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10/16

第9話 相談

2026年9月24日 木曜日 午前7時42分


 5連休が終わった。


 久世透はマンションを出た。


 駅へ向かいながら、スマートフォンで今日の予定を確認する。


 9時、定例ミーティング。


 11時、仕様確認。


 13時、取引先とのオンライン会議。


 16時、進捗報告。


 連休中とは違い、今日は能力の実験をする時間はほとんどない。


 それでいい。


 5連休でかなりのデータが取れた。


 重量。


 距離。


 回転。


 認識。


 そして、まだ一例しかない生体への作用。


 急ぐ必要はない。


 スマートフォンが震えた。


 悠真からだった。


『社会復帰できそう?』


 透は歩きながら返信する。


『5日休んだだけだ』


『4日も実験してた奴が言うな』


『問題ない』


『自由研究の成果は?』


『回転運動が可能だった』


 数秒。


『地味』


 透の眉がわずかに動いた。


『重要だ』


『もっと車浮かせたとか空飛んだとかないの?』


『ない』


『空飛べるか試そうぜ』


『失敗時の危険性が高すぎる』


『お前ならそう言うと思った』


 透は画面を閉じようとして、思い出した。


『あと、神経科学の研究者と知り合った』


 既読。


 すぐに返信が来る。


『は?』


『昨日』


『女?』


『女性』


『かわいい?』


「……」


 透は信号待ちで画面を見る。


 昨日会った水城澪の顔を思い出す。


 鎖骨より少し下まで伸びた茶色い髪。


 明るめの茶色い瞳。


 派手ではないが、知的で親しみやすい顔立ち。


『顔立ちは整っていたと思う』


『お前からその評価出るの珍しくね?』


『一般的な基準での話だ』


『はいはい』


 続けてメッセージが来る。


『で、その人に能力のこと話すの?』


 透の指が止まった。


 少し考えてから、


『話さない』


 と送る。


『だよな』


『専門的な質問だけする』


『それで誤魔化せる?』


 透は返信しようとして、やめた。


 そこは自分でも疑問だった。


『たぶん』


『お前が「たぶん」って言うと怖いんだけど』


 信号が青になる。


『仕事行く』


『俺もだわ。またな』


 画面を閉じた。


 悠真も今ごろ、自分とは別の場所へ出勤している。


 透は駅へ向かった。


     *


午前10時23分 川崎警察署


「主任」


 高瀬直人がファイルを机に置いた。


「例の暴行事件、送検関係これで全部です」


「確認する」


「ようやく一区切りですね」


 榊原慎吾は資料を開いた。


 9月12日。


 川崎市内で発生した暴行事件。


 被疑者。


 被害者。


 目撃者。


 通報者。


 久世透。


 榊原の視線が一瞬止まる。


 ページをめくる。


 被疑者の供述。


『突然、身体が動かなくなった』


 当時はそれほど気に留めなかった。


 興奮状態。


 恐怖。


 記憶の混乱。


 説明はいくらでもつく。


 だが今読むと、別の箇所が気になった。


『通報者・久世透は、被疑者から数十メートル離れた位置にいた』


「高瀬」


「はい」


「このとき久世は、男に触れてないんだな」


 高瀬が資料を見る。


「自宅のベランダにいましたからね。接触はしてません」


「誰か他に男を押さえてた?」


「いません」


「転倒?」


「してないです」


「何かに引っかかった?」


「そういう証言もないですね」


 榊原は黙る。


