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異世界の神子は、逆ハーを望まない  作者: 一花八華
第一部
29/32

25~赤い眼差し~


『本気だからね。本気で誰にも渡したくない。』


強い眼差しが、私を射抜く。




『振り向かせるから。僕の事も見てよ。ミコト。』



ー紅い瞳を揺らしながら。セシル君が私に告げた真剣な想い。




ーはぁ。


「ーどうしたら…いいんだろう。」


朝食を終え、部屋に戻ったものの…私はベッドに転がり頭を抱えている。


「好きだなんて…どうして?……嫌ってたんじゃなかったの?……そんな…わけがわからないよ。」


さっきまで、ヴォルフの事でいっぱいだった頭の中。

セシル君の告白で、更に混迷をきたしてしまっている。


パニックだよ。

キャパオーバー。

処理不能。


元々良くない頭なのに…考えがうまくまとまらないよ。


『返事は…今は要らないから。…ていうか、まだ聞きたくない。』


私の唇を指で抑え…セシル君が言った。


『意識させたかっただけだから。…ヴォルフの事だけじゃなく。ちゃんと、僕の事も見て。』


真剣な目で。声で。


女の子みたいだな。弟ができたみたい。

そんな風に思っていた事を…セシル君は気付いていたんだ。


歳下だからって…こども扱いしてた…。


「男…の子…なんだよね。」


女の子みたいで、すごく綺麗な顔をしていても…男の子なんだ…。


「どんな顔をして会えばいいの?顔…合わせにくい…。」


ベッドに転がり天井を仰ぐ。異世界に呼び出され、神子と呼ばれ、魔王城へ旅をしている。

男性と接する事も、ヴォルフやセシル君のお陰で平気になってきた…そう思う。


そういえば…キスもしちゃってるんだ。

セシル君とも…ヴォルフとも…。


一人は、私を好きだと言ってくれた人…


一人は、私が気になっている……私の……好きな人…。



『なぁ。お嬢さん。もしかしてあんた。俺の事好きになってんの?』


あの時、返せなかった言葉。セシル君の告白を受けて…頭に過ぎったのは、ヴォルフの辛そうな顔。


惹かれてしまってるんだ。私…危険な狼に。


だから、尚更、セシル君の顔を見る事が…出来そうにない。


「返事をすべきだよね。でも、まだ返事は欲しくないって……本当に、どうしたらいいのか訳がわからない!」


フツフツと顔から湯気がでる。まるでヤカンだ。瞬間湯沸かし器だ。こんな状態じゃ、出掛けられそうにない。


本当は、服を買いに行く予定だったのだけれど。こんな調子じゃ無理だなー。ボフンと枕に顔を埋め呻くしかなかった。


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