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クローンのココロ

 足音が離れ、しばらくの静寂。

「ねえミラン、見分けつかないと思うけど、オレがクローンの方だよ。」

「え、どうしたの?」

「言っておこうかと。」

 今までよりも優しい口調で、ヴェリタは笑みを浮かべる。

「意識して揃えてたんだけどどうだった。わかんないだろ。」

「……そうでもないよ。あなた、絶対守るって言ってくれたでしょ。」

「!」

「ずっとそばにいて守ってくれた、だから鎖も短いの。もう片方とは離れてたから自分に近い所で受け止めた。ね?」

 意外に鋭いミランの観察眼。感心したようにヴェリタは頭をかいた。

「凄いな。オレも君みたいに賢ければオリジナルに迷惑をかけずに済んだかも。」

 きょとんとするミランを見ているのかいないのか、独白のように…続ける。うつむきながら。

「当時は五歳くらいだったかな。記憶を持つあいつと違って、オレは訳もわからず狼狽えてた。人っ子一人いない町で、怖くて不安で立てなくなったオレを、あいつは何も言わずに支えてくれた。クローンだからじゃなくて、本当の家族のように。そんなオレがあいつを消して乗っ取ろうなんて、考えもしなかった。」

 過去を見ようとするように顔を上げる。

「クローン暴走の仕組みを知ったとき、あいつをオレが殺してしまうのだろうかとひどく恐ろしくなった。でも、『オレがそんな簡単に飲まれるもんか。下らない心配しなくていい』って笑い飛ばしてさ、あいつ。いつでも強くいてくれた。認めてくれた。いろんな意味で、いなくちゃならない存在なんだ。そして―――」

「おう、待たせたな。」

「ああ!お帰り。」

 片割れの声にいいかけた言葉は何処かへ。

「いいんだ。まだ…」

「何ぶつぶつ言ってるの?」

「な、何でもない」

 声に出すのはまだ先。

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