クロウとミラン
あっという間に山の麓、乾いた荒野に辿り着き、クロウはすっとミランの手を放した。町の灯りを示し、
「さあミラン、此処からは一人で行けるよね。」
すぐに背を向け走り去ろうとする。
「待って、私も最後まで見届けたいよ!」
「足手まといだ!!」
振り返らず、強い口調で言い放つクロウ。それでも髪の毛の隙間から少し見える瞳はミランを見つめている。
「嫌、やっぱり一人だけ安全なところに逃げるなんて―――」
「ミラン!」
言葉を遮って、クロウはミランを抱きしめた。突然の事に動けなくなるミラン。耳元で小さく告げる彼。
「ごめん。ごめんね、一つだけ言わせて。ずっと抑えてたんだけど…」
「ど、どうしたの?」
「一目惚れだよ。ずっと好きだった……本当は言わないつもりだったけど。造られた存在であるオレは、きっと誰かを好きになっちゃいけなかったんだから。ごめんね、勝手で…。」
思考が追い付かない彼女を残して彼は走り去った。
まず深呼吸して一度冷静になる。ミランにはとっくに覚悟があった。光の方を振り返ることは無かった。つい先ほどまで触れていた温度が、彼が溢した想いが彼女の心を支える。
「諦めちゃダメだよ。」
自分や、闇へ去った彼や、一人戦っているであろう彼に呟く。首を振り否定する。
「見捨てないよ、どうしようもないなんて、私思ってないから!」
駆け出す。彼らの元へ。




