16話 静けさや 岩についてる・・・素材ですわっ!
コツコツコツコツ。
岩しか無い道を、ひたすら進んでゆく。
「静けさや・・・岩に染み入る・・・ね」
1人呟きながら、どんどんと岩山の頂上へと進んでいく。
「さーどこにあるかしらー?急がないと!」
マリアンヌから頼まれた髪飾りの作成は、その後順調に進んでいた。
「あと1日、んー、余裕をもって2日かな。それで出来上がりそうよ」
「さっすがソフィア」
「順調ねー。・・・はあ、素材採集行きたかったなあ」
「はいはい」
「また別のものも作りましょう?」
「ソフィア。甘やかしすぎちゃダメよ」
「そうね。マリアンヌ様にも言われたものね」
マリアンヌに貴族令嬢たるものと、こんこんとお説教をされたルティ。
ソフィアもミトも、ルティをあまり甘やかしてはいけないと、合わせてお説教されていた。
聞くところによると、ソフィアもミトも下に弟や妹がいるらしく、歳の離れた兄しかいないルティは、同い年だが、手のかかる妹のように思えたらしい。
・・・私前世も合わせると、2人より大分歳上なんだけど・・・。
少し遠い目をするルティであった。
ソフィアが言った2日後、無事出来上がった作品を、マリアンヌに渡しに行こうと、少し急いでいた時に、それは起こった。
ガシャーーーン
音を立てて、作った品が入っている箱が、廊下へ落ちた。
「あらー、ごめん遊ばせ?」
「ヴィロン様、大丈夫ですか?ちょっとどこみているのよ!」
「廊下を走るなんて・・・。これだから、平民や位の低いものを学園にいれるなんて、考えた方がよろしいのよ」
ヴィロンと呼ばれた令嬢と2人の令嬢が次々と攻め立てる。
「も、申し訳ありません」
「申し訳ありません」
すっと、ミトとソフィアの前に出るルティ。
「大変申し訳ありませんでした。2人も申し訳ありません。私が急がせてしまったせいで・・・」
「ま、まあ、ガルディア伯爵令嬢。お気をつけあそばせ?」
失礼しますわね・・・おほほと離れていくヴィロン達。
「ルティ、ありがとう」
「ありがとう。ごめんねルティ・・・。でも絶対わざとぶつかってきたのはあっちでしょ?!」
「咄嗟のことだったから、なんとも言えないわ。それより、髪飾りは?」
散らばった箱を集め、急ぎ確認のため、ルティの部屋に戻る3人であった。
「うん、壊れてない。洗浄の魔法を施して、直せばこっちの2つは大丈夫よ」
「問題は・・・これね」
「見事に割れてしまってるわね・・・。これは・・・念のため予備の素材を見てみるわね!」
そう言ってルティは、素材が入ってる保管箱を広げ始めた。
「色味と大きさを揃えるとなると・・・んーこれは色が少し違うし、これは小さいし」
「せっかく出来上がってたのに!」
「仕方がないわ。ルティごめんなさい。今から同じ素材を手に入れることは出来る?」
怒りが抑えられないミトと、泣き出しそうなのを必死に堪えている様子のソフィアを見て、ルティは叫んだ。
「もちろんよ!今すぐ行ってくるわね!今日中には手に入れるから!」
ルティは、にこにこと、まるで大輪の花が咲いたような、とびっきりの笑顔を2人に見せた。
ミアナが、すぐさま収集用のセットを持ってきた。急いで身につけて、部屋を飛び出して行ったルティだった。
「え?今日中?」
「待ってルティ!門限は?」
「もう、少しっ、よし着いた!なんとか暗くなる前に辿りついたわね!」
よーし待っててねー!"緑光石"!
少しずつ辺りが暗くなるのに従って、緑色の光がぼうっと見え始めた。
・・・よしよし、この辺かな?
ルティは自分の爪先ほどのサイズの、少し濃い緑色に光っている石の周りを手持ちのハンマーで叩き始めた。
カーンカーンカーン
「よーし!とれた!」
「やばい、真っ暗・・・。急いで戻らなきゃ!」
「ガルディアさん、お帰りなさい」
寮の門の前には、にこにこ笑顔の、寮の先生が待っていた。