「主任」


「何だ」


「また久世さんですか?」


「供述を確認してるだけだ」


「……まだ気になってるんですね」


 榊原は答えず、資料へ視線を戻した。


 高瀬が自分の席へ戻ろうとする。


「高瀬」


「はい?」


「仮にだ」


「はい」


「人間が、離れた場所にいる別の人間の動きを止められるとする」


「……」


「仮にと言った」


「超能力の話ですか?」


「名称は何でもいい」


「サイコキネシスとか?」


「何でもいいと言っただろ」


「はいはい」


 高瀬が椅子を引いて座る。


「それで?」


「どうやって証明する?」


 高瀬は少し考えた。


「本人にやってもらう」


「拒否されたら?」


「映像を探す」


「何が映る?」


「人が……止まる」


「それだけだ」


「ああ」


「糸もない。装置もない。接触もない。映像に映るのは、人間が突然動きを止めたという結果だけだ」


「だったら無理じゃないですか」


「一回ならな」


 高瀬の表情が変わった。


「何回も起きたら?」


「少なくとも、偶然だけでは説明しにくくなる」


「同じ人の周りで?」


「ああ」


 高瀬は榊原を見る。


「主任。それって――」


「思考実験だ」


「まだ何も言ってませんよ」


「顔に書いてある」


「久世さん疑ってるんですか?」


 榊原は少し間を置いた。


「違う」


「じゃあ?」


「久世の周囲に、説明できていない出来事がいくつかある。それだけだ」


「それ、自転車と風船も入れてます?」


「……」


「入れてるじゃないですか」


「事件じゃない。だから捜査もしない」


「でも覚えてる」


「ああ」


 榊原は資料を閉じた。


「忘れる理由もない」


 高瀬は何とも言えない顔で席へ戻った。


 榊原は再び資料を見る。


 久世透。


 まだ、疑う段階ですらない。


 ただ。


 偶然として片づけるには。


 少しだけ数が増えてきた。


     *


午後0時36分


 昼休み。


 透は一人で食事を済ませると、スマートフォンを取り出した。


『水城澪』


 昨日交換したばかりの連絡先。


 相談内容は昨夜まとめてある。


 能力の存在は伏せる。


 自分の話とも断定しない。


 一般論として質問する。


 透は文章を打った。


『昨日話した件ですが、一つ質問してもいいですか?』


 送信。


 3分ほどして、


『どうぞー』


 返ってきた。


『仮に、何らかの刺激によって人間の痛みや吐き気などの症状が数秒から数十秒で軽減した場合、神経系への作用だけで説明できる可能性はありますか?』


 既読。


 少し間が空く。


『質問が急にガチなんだけど(笑)』


 続けて、


『症状によるかな』


『痛みとか吐き気って「本人が感じてる症状」だから、神経系への作用で感じ方が変わる可能性はあるよ』


 さらに一通。


『でも「症状が消えた」と「原因が治った」は全然違う』


 透の指が止まった。


「……そうか」


 重要な区別だった。


 9月19日。


 あの男性は、


『急に楽になった』


 と言った。


 治ったとは言っていない。


 透はノートを出した。


『9/19の記録を修正』


『確認できたのは自覚症状の急速な軽減』


『治癒したという客観的証拠なし』


 さらに澪から届く。


『例えば痛みなら、脳や神経側で知覚が変化することはある』


『でも骨折が数秒で治るとか、傷が一瞬で塞がるとかなら、少なくとも私の専門だけでは説明できない』


『そっちは医師とか別分野の人に聞いて』


 透は少しだけ感心した。


