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掴まれた腕から、熱を感じる。
セシル君の赤い瞳が、熱を帯びている。
「あの…その…私も…」
好き…だよ。
そう答えようと口を開けた所を、セシル君の白く長い指が押さえる。
ーむぐ。
「弟とか…そういった目で好きとか…いらないから。」
「あのね。言ったよね?ミコトを姉だなんて見れないって。」
大きくため息を吐き、セシル君は眉間に皺を刻む。
折角の綺麗なお顔が…。
「ミコトが、僕を男として見てないのはわかってるよ。僕も成長して振り向かせるつもりだったし。」
陶磁のような白い頬が、ほんのり紅く染まる。
「でも、うかうかしてたら…あんた他の奴に取られちゃうし…。」
視線を逸らし、もごもごと何かを呟く姿に…キュンと胸が疼いた。
ーかっ可愛い!
でも、きっとこれ言ったら本気で怒られる。
そんな気持ちが顔に現れてしまっていたのか…ジトっとした目で、セシル君に睨まれた。
「あーもー!本当は、意識されてから、もっとロマンチックに告白とかしたかったのに!!全部ミコトのせいだからね!」
え?なんで?
「ソレってすごく理不尽…」
「ー理不尽じゃない。だって、こうでもしないとあんた鈍すぎて気付かないよね?僕の事、意識なんて絶対しないよね!?」
ー否定ができません。いや、そもそもこの数ヶ月の間の何処でセシル君は私に好意を?
すごく嫌われていた事や、叱られた記憶しかないんだけど…。
「何処が…」
「どこが好きとか、いつ好きになったとか聞かないでよね。そんな痴態晒せたいの?羞恥プレイとかごめんなんだけど!?」
「ーすみません。」
私も自分がさせられたら嫌だ。
本当にごめん。
「一人の女性として、ミコトの事好きだから。」
ーグイッと腕を更に引っ張られる。
コツンとおでこがあてられた。
「僕の事、意識させるから。」
「覚悟してよね。」
ーちゅっ。
可愛らしい音と共に、腰を屈めた私のおでこに…セシル君の唇が触れる。
「?」
「!?」
「!!?」
おでこを抑え、狼狽する私にセシル君は満足そうな顔を浮かべ笑った。
「ははは。顔が真っ赤だよ。ミコト。」
「えっ!?セシル君…やっぱりからかって…」
酷い。歳上をまたそうやって…
「ーきゃ!?」
壁に押し付けられ、座り込む。
上から見下ろすようにセシル君が立ち、壁との間に私を挟む。
「まだ、そんな事言うの?」
「だって…。」
「本気だからね。本気で誰にも渡したくない。」
強い眼差しが、私を射抜く。
「振り向かせるから。僕の事も見てよ。ミコト。」
ー紅い瞳は、強さと儚さを宿しながら…ゆらゆらと揺れ私を見つめた。




