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買い物騒動

 今ミランは再び都市ヴァイスへと戻っていた。あの老人率いる組織によって貿易馬車に強い護衛が付いてしまい、食料の調達が難しくなった、と言うヴェリタに、

「私が買い物してくる!!」

 意気揚々と名乗り出たのが事の始まり。二人には散々反対されたが、隠れ家に冷蔵庫がなく蓄えが無い事もあってなんとか説得出来た。

「ミランも顔を見られてるんだから油断大敵だぞ。」

「一応見える距離で着いていくけど危ないと思ったらすぐ逃げること。前みたいに絡んでくる奴にも気をつけてね。」

 特にクロウは心配性だったな、と思いつつも鼻歌を歌いながらミランは市場へ歩く。


「人がいっぱいいるなあ。前は来ること無かったものね。」

 独り言を呟きミランは食べ物の並ぶ店先を眺める。お金はヴェリタから預かったものだ。出所は聞いてはいけない気がした。少々後ろめたいが、こんな時代、仕方ないじゃない。と開き直ってみる。

「やっぱりパンとか高いな…。果物がわりと手頃かな。」


 しばらくかかって買い物を終えたミラン。町の外への道を小走りに急ぐ。理由はもちろん……追いかけてくる視線。殺気。敵意。

 突然道を横切る人が。避けた拍子に道を逸れてしまうが、引き返すこともできない。やがて袋小路、追い詰められ壁にもたれ掛かった。

「ヴェリタ、どこいったの?守ってくれるんじゃなかったの?」

 息を整える前に近づいてくる足音。思わずすくんでしまうミランの視界に入ってきたのは――

「大丈夫か!?」

 オリジン。それを認識した瞬間に彼女は思いっきり飛びついた。

「ぐふっ!!」

「遅い!ダメかと思った!!」

 ミランの頭がみぞおちにクリーンヒットしたオリジンだがとりあえず持ちこたえた。

「奴らが襲って来てよ。ちょっと離れちまったんだ。」

「ミラン、無事!?」

 クロウも合流。

「もうっ!!早く帰ろ!」

 オリジンに抱きついたまま歩き出したミランは、クロウがわずかに悲しそうな顔をしたのに気付くことはなかった。


「任務完了しました。」

 ヴェリタに打ち倒された一人が、そう呟いた。

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