 分からないことを、分からないと言う。


 専門外を、自分の知識で無理に説明しない。


『ありがとうございます』


『役に立った?』


『かなり』


『で』


 すぐに次が来た。


『何調べてるの?』


 透の指が止まる。


『まだ仮説段階です』


『久世さん、絶対なんか隠してるよね』


「……」


 返信を考えていると、


『まあいいけど(笑)』


 続けて、


『文章だと説明しづらそうだし、直接話す?』


 透は考える。


 昨日会ったばかり。


 信用できるかどうかも分からない。


 だが。


 能力そのものを開示しなければいい。


『お願いします』


 送信した。


     *


午後6時14分


 仕事を終え、会社を出た。


 澪からメッセージが届く。


『今日でも大丈夫だよ』


 透は予定を確認した。


 何もない。


『大丈夫です』


『じゃあ武蔵小杉で。19時くらい?』


『分かりました』


 待ち合わせ場所が送られてきた。


 駅近くのカフェだった。


 透の会社からも遠くない。


 澪は信濃町周辺にある東都医科大学の研究施設に勤務していると、昨日聞いている。


 彼女にとっても、溝の口の自宅へ帰る途中で寄りやすい場所なのだろう。


 透は駅へ向かって歩き出した。


     *


午後7時02分


 武蔵小杉駅近くのカフェ。


 澪はすでにいた。


 昨日は高齢の男性に意識を集中させていたため、改めて向き合うと印象が少し違った。


 鎖骨より少し下まで伸びた茶色い髪。


 明るめの茶色い瞳。


 白いブラウスに細身のパンツ。


 派手ではない。


 だが、整った顔立ちをしている。


 透に気づくと、その目が少し細くなった。


「こんばんは」


「こんばんは」


「ほんとに来た」


「約束したので」


「そういうとこ真面目だよね」


 透は向かいへ座る。


 コーヒーを注文した。


 澪が身を乗り出す。


「で?」


「はい」


「昨日の謎の研究」


「研究ではありません」


「じゃあ何?」


「まだ分類できません」


「もっと怪しくなった」


 澪が笑う。


 透は準備していた質問を開く。


「まず、人間の痛みや吐き気が急激に消失した場合――」


「ちょっと待って」


「はい」


「メッセージでも思ったけど、ずっと『人間』って言うよね」


「今回の対象が人間だからです」


「今回?」


 透が止まる。


 澪の眉が上がった。


「実際に何かあった?」


「仮定として話しています」


「それ、答えになってないよ」


「……」


「まあいいや。続けて」


 透は一瞬考えてから続けた。


「自覚症状が短時間で軽減した場合、神経系への作用で説明できる可能性はある」


「症状によってはね」


「そのとき、作用を与えた側に強い疲労が生じるとしたら?」


 澪の表情が変わった。


 さっきまでの笑みが消える。


「作用を与えた側?」


「はい」


「どうやって作用を与えるの?」


「それは説明できません」


「電気?」


「違います」


「磁気刺激?」


「違います」


「薬?」


「違います」


「じゃあ接触?」


 透は少し迷った。


「接触はありました」


 澪が黙る。


「……ありました?」


 しまった。


 透はそう思った。


 だが訂正すれば、余計に不自然になる。


 澪の目が。


 わずかに輝いた。


「やっぱり実際の話なんだ」


「……」


「何があったの?」


「詳細は話せません」


「じゃあ私もちゃんと答えられないよ」


 正論だった。


 透はコーヒーを見る。


 どこまでなら開示できる?


