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VRMMO「Malice」―銀髪少女の悪意  作者: Hon_S
第二章:夜の国
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第17話:潜入

な、なんだこの展開は。想定外もいいところだ。


「私もねー、カジノには何回もやられててムカついてんのよ。ヒールも折れて今日むしゃくしゃするし。なんか憂さ晴らししたい気分だわ。」

「ヒ、ヒールのことは、すみません……。」


この女性、破天荒すぎる。


「というわけで、いくわよ。」

「あ、ええ、はい……。」


ヨシカワには、「作戦に1名ついてくることになりました。

知らない人ですが事情は後ほど説明します。」と

一言チャットを送っておく。


彼女も言っていたが、カジノで大負けしたことを逆恨みしているのだろう。

今は時間もないし、頭数が多いことに越したことはない。


作戦を手短に説明して、うまいこと助けてもらおう。


「けどキミ。見た感じまだ20レベルちょっとよね?どうやって忍び込むつもりよ。」


ジュンは、作戦の内容を説明する。


最上位催眠アイテムを所持していることについては、

高レベルの友人から貰ったということにしておいた。


「ふぅーん、ずいぶん中の構造に詳しいのね。ギルド員でもないのに。」

「それは、とある情報屋に聞いて。」

「情報屋ねぇ。お金はどうしたのよ?」

「高レベルの友人からもらって。」

「その高レベルの友人は今何してるのよ。」

「彼は、今は特に何も。表立ってこのギルドと敵対したくないので、僕を陰ながら応援してくれると、そんなところです。」


根ほり葉ほり聞いてくるな。この人。


「そういえばアンタ、名前は?」

「ジュンです。よろしくお願いします。お姉さんは?」

「レイよ。」

「よろしくお願いします。レイさん。」


レイか。見た目に違わず強そうな名前だ。


レイのステータスをチェックする。


名前:レイ

レベル:非公開

職業:非公開


すべて非公開か、残念。


レイは、深紅の目のショートヘアーの女性キャラクターだ。

髪型は前下がりになって雰囲気やセンスを感じられる見た目である。

両目は、くりっとした猫目でなかなか強烈なインパクトがある。


そして服は、いわゆるチャイナドレスで、

赤に金色の竜の刺繍があしらってある。

だいぶ深いスリットで目のやり場にこまる。


強めな女性は苦手なんだよな。

手伝ってくれるというならお願いして、完了後はさっさとグッバイしよう。

どこまでやってくれるかわからないけど、おとりぐらいにはなってくれるだろう。


さて、早速侵入作戦を開始する。


Ninety Eight Percent内のプレイヤーの動きは常にシバサキが把握していて、

何か問題があればこちらに連絡をしてくれることになっている。


特に連絡がないということは、ブリーフィング通りに作戦を進めてよいということだ。


現在、東の小門前から約10mのところにいる。

目の前にいる50lvの警備BOTに

「ネムレ・トワニ」をぶん投げて、機能を停止させる。


ギルド員向けの小門とはいえ、

豪華な見た目をしている小門を潜り抜け、第一の関門を抜ける。


警備BOTは完全に停止していて、

横を通り過ぎても何の反応もない。


「アンタ、20lvの割には妙に侵入の手際がいいわね。」

「ゲームだけはたくさんやってきましたからね。」

「ふぅーん」


小門を潜り抜け、豪華な日本庭園を横目に、

台所の勝手口のドアから内部に侵入する。


平日の午前中ということもあって、人の気配はない。


食堂についてもプレイヤーの姿はなさそうだ。

そのまま食堂を抜けて、地下一階に向かう階段を発見する。


この先には60lvのプレイヤーがゲストルームの警備として待機している。


シバサキに念のため進捗について連絡する。

特段の返答はないので、予定通りこのまま60lvのパラディンとの戦闘に入る。


