10話 学園生活楽しみですわ、素材何を持ち込もうかしら
「ふう、とりあえずこんなものかしら」
そう言って日課の在庫表への記入を終え、一息ついたルティ。
「ルクレティアお嬢様、カモミールティーです」
「ありがとう、ミアナ」
あー、すっごく美味しいー。
この4年、頑張って改良した甲斐があるわー!
そう、4年前10歳の頃に、前世に目覚めた私は今や14歳、明日からは学園に通う年齢までになった。
「素材もたっくさん集まったわー」
うふふふふ。と思わず怪しい笑い方も出てしまう。
「お嬢様」
「あら、おほほほほ」
そう、この4年間、日々素材のために奮闘し、我が家の貯蔵は、今はどこに出しても恥ずかしくないほどのラインナップになっていた。
「まあ、出せないんだけどね」
貴族のしきたりには、従わないといけない。なんとも歯がゆい。
「あ~あ、みんなにこの凄さ、知って欲しいなあ」
学園には貴族だけではなく、商人の子や、優秀な街の子なども通うそうだから、楽しみだわー!
「お嬢様、ゼンがお時間があるときに、庭に来て欲しいと申しておりました」
「分かったわ」
なんだろう?これ飲んだら行こう。
あ~、美味しい。たまらん。
カモミールティーは、絶対沢山持っていこう。
みんなに普及しよう。
「ゼン、お待たせ。どうしたの?」
「お嬢様、ありがとうございます」
カモミールティーを堪能した後、庭にいるゼンの元を訪れた。
「実は出入りのものから、こちらを手に入れまして」
そういって出されたのは、カゴに入った、白いいちいさな花。
「これは・・・?」
「カモミールを使用して作られた、花飾り用の材料だそうです」
「・・・素敵・・・」
「カモミールの花弁を細かく裁断し、魔力で縫いとめているそうですよ」
「縫ってるの!?」
はー、この4年間、色々なものを集めることが出来たけど、まだまだ知らない手法が沢山あるわあ。
「お嬢様、それは私達使用人一同からの贈り物です。ぜひ学園にお持ちください。白き小さき花は、希望を表します。お嬢様の学園生活が希望で満ち溢れたものでありますよう、一同心より願っております」
気がつくと、周りにたくさんの使用人達が集まっていた。
「みんな、ありがとう。行ってきますね」
少し泣きそうになりながらも、全力の笑顔で皆にお礼を言ったのだった。
「ルティも、とうとう学園通うのか」
「準備は出来ているの?素材だけではなくて、洋服もきちんと持ち込むんですよ」
「はい、お父様、楽しみですわ。お母様、ミリアときちんと確認しましたので、安心ください」
「学園に行くと、夏の休みまでは戻って来れないからね。念には念をいれるんだよ」
「はい、お兄様」
学園に行く私のために、皆で食事をする時間を作ってくれた父、母、兄。
恵まれている人生だよ。
美味しい料理に舌鼓を打ちながら、幸せな時間を過ごしたルティであった。
「ルティこちらへ」
夕食を済ませて、食後のお茶を飲みながら、伯爵が呼ぶ。
「いい学園生活を送れるように」
「もう少し自分のことも磨くように」
「これから大変だろうけど、頑張れ。ルティなら出来る」
父、母、兄それぞれから贈り物を渡されるルティ。
「お父様、お母様、お兄様。ありがとうございます。開けてもいいですか?」
うなづく一同。
「ではまずお父様のものから・・・」
中には、細かな装飾が施された本と、ペンが入っていた。
「これは、魔法ノートと魔法ペンだ。学園生活でも素材メモを続けるのだろう?魔力を使って作られたものだから、イタズラで消されたりなどしないぞ」
そう言ってお茶目にウインクした伯爵。
「あなた」
「ありがとう、お父様、大事に使わせていただきます」
「ああ、ほどほどに社交もするように」
はい。と笑顔で答える。
続けて母からもらったものを開けるルティ。
「・・・お化粧セット?」
「そう。今流行りの最新のものよ?いい、ルティ。貴方ももうすぐ15歳。人への自分の魅せ方を、覚えていきましょうね」
「はい、お母様。・・・ミリアと頑張ります」
「最後はお兄様のね。何かしら」
包みを開けると、美しい紋様が入った膝掛けだった。
「学園は意外と寒いからね。使ってくれ」
「ありがとう、お兄様」
「さあ、明日は早い、最終確認をして、寝なさい」
「はい、お父様、お母様、お兄様。おやすみなさいませ」
皆からもらったプレゼントを大事に荷物の中にしまい、明日からの学園生活に胸躍らせながら、ベッドに潜り込むルティであった。
学園には、どんな素材があるのかしら・・・楽しみだわ・・・・