 能力については言わない。


 土曜日に起きた事実だけ。


 それなら。


「病院の待合室で、体調を崩した男性がいました」


「うん」


「倒れそうになったので支えました」


「それで?」


「そのとき、『楽になればいい』と思った」


 澪が待つ。


「数秒後、その男性が『急に楽になった』と言いました」


「……それだけ?」


「直後に俺へ強い疲労感が出た」


「どのくらい?」


「約4時間でほぼ消失」


「普段そういうことある?」


「ありません」


「その人が何で具合悪かったかは?」


「分かりません」


「血圧は?」


「不明です」


「脈拍」


「正確な測定値はありません」


「検査結果」


「知りません」


「その後の経過は?」


「分かりません」


 澪が眉間に皺を寄せる。


「情報少なすぎ」


「同意します」


「じゃあ、その人が自然に回復した可能性も――」


「あります」


「久世さんの疲労も――」


「偶然だった可能性があります」


「……」


 澪が口を閉じた。


「そこまで分かってるんだ」


「だから専門家へ相談しています」


「なるほど」


 澪はストローの袋を指先で折りながら考える。


「じゃあ逆に聞くけど」


「はい」


「なんでそこまで気にしてるの?」


「偶然ではない可能性を排除できないからです」


「それだけ?」


「はい」


「嘘」


 即答だった。


 透が澪を見る。


「何か他にもあるでしょ」


「……」


「今の話だけなら、普通は『変な偶然だったな』で終わる」


「そうかもしれません」


「でも久世さんは、わざわざ記録取って、仮説立てて、専門家まで探した」


 澪が身を乗り出した。


「その前に何かあったんじゃない?」


 透は答えない。


 澪の目がさらに輝く。


「あるんだ」


「……それは話せません」


「気になる」


「すみません」


「めちゃくちゃ気になる」


「話せません」


「そこまで言われると余計気になるんだけど」


「それは俺にはどうしようもありません」


「何それ」


 澪が吹き出した。


 笑ったあと。


 少しだけ真面目な顔になる。


「久世さん」


「はい」


「一個だけ約束して」


「内容によります」


「そこは先に聞くんだ」


「守れない約束をする意味がないので」


「ほんっと理屈っぽいね」


 澪は呆れたように笑ってから言った。


「人で試さないで」


「既に禁止しています」


「禁止?」


「自分の中のルールとして」


「動物は?」


「検証を目的として、健康な動物へ意図的に損傷を与えることも禁止しました」


 澪が透を見る。


「そこまで考えたの?」


「マウスは候補にしました」


「……本気じゃん」


「だから却下しました」


「どうして?」


「同条件の損傷を意図的に作る必要がある。能力の確認だけを目的に、それを行う合理的な理由がありません」


 澪がしばらく透を見つめる。


「久世さんってさ」


「はい」


「変な人だね」


「初めて言われました」


「絶対嘘」


「似た意味のことは言われます」


「ほら」


 澪が笑う。


「でも、その判断は正しいと思う」


「ありがとうございます」


「ただし」


 人差し指を一本立てる。


「私、神経科学の研究者だからね」


「はい」


「認知とか身体認知とか運動制御は専門だけど、人体のこと全部分かるわけじゃない」


「分かっています」


「必要なら医師とか、別分野の研究者になる」


「その判断だけでも助かります」


「それと」


「はい」


「面白い仮説ほど、自分で殴る」


 透が少しだけ目を細めた。


「反証を優先する、という意味ですか」


「そう」


「同意します」


「……そこ即答するんだ」


「当然では?」


 澪が数秒黙る。


 そして。


 楽しそうに笑った。


「やっぱり久世さん面白い」


「何がですか?」


「そういうところ」


 透にはよく分からなかった。


 澪がカップを持ち上げる。


「で」


「はい」


「私、まだ肝心なところ聞かされてないよね」


「はい」


「即答……」


「嘘をつく必要がないので」


「いつか話す?」


 透はすぐには答えなかった。


「必要になれば」


「そっか」


 澪はそれ以上聞かなかった。


     *


午後8時11分


 二人は店を出た。


「今日はありがとうございました」


「うん。私も面白かった」


「面白い?」


「久世さんが」


「俺ですか?」


「普通、初対面に近い人へこんな相談しないから」


「それは俺も認識しています」


「なのに、したんだ」


「あなたが神経科学の研究者だったので」


「私じゃなくてもよかった?」


「専門性だけなら」


「うわ」


 澪が露骨に顔をしかめた。


「そこ普通はちょっと濁すとこだよ」


