・イヴ、それくらいにしておかなくては。赤子の身体では保ちません」


 何処か遠くからカラミティの声が聴こえる。けれど返事をする余裕はなかった。いま魔力の注入を止めてしまえば、アルニカは二度と目覚めないかもしれない。だから。


『まだ・・・足りない』


もう限界だと自分でもわかる。身体が震え、意識が揺れる。魔力の放出が、途切れる。ああ、駄目だった。ごめんね、ルーシィ。姉さんは彼女を救えなかったよ。


 ごめんね、アルニカ。まだお話だってしたこともなかったけれど、それでもわたしはあなたを好きになれそうな、そんな気がしたの。お友達になれたら良かったのに。


 明滅する意識の最中、カラミティがわたしを無理矢理にアルニカの元から引き離した。そういえば彼女には迷惑ばかりかけている。ごめんね、それにありがとう。


 ぐらり、と傾くわたしの身体。カラミティは少しバランスを崩したみたいだ。視界がどんどん暗くなっていって、わたしはなんだかとっても眠い。どんより深い闇の底まで、どっぷり落ちてしまいそうだ。


「おはようございます、我が主」


 誰かがわたしを優しく抱き止めて、そんな風に呟いたのが聞こえた。この腕の中でなら心地よい眠りに就けそうだと、わたしは暢気にもそう思ったんだ。


 ねえ、アルニカ。ようやく会えたね

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