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素材令嬢〜今世は全力で楽しませていただきますわ  作者: MagicFactry


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19/20

19話 これが、素材の力ですわ!

パタパタパタと、はたきの音が響いていた。

ルティは巧みにはたきを扱い、棚という棚全てはたき終えた。


「よーし、埃はらいはこれでOK、次は水拭きね!」


ルティは、先生に頼まれた・・・もとい片付け志願した部屋を、まずは全力で掃除をしていた。


素材を1つの机に全て集め、空いた棚を、1つ1つ丁寧に拭いてゆく。

今ルティを見るものは、誰も伯爵令嬢とは思わないだろう。まるで熟練のメイドかと思わせるような俊敏な動きで、部屋を磨きあげていった。


「さて、部屋はこれでいいわね!」


さらに部屋中の乾拭きも終えたルティ。

外から入り込む光で、部屋が光り輝いているかのように見えた。


「さーて、いよいよ。素材の仕分けからしましょうか~」


るるるーと、歌い出しながら、机の上に集めた素材を手に取り、確認を始める。


「よし、まずはこれからね!んー、色変わってしまってるじゃない!全くもう!」


素材をこんな風に扱うなんて!全く、もしどこかであったら、正しい扱い方を叩きこんであげるわ・・・!

怒りが湧き上がりながらも、1つ1つ丁寧に確認して行くルティ。


「んー、やっぱり保管方法が悪くて・・・ほとんど使える状態ではなくなってる・・・。お前たちごめんなさいね」


萎れてしまった花、乾燥しすぎてしまった実など、使えるものと使えないものの選別を続けていくルティ。


時間を戻せる魔法とか、萎れた花を復活出来る魔法とか、あればいいのだけどね。


そんなことを考えるルティ。


「まあ、あっても私には使えないだろうけど。魔力、全然増えてないしなあ」


以前測定した時のことが蘇る。



「次、ルクレティア・ガルディア、こちらへ」


「はい」


やり方は、昔やったのと同じだろうと、目の前の水晶玉に手をかかげ、魔力を流し込むルティ。


「はい、魔力レベルは・・・4、いや5・・・んー5よりの4かな」


「4ですか・・・」


「もう少しで5だからね、まだ1年生でしょう?これから伸びる子もいるからね」


諦めないでと、慰められ、魔力測定を終えたのであった。



「お兄様は、あんなに魔力に溢れてるのになあ」


目の前の素材をじっと見る。


「まあ、魔力そこそこでも、出来ることがたくさんあるからね」


そう1人つぶやいて、にこにこ笑顔で素材の仕分けを続けるルティであった。


「いや、そんなに一度には・・・」


「素材にも限りがありますし・・・」


「えー!なんでよー!」


「細工師の申し子なんでしょー?」


そうよそうよ。周りの学生も囃し立てる。


ソフィアとミトは、廊下で1学年上とみられる学生数人に取り囲まれていた。


「素材は、ルティが昔から自分で集めたのを、提供してくれたのが大半なんです」


「そうです。ソフィアだって、やることがたくさんあるんです」


噂を聞いた生徒が、ソフィア達に自分達にも作れと言ってきたのである。


「何よ!サルントールさんには3つも作ったって聞いたわよ!」


「なら、私たちにも1つずつ作るなんてわけないじゃない」


ねーと、生徒達が意地の悪い笑みを浮かべながらこちらを見る。


ミトとソフィアはお互い目配せをし、どうやって切り抜けようか考える。

そこにーーー


「ソフィア、ミト。なにをなさっていらっしゃるの?」


「「マリアンヌ様・・・」」


長い巻き毛をたなびかせながら、マリアンヌが現れた。

マリアンヌは、取り囲んでいた上級生達に挨拶をし、ソフィアとミトの前にやってきた。


「このような廊下で何をなさっているの?ああ、上級生の皆様に、ご挨拶なさっていたのね?みなさんのお邪魔になるから、そろそろまいりましょう」


それでは皆様、ご機嫌よう。

完璧な礼を周りの上級生に披露し、有無をいわさずソフィアとミトを、その場から連れ出したのだった。


「マリアンヌ様、あの」


「ありがとうございました」


「いえ、困ったことがあったらいつでも声をかけて?」


それだけ言い残し、颯爽と去っていくマリアンヌ。

ソフィアとミトは、慌てて礼をして見送るのであった。


か、かっこいい~!!



ソフィアとミトを取り囲んでいた学生達は、3人を見送った後も、廊下に佇んでいた。


「何よあれ」


「公爵令嬢を味方につけるなんて!」


「ま、まあこれに懲りてしばらく大人しくするんじゃない?」


商人とたかが男爵令嬢なのに生意気なのよ。

ほんと、ほんと。


口々に聞いた人が眉を顰めることを、廊下で話し続けていた。


「ねえ、待って、何・・・あれ・・・」


日が落ちかけ、辺りが薄暗くなりかけた時、

廊下の奥に、角を生やした羽を持つ、何かが現れた。


「「「「「い、いやああああ」」」」


学生達は叫び出し、その場から逃げ出した。


「え?な、なに?」


直後、暗かった廊下に、灯りがついた。


そこには、大量の素材を抱えたルティが立っていた。

手には黒い羽や、牙。

抱えきれなかったのか、背中には、角のようなもの、少し長い棒状の木を背負っていた。


「どうしたんだろう・・・」


こうして無事、夜になると、構内を歩き回る魔物の噂が増えたのであった。

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