再始動 4
【神の国 建設計画(仮)】
俺以外の関係者全てから、なぜか神の国などと呼称されているが…
ちょっと待て。
なんだその、物騒でヤバい名前は?
大分怪しい、インチキ宗教の香りがプンプンすんぞ?
え?…あ、そうなの?
国の名前が無いからだと、そんな指摘が多く、皆から俺に寄せられた。
え?
そんなのデリターニャで良いじゃん?
デリターニャを大きくするだけなんだし?
大デリターニャとか?
ただ…
そう、ただ軽くそう言っただけ、だったのに、
ありとあらゆるやつから大量の、
非難轟々、もはや罵詈雑言…誹謗中傷にしか聞こえない様な、
そりゃキッツイクレームが、俺に殺到したのだった。
シヴァ王国か、深淵の神の国…
せめて最低、そのどちらかにせよと、
しやがれと…
皆からガッツリと、激しく詰められた…
アマジャさんらはもとより、ちびっ子らにシャダ達、
デリターニャで働く獣人や住民達…
そこにアーデや鬼族のグシオンまでも…
挙げ句は竜種のアズラ、フィアらまでもが、激しく俺に詰め寄ったのだった。
ちょっ、待てよっ?
な、なんでや?
俺が一体何をしたと…
俺じゃねえ、俺じゃあねえよ刑事さん…知らんけど。
ちょっと待てっ、て。
そして聞いてくれよ。
えーーっと例えばだ…
どこかの山や川で遊んでいて偶然に、そこで恐竜の化石を発見し、
どうやらこの骨の持ち主は、いまだに未発見の新種だぞと、
だったら発見した俺に命名権が与えられて、
俺の名前の一部がその名に使われるとか?
なんちゃらシバ竜とか、
ホニャララシバザウルス?
…だったら?
とか、だったら別に良いのよ?
なんかそう言うのは、たまたまラッキーなだけだし?
どうせすぐに、みんな忘れるし?
そう言うのならまあ…別に俺だって良いんだけどさ。
だって…国よ?
村でも街でも無いのよ?
その上の…国よ、国!?
しかも、
元々のデリターニャって、立派なお名前だって既にここには有るじゃんよ?
それを捨てて?
俺の名を…冠する?
ダメでしょ?それだけは無理だって。重いよ。
小市民な俺には到底無理…
その重さ、とてもとても、俺なんかでは受け止めきれないのだよ!
そんな大層な責任感も、この俺には無いし、
だって…俺は邪悪だぞ、雑魚なんだぞ?
なんなら?
そうそう、なんなら俺って破壊神なんだぜ?
破壊神とか、一番アカンやつですやん?
破壊って?完全にアウトですやん?
そもそも、小っ恥ずかしいにも程が有る、って話ですよ?
確かに国を造るって決めたのは俺だけど?
たださあ、こんな規模の話じゃあ無かったでしょ?
せいぜい街くらいの小っさいので良かったんだよ?
え?…
言い出しっぺ?…はい、俺ですけど…
連合立ち上げたのはどこの誰だよ、って?
…えーーっと、俺かな?
その大きな倉庫をここへ持ってくるって考えたやつ?
お…俺…?
鬼族を誘ったの、誰だっけ?
…俺だった?
ズク族を巻き込んだのは誰か、だって?
…お、俺なのかな?
じゃあ、あの山を削ったのは誰?
えーーっと、誰だっけ?
ちょっと良く分かりません…
とーにーかーく、嫌なの。
イヤだから…とにかく、俺の名は冠させ無いから。
いーーやーーでーーっす、
いーーやーなあんーーですっう!!
散々…大人げなくゴネるだけゴネたら、
じゃあ、皆が納得する名を考えろよと…
そんな激しい流れに、まんまと飲み込まれてしまいました…った…
お、おう…
く、国の名前…だと…?
まあ…俺の名以外なら、色々と無いわけでは無い。
まあ…単純に日本でも良いし、邪馬台国…ヤマト…いや、
大日本帝国も、異世界がゆえに捨て難いかも…
なら、アメリカにちなみ?
え?なんで、ちなむんだって?
まーまー、細かいことは言いっこ無しで?
アメリカ合衆国…デリターニャ合衆国か…いや、そうね、そうだね、案外悪くないか。
実際に、漢字の田んぼの田の字でいうと、
元々の右下デリターニャ、左下のサンデ、
左上のガイナ村、新たに出来た右上のズク族と倉庫のエリア…
つまり?
ここは合衆国とか、連合国とも、言おうと思えば言えると思うのだよ。
あと、連合国といえばイギリス…
いや正式には、グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国…
俺の国及び北部と南部デリターニャとサンデの連合王国…
これは…ちょっとキビしいか?言い難いし…
いや、そもそも俺の国ってトコに、にツッコミが入るよな…
そーいうトコだろうが!!って…
また詰められるよな…
でもさ、俺の国如きに…名前要る?要らねえよな?
いや…要るか。すいません…
要るからこんな、街をあげての大騒ぎになってるんだったな、と。
まさか…建国史上最大の難関にぶち当たったぞ…
だが一旦、保留な。
一旦、一旦だから。
とにかく、もう少し、もう少し時間を下さい…
こんな難問を、急に言われたって、無理だし…
…じゃあ、ちょっと一人でゆっくりと考えよっかな〜?
そう言って…その場の空気に耐えられず、俺は逃げた。
シャダ商会をあとにしたものの、
俺に行くアテなんて、せいぜいガイナ村か地竜さんトコくらいしか無いのが悲しいぜ…
そして、ガイナ村に着いたらば、なんとヨミと九郎が居た。
更にはイサクと地竜までもがそこにいた。
なんだ?どーした?みんな集まって?
ヨミはズク族のトコに行ってたはずだったが、
どうやら俺がさっき、シャダから激しく詰められてたちょっと前に、
ここに戻っていたらしい…
なにやらイサクも交え、コソコソ話していたが、俺が現れた途端、
コソコソ話しを中断しやがった…
怪しい…悪党のコソコソ話しなど、絶対にろくなもんじゃない筈だ…
「やあ主、戻ったよ。その悪党って辞めて?…そうそう、ズクは十日ほどでここへ到着する予定だよ…」
おい?さっきの…なんの話しだ?
「え?ああ、色々と…イサクにちょっと、お願いをしてたのさ、そのズク族のことでね…」
ホントかよ?まあ…良いけど。
で、なんで地竜の旦那も居るのさ?
「ああ、我が呼んだんだよ、その…ズク族の土地の、地下のことでね…」
――土地の地下?
「ああ、畑の位置によっては、地下の水路の位置を大きく調節して貰う必要があってさ…先にお願いしておこうと…」
ほお…まあ…そう言う事はヨミは専門家だからな。俺がとやかく言うつもりは無いが…
ヨミがコソコソ…ってのが、妙〜に、引っ掛かるんだよな…
「嫌だなあ、偶然だよ偶然、忘れないうちにお願いしといただけさ。ねえ地竜の旦那?」
「あ…う、うむ。」
なんだよ、今の変な間は?まあ…ええけど?
こっちが、よってたかって、ガン詰めされてるってのによお…
「ガン詰めって?…主、一体またなにをやらかしたのさ?」
なんもやらかしてねえよ!…多分?
――それよりまた、って言うな、またって。




