最後
「はあ、はあ…」
「ここまでだな、化け物ども!!」
体のあちこちから血を流し、二人は膝をつく。疲労も限界な上、巧みに誘導されて開けた場所に出てしまっていた。逃げようにも間違いなく狙い撃ちされるこの草原、追い詰められている。
「お前たちで最後なのだ、やっと、やっとこれで私も償いを終えることができる!!」
老人は勝ち誇る。
「は、万事休すか。」
自虐的に笑うオリジン。クロウは息をつくのがやっとだ。
ダンッ!!
「ぐああっ」
銃弾がオリジンの片足を撃ち抜く。傷を押さえ、わずかに震えているのを更に楽しそうに嘲笑う声。
「さてどうやって殺してやろうか?」
「楽しそうだな、こんな派手な八つ当たりが出来るんだから当然―、っ!」
左二の腕から吹き出す血、言葉を切りクロウは呻いた。
「その減らず口塞いでやる!」
銃が構え直される音に二人が目を伏せたその時、ざわめきと複数の銃声。
「な、何事だ!?」
「女の子が、火薬類に水を…!!使い物になりません!」
その言葉が終わるかどうかのうちに転がってきた影。わずかな星の光にヴェリタが見極めたその人物は。
『ミラン!』
呼ばれて擦り傷だらけの顔を上げる。
「なんで来たんだ!?」
オリジンの問い掛けを無視して、ヴェリタを後ろに庇いまっすぐ立つミラン。
「もう、やめてください。」はっきり通る声。
「それは出来ない。ここにいる人は皆暴走したクローン人間に大切なものを奪われた人たちだ。これは敵討ちなんだよ。」
「それにヴェリタは関係ない!二人は暴走してないしこれからもしない!!」
「そんなのわからない!!」
誰かの叫びと銃弾の唸りが重なった。ミランの右頬に細い傷が刻まれ、髪が数本舞い落ちた。しかし彼女は臆さない。
「みんなそれでいいの!?関係ない人に憎しみを向けて、それで満たされるの!?」
「……毒され過ぎてしまっているね。仕方ない。そんなに肩入れするなら一緒に死ぬといい。」
真正面、紅いレーザーが五つ、ミランを照らす。他に動く者はない。ミランも動かない。
「ミランッ!」
「やめろぉ!!」
静寂で、わずかに引き金を引いたらしい音がした。
―――発砲音がするかしないかのうちに、レーザー光は二つの影に遮られた。