「なぜですか?」


「もういい」


 澪が笑う。


 透には何がおかしいのか分からなかった。


「じゃあ、また」


「はい」


 澪が数歩歩く。


 振り返った。


「あ、久世さん」


「はい?」


「さっきの人の件」


「はい」


「『治した』とはまだ考えない方がいいよ」


「同意します」


「でも、また似たことが起きたら記録はしておいて」


「そのつもりです」


「時間、自分の体調、相手の様子。分かる範囲で」


「既に記録項目に入れています」


「……やっぱりしてるんだ」


 澪は呆れたように笑った。


「じゃあね」


 人混みへ消えていく。


 透は一人になった。


 専門家へ相談した。


 だが、能力については話していない。


 それでも得られたものはある。


 症状の消失と。


 治癒は違う。


 単純だが。


 重要な修正だった。


     *


午後9時06分


 帰宅。


 透はノートを開いた。


『生体干渉仮説』


 以前書いた、


『治癒』


 という表現に線を引く。


 代わりに書いた。


『生体機能への干渉?』


 あの男性を治したとは限らない。


 痛覚。


 吐き気。


 自律神経。


 筋肉。


 脳。


 何に作用したのか分からない。


 そもそも。


 何にも作用していない可能性も残っている。


 そこで。


 透の手が止まった。


「……筋肉」


 9月12日。


 暴れていた男。


 突然。


 動きを止めた。


 当時は。


 念動力で身体全体を物体として固定したのだと思っていた。


 だが。


 もし違ったら?


 筋肉。


 運動神経。


 脳から身体への信号。


 そこへ干渉した可能性は?


 透は新しいページを開く。


『9/12 人体の運動停止』


『9/19 人体の自覚症状軽減』


 並べる。


 そして。


『念動力』


 金属球。


 ペン。


 風船。


 自転車。


 物体の位置や運動を変える。


「別々なのか?」


 念動力。


 身体拘束。


 生体への作用。


 三種類の能力。


 それが最初の考えだった。


 だが。


 能力が三つ同時に発現したと考えるより。


 一つの原理から三つの現象が生じていると考えた方が、仮説としては単純だ。


 オッカムの剃刀。


 もちろん。


 単純な仮説が正しいとは限らない。


 それでも。


 検討する価値はある。


 透は書いた。


『統一仮説U1』


『能力は複数ではなく、対象の状態へ干渉する単一の能力である可能性』


 その下。


『物体――位置・運動状態』


『9/12――人体の運動状態』


『9/19――人体の生理状態?』


 さらに。


『作用範囲は、自分が対象をどう認識しているかに依存する?』


 ペンが止まる。


 もし。


 これが正しいなら。


 物を動かす。


 人を止める。


 症状を消す。


 全部が。


 同じ原理で説明できる。


 透はしばらくノートを見ていた。


 自分でも。


 この仮説は綺麗だと思った。


 だからこそ。


 危険だった。


 もう一行書く。


『反証方法を考えること』


 仮説を気に入った瞬間が。


 一番危険だった。


     *


午後10時14分 川崎警察署


 榊原は資料を閉じた。


 9月12日の供述。


『急に身体が動かなくなった』


 目撃者。


『久世透は接触していない』


 自転車。


 風船。


 どれも。


 単独なら大した意味はない。


 むしろ。


 偶然である可能性の方が遥かに高い。


 榊原は白紙を一枚出した。


 上に、


『久世透』


 と書きかけた。


 止める。


「……違うな」


 紙を裏返す。


 名前を書けば。


 また人間から考え始める。


 そうではない。


 事実から考える。


 新しい紙。


 今度は書く。


『説明できていない現象』


 一。


『9/12 被疑者が突然、運動不能を訴えた』


 二つ目を書こうとして。


 止めた。


 自転車は事件ではない。


 風船も事件ではない。


 警察の資料にするものではない。


 榊原は一番だけ残した。


 それでいい。


 今は。


 一つでいい。


 透は。


 複数に見えた能力を、一つの原理で説明しようとしていた。


 榊原は。


 一人の男を疑う前に、一つ一つの事実を切り離そうとしていた。


 方法は逆だった。


 だが。


 二人が警戒しているものは。


 同じだった。


 自分が信じたい答えを。


 最初から答えにしてしまうこと。


 まだ二人は。


 互いが同じ方法で真実へ近づいていることを知らない。

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