右手にいつでも大鎌を構えられるように準備をしておく。


「レイさん、この階段を降りると60lvのパラディンがいます。基本的には僕がやりますが、何かあればサポートいただければと思います。」

「はぁ?20レベルぽっちでどうやって60lvのパラディンに勝とうっていうのよ。」

「プレイヤースキルには自信がありまして。」


パラディンは、物理・魔法防御力に優れた剣士系統職だ。


巨大な盾で強力なモンスターやボスの攻撃を受け止めることができるほか、

ギルド戦では一番槍として最前線に切り込む体力もあるため、

グループ行動の際は重宝されている。


特に有能なパラディンが一人でもいると、

戦線が押し下げられないため非常に有用だ。


警備としてもうってつけだろう。


仮に60lvよりも高レベルなプレイヤーが来たとしても、

防御に専念すれば一定時間の間は耐えることができるし、

その間に増援を呼べばいいだけだ。


「では、早速行きましょうか。」

「面白いじゃない。お手並み拝見ね。」


ジュンとレイは物音を立てないよう

螺旋上になっている階段を半分ほど降りる。


そして、降りた先にあるゲストルームとパラディンを確認する。


ジュンは言葉に出さないまま、

レイの目をみて「行きます」と伝えるように頷いてから、

階段を一気に駆け降りる。


物音に気が付いたパラディンは階段に素早く注目し、盾と剣を構え、叫ぶ。


「何者だ!」


その呼びかけを無視して20mほど先にいるパラディンめがけて真っすぐ駆ける。


低レベルの装備に安心、もしくは、油断したのか、

パラディンはバカにしたような声を飛ばす。


「おいおい!なんだお前は!お前のようなやつが来る場所じゃないぞ、ここは!」


無視して駆けてくるジュンをみてパラディンは叫ぶ。


「襲撃か!?その程度の装備でなめた真似を!」


パラディンは、ジュン目がけて遠距離から剣撃を飛ばす。


剣士系統職が40レベルに共通で覚える「ソードウェイブ」だ。

上空にいる鳥類や竜などのモンスターにも攻撃が届くうえ、近距離戦闘から

距離を置こうとする相手にも追撃が可能だ。


当然だが、ジュンにとっては最も見慣れた攻撃のうちの

1つで間違っても当たるようなものではない。


駅の人混みを避ける方がよっぽど難しい。


ジュンは、剣撃を敢えて直前でよける。

パラディンは少し驚いたような表情をしていたが、

剣と盾を構え、ジュンを待ち受ける。


パラディンの対処方法はこうだ。


ある程度近づいてからこちらも中距離攻撃の

『ダークスラッシュ』を行い、盾を構えさせる。


正面から突き崩すのは盾を構えているのでどうにも難しいが、

ガード状態の間に、鎌をパラディンの首後ろにまで忍び込ませ、

そのまま引き抜けばいい。


人型モンスターは、これで首と胴体を切り裂かれて、「クリティカルヒット」だ。


簡単なようだが、射程距離3mの『ダークスラッシュ』を放つタイミングと、

間髪入れずに大鎌を相手の背後に回しこむ正確な動きが必要だ。


幅広い廊下をかけていくジュンに対して、パラディンは動きをとめている。


モンスター狩りをするパラディンの基本的な動きだ。

相手のヘイトを集めるモンスター狩りならその動きでもいいだろう。


ただ、これは対人戦だ。


モンスター狩りの要領で対応してくるということから、

相手が対人戦に慣れていないであろうことを悟る。

申し訳ないが、簡単なお仕事のようだ。


二人の距離が3メートルに近づいたところで、

ダークスラッシュをパラディンの足元に飛ばす。

それと同時に、最大の力で足を弾き、駆ける。


パラディンは予定通り、

少ししゃがむような動きを見せて自分の体を大盾に隠し、

ジュンのダークスラッシュを無効化する。


そして、ダークスラッシュの無効化に集中するパラディンの首元の高さに

大鎌を忍び込ませるように回しこみ、十分な重みと強さで引き抜く。


パラディンの首が落ち、ジュンの勝利が確定した。


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