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異世界の神子は、逆ハーを望まない  作者: 一花八華
第一部
21/32

17

「ねぇ。その格好。」


隣を歩いていたセシル君が、私に声をかけてくる。


「やっぱり…変かな…?」


気恥ずかしくて、思わず苦笑いを浮かべてしまう。ああ、こんな思いするなら、メイクも何もしなければよかったかも…リタさん。折角綺麗にしてもらったのに、本当にごめんなさい!


「別に…似合ってないと言ってない…。」


落ち込む私に、セシル君がつっけんどな声で話す。


「あんたにしては、その…綺麗…なんじゃない?髪あげてるのとか…その…悪くないと思うけど…。」


あー。これ、一生懸命慰めてくれてるんだ。口では色々きつい事言うけど。セシル君ってこういう所が優しいよね。


「ありがとう。」


にこっと笑って返すと、顔を真っ赤にして


「べっ!別にあんたの事、褒めたわけじゃないから!勘違いしないでよね!」


っと怒られた。


「わかってるよ。慰めてくれてるんだよね。優しいね。セシル君は。」

「ーっな!」

「あんた、わかってない!ほんとにぜんっっぜん、わかってない!」

「え?ちゃんとわかってるよ。勘違いしないように気をつけてるし。」


うん。勘違い女は、痛々しいものね。自分より遥かに綺麗な男の子前にして、自分可愛い!とか自分綺麗!とか思える程、腐っためんたま持ってないです。

そんな私に対して、セシル君はがっくりと肩を落として呟く。


「はー。ほんと疲れる。どーすれば伝わるの…」


ぶつぶつと不満を漏らすセシル君に、なんだか申し訳なく感じてしまう。


「なんか…ごめんね。」

「謝られても…逆にムカつく。」

「だから、ごめんって。」

「大体…その格好してるのが、ヴォルフと一緒の時っていうのが、一番ムカつく。」


いや、そーいわれましても…川に落ちたから着替えるしかなかったわけで…。


「あんたなんか、村人の服でも着てればいいのに。」

「あーそうだよね。うん。動きやすい服装の方が私も楽だしなー。神子服なんてやめて、旅の間は、それにしようかな?できれば男装の方が身軽でいいんだけど。」


「…斜め上の回答が返ってくるとか…」


ぽかんとした表情でこっちを見てくる。あれ?私また変な事言った?また呆れられてる…どう返せばよかったんだろ。首をかしげる私の後方で、


「ーっぶ!!くっくっくっ!!」


後ろからついてきていたヴォルフが、堪えきれずに吹き出した。


「お嬢さんっーほんっと最高っ!ヤバいっハマるっっ」


くつくつと手を口元にあて、笑う。

何もそこまで笑わなくても。

いやー。貴方本当に性格悪いよね。ムカムカしてくるんだけど…。


「「ムカつく。」」


セシル君と声が揃った。だよね?そう思うよね?


「いや、そこ合わせなくても…。なんか嫉妬しちゃうな。」

「なら、ミコトに絡むのやめてくれる?殺したくなるから。」

「おおっ物騒だねー。セシルは…。」

「なに、その余裕ある態度。ほんとムカつく…。その無駄に手入れされた、銀色の毛皮を剥いで、剥製にでもしてあげようか?発情狼っ…。」

「…ヤれるもんなら…ヤってみろよ…陰険色白お坊ちゃん…」


ああっ…なんだかまた不穏な空気が…もういっそ受け狙いで『ワタシノタメニアラソウノハヤメテ!』っとヒロイン呪文でも唱えてみるべき!?

そもそも、なんでこの二人はいつも喧嘩に発展するのよ!?本当に頭が痛くなる。

どうしたものかと、狼狽える私を制してルドルフさんが二人の間に入った。


「神子殿を巡って、喧嘩するのはやめないか。」


低い声で、二人を諌める。その言葉に三人共、思わず固まる。


「え!?いや、私を巡ってとか…ありえないわけで…」

「はぁっ!?何処をどうみたら、そんな事になるの!?別に僕は、ミコトの事なんて…」

「うっわ…俺とした事がついムキに…」



冷や汗が出そうになる私。

顔を真っ赤にして怒るセシル君。

片手で顔を抑え、あちゃーっと肩を落とすヴォルフ。


「む。何か間違えたか?」


ールドルフさん。止めるにしても、言葉は選んで下さい。


ーというか、私も妙な呪文を唱えなくて本当に良かった…。



と、その場の微妙な空気を肌に感じながら、心の中で粒やいた。

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